ラオスを届けるための挑戦『siimee』
以前、ラオスに関わるうえで「0から1に」することを
目指したいという記事を書いた。
今回は、この記事の思いと、現在行っている活動との繋がりという視点で、もう少し具体的に書いていく。
現在、私はラオスの布を素材としたアパレルブランド『siimee』を
2021年3月に、妻と共に立ち上げて活動している。
妻ともよく議論するのだが、この『siimee』というブランドは、先の記事に書いた「0から1に」という意味で、並々ならぬ挑戦なのである。
2020年3月の日本帰国後、『siimee』ブランドの活動として、代々木公園や日比谷公園などの比較的大きなイベント会場で、幅広いお客さん向けに出展を行ってきた。こうした活動の中で、痛切に感じたことがある。
それは
「ラオス」=「発展途上国」=「貧困」⇒ 支援活動
というイメージを持たれてしまうということである。
もちろん、支援活動として見られること自体は悪くないが、現地の可哀そうな人の支援のためだから、という上下構造的な理由で製品を購入されることに違和感を持っている。
具体的には、これまで日本で活動していく中で「フェアトレードですか?」と質問され、「フェアトレード」であることが購入の決め手になることの多さにくやしさがあった。「フェアトレード」であることは、当然であるべきであり、そんなことを問う必要性のない状態であってほしい。
まだまだ日本の中には、発展途上国は当然のように「不幸せ」だというイメージを抱えている人が多い印象である。しかし、ラオスの現地で生活をしてみて感じたのは、お金は、人によってなかったり、あったりするが、彼らは彼らの環境と価値観の中で「幸せ」を享受しているし、人生を楽しむことを知っている。それは、日本以上に、そうだとも感じた。
一方、ラオスの場合、昔から行っている手工芸が途絶えそうになっていたり、そのためのリソースが少なかったりという課題も抱えている。その課題に対して、国内外のリソースを使って、解決していくということには、意味があると思っている。
課題があることは日本だって同じことで、国や民衆としてたくさん抱えているのである。
つまり、日本といわゆる発展途上国との間に上下があるわけではなく、同じ平坦な環境の中で、課題が存在している。いわゆる支援活動というのは、その平坦な環境の中の課題を解決するものである。
もう少しわかりやすくいうと、各国には、確かにGDPやGNPという上下の指標が存在するが、それで図れないものがたくさんあり、あくまでそれぞれの国は、環境や価値観が違うだけで、対等にあるということだ。
少し話が脱線しかけたが、要は「ラオス」を前面にPRすることで「途上国」の製品であるというフィルターがかかり、「支援」の製品という認定を受けてしまうこと、を根本から変えていきたいと思っているのである。
もちろん、前提として、ラオスとはお互いに生活が成り立つような対等な立場でやっていく。(若干の矛盾もあるかもしれないが、生活の厳しさなども加味しつつ、ラオス > 日本側 の優先順位で)
そのため、私たちのブランドのあり方として、
「素敵な製品!」 =>「ラオスの布なんだ!」
という順序で、お客さんに届いてほしいと考えている。
正直なところ「ラオスの布」という制約のある中で、
製品それ自体の良さファーストで、お客さんに気に入ってもらうことは、
非常に難しいと感じているし、かなり大変なことであるというのを実感している。それは、アパレルのデザインをしている妻が一番よく理解している。
しかし、逆にいうとラオス生産者さんが織る布であれば、この順序で届くようなブランドを作り上げることができる、と思っている。
つまり、この可能性を秘めた大きな挑戦というところが、
私たち『siimee』ブランドの存在意義なのだと考えている。
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