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ドキュメント映画研究会「行き止まりの世界に生まれて」鑑賞

 『オバマ前大統領がベストムービー選出!』という、ほんとだか嘘だかも、それが良いことなんだか悪いことなんだか微妙にわからないキャッチフレーズでPRされている話題のドキュメント「行き止まりの世界に生まれて」を鑑賞してきました。

描いているのは、工業の衰退で超繁栄から一転没落しまくってるらしいイリノイと、そこに生まれ育った三人の仲間。監督が少年の頃から12年回し続けた映像とインタビューで、貧困、就学率就業率の低下、人種、家庭内暴力など「アメリカの一部」がたくさん切り取られています。

その描き方がとても上品というかバランスが良いというか、一見「リアル世界の”スタンド・バイ・ミー”」的な私小説的な話なのですが、全体にはずっと民主か共和かで混迷するアメリカを浮び上らせているように感じました。
「オバマ云々〜」のキャッチもさもあらん。11月の大統領選がどうなるのかにさらに興味が湧きました。

この映画に描かれるアメリカの姿は、コロナショック以降の日本なのかもしれません。衰退しつつあるアメリカと勃興止まらない中国とのIT戦争の間で、日本はどうしていけばいいのか。どんな未来が待っているのか。
正解はそもそもないことだけれど、一人一人が考えるきっかけになりえる映画だと思いました。

固い話は抜きにしてもポイントポイントに入ってくるスケートボードのシーンがとてもとてもかっこよく爽快。(同時に車や人がいない貧しさの廃墟感も感じましたが)。
特に子供時代は、笑顔も怒り顔も泣き顔も、みんな良い顔してて、スケボー好きなんだなあってことがよく伝わります。何かに熱中してる人はパワーをくれます。カメラを回すのがお友達だから、ってところも大きいんでしょうね。

そんな子供らも成長するにしたがい、仲間内でも外向的でハンサムなリーダー格は滑り落ちていってしまい。内向的だった子は過去も受け入れ決別し、家を出て、少しづつだけど頑張ろうとしていく。
自分を取り巻く環境がどれだけ惨めでも、本人が前向きでさえあれば、人生は良いものになるのかもしれない、と思いました。

プライベートフィルムのような、国家レベルの社会問題を描く超大作のような、ロードムービー系創作映画のような、You Tubeのような、ドキュメンタリーのような、報道のような、スポーツのような、コンプレックスしてるような、クリアなような。

ひと一人の人生を切り取れば、そういう映画になるのかもしれませんね。


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