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社会人留学の後悔・英語・キャリア|就活編/アメリカに来たらビジネス経験が積めるって、言ったじゃないか!!!泣

仕事が決まっていません。

こんな辛い書き出しから始めるとは、渡米してすぐの頃の自分は、露にも思っていませんでした。「俺は日本で優秀だったマーケター。言語の壁はあれど、そこを突破すれば世界のどこでも通用する」そんな奢りが今、脆くも朽ち果てています。

このnoteは、アメリカでの社会人留学生のつらい就活の現状をお伝えするとともに、いままさにシーズンなので、米国のどこかで就活を頑張っている社会人の方への励みになればいいなと、そしてこれから社会人留学を考えている方に対する有益なルポになればいいなと思い、ジャーナリズム魂を燃やして執筆されました。

ジョブハンティングが辛い要因は、構造的に何層かあると思います。ジョブマーケットの状況、ビザや就業期間、マーケティングという職の特徴、そして個人のキャリアを考える上でのプライド。これらいくつもの壁がある中で、なんとか希望の職を掴み取る。それがジョブハンティングです。日本にいて、メールをひらけば毎日数十件のスカウトが来ているような状況とは天と地の差です。日本の「就職氷河期」とはこんな感じだったのかな、とふと学生時代にバイトをしていた先の先輩スタッフ(40代)のことを思い出してしまいます。

ここまでのジョブハンティングの状況を数字で振り返ります。

  • 期間:5ヶ月(昨年12月末から開始)

  • 応募ポジション数:373件

  • 面接数:9件(応募からのCVRは2.41%)

    • 日系企業:6件

    • 現地企業:3件

  • オファー:0件

自分は端的にマーケティング関係の仕事を探しています。過去の実績もあり、年齢も25でもう「何にでもなれる若者」感はないので、より自分の領域にコンシャスに、プライドを持ってジョブハンティングをしているところです。

しかし、なかなか希望の職に巡り会えません。マーケティングだと思ったら「営業」でした、とかマーケティングだと思ったら「無給」でした、とか。一体何が悪いのでしょうか。
マーケティングの仕事だって言ったじゃないか。
アメリカに来たらビジネス経験が積めるって、言ったじゃないか!!!!!


そもそもの市況感

「私はダブルメジャーで3ヶ国語話せるけど、仕事が見つからない。この経験が私を"謙虚"にさせた」そんなぼやきから始まるこの記事が、現在のアメリカでの若者(特に学位を持っていても)の仕事探しの難しさを端的に表しています。

記事によれば、

  • スキルや能力に見合わない低いレベルの仕事についている(Underemployment)若者は40%に上昇している。

  • 38%の雇用主が直近に大学を卒業した若者の雇用を避け、58%のマネージャーやエグゼクティブが新卒は社会人としての準備ができていないと感じている。

  • 人手が足りていな業界が、必ずしも新卒が働きたいと思う業界ではない。逆に注目のIT業界などでは解雇が相次いでいる。

業界のミスマッチ感、そして自分のスキルに見合わないレベルの低い仕事(これを嫌味な印象を与えないように言うの難しい)という問題は、まさに自分も感じているところです。

そう考えると日本のポテンシャル採用というのは逆にすごいなと思うのですが、とにかくアメリカのジョブマーケットは今あんまり良くない、ということです。

いわゆるサバイバル・ジョブというのでしょうか。このバカ高い家賃と生活費を支払い、アメリカにしがみつくための仕事も徐々に視野に入ってきていて怖いです。

ビザ

以前のnoteでも書きましたが、「OPTで1年」というのはワークビザとしては底辺です。1年後に辞めることがわかっている人間を迎え入れたり、教育したり時間を費やすことは明らかに非効率なので企業は普通に避けます。

なので、これからアメリカに留学して現地でも働きたい、と考えている人は、最低でも3年のOPTビザが取れるSTEMか修士(MBAなど)を目指してください。理系の学生であればまだ希望はあります(自分より若くてエンジニアや医療系の仕事についていて、月収100万円以上あるような方をこっちでたくさん見てきました)。正直、自分のプログラムに来ようとしているキャリア志向の若者には、俺は全力で止めにかかります。「来るな!!STEMに行け!!」と。

そしてOPTで働き始められる期間も問題です。自分の場合は7月1日からですが、企業としてはすぐにポジションを埋めたいので、理想なのは「いつでもアベイラブル」な状態です。その意味では、7月1日からの90日間(仕事がなくても滞在していていい期間)が、最大の山場になるかもなと感じております。

マーケ職の特徴

「マーケ」というのもまた絶妙なポイントだなと思います。会社の規模感や業界にもよるのですが、B2Bで小さい会社(これがポジションの大半を占める)はマーケではなく営業を求めており、B2Cだとしても予算がなくてSNS運用やブログ記事作成など、こじんまりとした仕事が多いです。

大企業になればポジションはある程度ありますが、そもそも絶対数が少なくハイコンペティティブなので引っかかりにくい。「P&Gとかに行けばいいじゃん」「Amazonとかに応募すればいいじゃん」とよくアドバイスされるのですが「しとるわ!!!!!!!!!!」と。ただそこ一本頼みでキャリア設計できないからいろんなところに応募しているわけで。そういう意味では前職のような、新卒に数億の年間予算を任せる環境は、極めて貴重だったなと思います。

