【介護施設】高齢者虐待防止に資する研修【不適切なケアの予防】
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。
介護施設の法定研修である【高齢者虐待防止に資する研修】を記事にしました。
利用者さん(入居者さん)に対する虐待が生じてしまう施設は、必ず職員の不適切なケアが行われています。
不適切なケアの積み重ねが、虐待へ発展してしまう訳です。
よって「虐待予防」は、まず「不適切なケアの予防」から取り組む必要があります。
この研修記事では、「不適切なケアとは何か」「どうすれば防げるのか」についてお伝えしていきます。
具体的な内容は、次のようになります。
文字数は5000文字程度で、ワークを入れると1時間程度の研修にすることができます。
それではさっそく、見ていきましょう。
高齢者虐待とは、身体拘束とは
まずは「高齢者虐待とは何か」、「身体拘束とは何か」について復習しておきましょう。
高齢者虐待とは
高齢者虐待とは、高齢者が介護施設・ご家族などから、身体的・経済的・心理的に権利を侵害されることです。
いわゆる高齢者に対する深刻な人権侵害のことです。
高齢者虐待には、次の5つの種類があります。
この5項目に該当する行為は、【高齢者虐待防止法】により禁止されています。
法律で禁止されているため、それを破ると勿論、刑罰が科されます。
どのような刑罰があるのか気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。【介護施設】高齢者虐待の防止に資する研修vol.1
身体拘束とは
身体拘束とは、本人の意思に反し、次のような方法で行動を制限することを言い、介護施設では原則禁止されています。
徘徊しないように、車イスやイス、ベッドに体幹 や四肢をひもなどで縛る
転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひもなどで縛る
自分で下りられないように、ベッドを柵(サイドレー ル)で囲む
点滴、経管栄養などのチューブを抜かないように四肢をひもなどで縛る
または手指の機能を制限するミトン型の手袋などを着ける
車イスからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車イステーブルを付ける
脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
自分の意思で開けることのできない居室などに隔離する
行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひもなどで縛る
しかし身体拘束は、「緊急やむを得ず」身体拘束を行うことが認められる場合のみ、認められます。
次に「緊急やむをえない場合」とは何か、どのような対応をするのか、をみていきます。
緊急やむを得ない場合の対応
身体拘束は「生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を行ってはならない」と定められており、緊急やむを得ない場合も、次の3つの要件をすべて満たす必要あります。
仮にこの3つの要件を満たす場合でも、以下の①〜④の手続きを進めなければなりません。
① 施設全体での判断
「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかの判断は、個人や数名では行わず、施設全体としての判断が行われるように、あらかじめルールや手続きを決めておく必要があります。
② 説明と理解
利用者さん本人やご家族に対して、身体拘束の内容、目的、理由、拘束時間、時間帯、期間などをできる限り詳細に説明し、理解を得ることが必要です。
その際の手続きや説明者についても、事前に明文化しておく必要があります。
③ 常に観察・再検討する
やむを得ず身体拘束を行う場合は、常に観察・再検討し、要件に該当しなくなった場合にはただちに解除しな ければなりません。
④ 記録の義務化
やむを得ず身体拘束などを行う場合には、その対応および時間、その際の利用者さんの心身状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければなりません。
身体拘束についての研修資料を探している方は、こちらの記事を参考にしてください。【介護施設】身体拘束の排除の為の取り組みに関する研修
不適切なケアとは
明らかな虐待とは言い切れないけれど、決して正しい方法でもない、「倫理的にグレーゾーン」であるケアのことです。
ここまで挙げた高齢者虐待・身体拘束に当たらない行為であっても、不適切なケアはいずれ虐待などにつながると考えられます。
では、次によくある不適切なケアをあげてみます。
あだ名や〇〇ちゃん呼び、呼び捨てにする
声がけをせず、いきなり車椅子をおす
「~したらダメ!」などと命令口調で行動を抑制する
利用者さんの許可無く、私物を触ったりする
衣服の着脱に「時間がかかりすぎる」という理由だけで、全介助を行う
利用者さんやご家族の言動をあざ笑ったり、悪口を言ったりする
「トイレに行きたい」と頻繁に言う利用者さんに「今言ったところだよ!」と言って対応しない
利用者さんの呼びかけに対して「ちょっと待って」と長時間放置する
子ども扱いしたりする
食事や入浴介助の無理強いなど、利用者さんに嫌悪感を抱かせるような援助をする
よくあるのが「利用者さんを座らせておく」という行為です。
どこの施設も「リスク管理」や「人手不足」に悩んでいるかも知れません。
しかし、「一人で勝手に動かないで」「座っていて」などの言葉は「行動を制限する」ことになり、利用者さんの「尊厳」を奪うことにつながります。
施設全体で「どうすればこのような声かけをせずに済むのか」を考えて対処することが、虐待防止への取り組みの一環にもなります。
不適切なケアを減らしていく取り組み
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