プライド

そして自分の中のプライドにも気づく訳です。自分は経験のあるマーケターであり、前職の給与も比較的良く、上流設計から実行・分析まで一気通貫でできる。ソロマーケターとしてのプライドが、徐々にエントリー・レベルやインターンの仕事を遠ざけていきます。そしてマネージャーポジションとかSpecialistポジションに応募しても、"Unfortunately…"と断られるばかり。

思えば私はアメリカでは一切のジョブ経験がない、しがないニートです(先日お話しさせていただいた社会人留学生の方が「グローバルニート」と自称されており膝を打ちました)。周囲の大学生と同じ気持ちで、イチからキャリアを築いていく気概がないと、プライドで高を括ってしまっていては、掴めるチャンスも掴めない。

英語のイディオムで「Get one's foot in the door」というのがありますが、まずはその業界、職種の取っ掛かりを掴むのです。最初から理想のロールではなくても、徐々に範囲を広げて、希望する経験を積むことは可能です。

日本にいればミドルレベルかもしれませんが、アメリカではエントリーレベルも、インターンも厭わない。感覚としては、マネージャーポジションと一緒にそっちのレベルも見て、幅を持って就活していく感じです。毎日10~20件と応募していると、そのうちリストも枯れます。営業のように、毎日のリスト作りも大事です。その意味でもちょっと「謙虚に」就活を進めていくことが大事かなと思います。

ただプライドは大事です。そのプライドの上で、アメリカでの経験が、たとえエントリーレベルだとしても、長期的に見て資すると感じれば残ればいいだろうし、そう感じなければ日本に帰ってもいいと思います。自分は一度日本に帰ったら、戻ってくるのがさらに厳しそうなので、ギリギリまで就活して、まじでやばかったらビズリーチに登録します。

先日たまたま観た『ピッチ・パーフェクト2』で気づいたのですが、あのアナ・ケンドリックでさえインターンからスタートしているのです(コーヒー淹れ)。前職のバリューの一つだった「Giveから始める」の精神が、少し薄れてしまったかなという今日この頃です。

メンタル

そんな長期化している就活ですが、正直この就活自体が将来何らかの役にたつとはあんまり思えていません。迫るタイムリミットと、じわじわ効いてくる「Unfortunatelyメール」(=お祈りメール)、そして期待して臨んだはずの面接で発覚したとんでもないミスマッチの数々が、将来への希望を、自尊心を、ガリガリ削っていきます。

人と話すと少しはフラストレーションが解消されます。人と話しましょう。愚痴でもいいと思います。「無給とか舐めすぎ」「就活やばくて絶望してる」。僕は何度も友人に話してやり抜いてきたし、これからもそうすると思います。そして週に1日くらいは応募作業もやめて、ちょっと俯瞰して捉える時間を持つのも大事かな、と最近になって思います。

経済的不安

このnoteを2~3ヶ月後に見返した時に、「あの頃は病んでたな」と思えるようにしていたいです。無事ジョブをセキュアして、アメリカでの経済的基盤を整えられるように。

先日ボストンのマーケコンサルファームの面接を受けた時、「お前のモチベーションは何だ?お前が毎朝ベッドから起きる、そのモチベーションはなんだ?」と聞かれ、結局思い浮かんだのが「経済的自立」でした。

「アメリカに残りたい」と、先日電話で母に話した際に、真っ先に心配されたのが経済面でした。普段はいい意味で僕のことを全く気にしない、心配しない母がちょっと神妙な感じで聞いてきたので、僕もこれはマジだなと。

マズローの欲求5段階説を思い出さずにはいられません。僕が感じているのは、そもそも「金が稼げないかも」という原始的な不安です(下記の図で言ったら生理的欲求とか安全欲求とか)。身包み剥がされてサバイバルしている気分です。This is America.

そういえば社会人ってこんなゲームだったな、と思い出します。金を稼いで、それを使って、を繰り返して。家も子供も車も自分のバジェットから出す。「仕事が手に入ればアレが買えるな」と考えているのは、まるでゲームで装備を揃えているみたいです。

おわりに|使っているサイト、エージェント、ツールの一覧

記事の要旨としては、「アメリカの就活がなんでこんなに難しいかを言語化する」というものなので、一旦この辺で筆を置きますが、最後に自分が使っているサイト、エージェント、ツールなどをまとめて記載しておきます。

サイト

  • Linkedin

  • Indeed

  • Handshake

面接の大半はIndeedから獲得しています。「Japanese Marketing」などで調べるとより良いです。Handshakeは学生向けのインターン求人検索で、こちらからも現地企業の面接がたまに入ります。Linkedinはこれまで自己応募で面接を得たことはないですが、直接企業の人がメッセージをくれて面接に至ったことはあります。

エージェント

基本的にはEADカードが届いていないと動いてくれないですが、登録〜面談を済ませておいて、市況感を聞いたりするのには良いと思います。

ツール

企業が過去にH1Bビザをスポンサーしたかや、自分の経歴とポジションのマッチ度を表示してくれるブラウザの拡張機能です。「スポンサー企業を効率的に探したい」といった方にとてもおすすめです。

2ヶ月後の自分が、無事アメリカの企業で働いていることを祈って。先日シアトルから見えたオーロラの写真を最後に貼っておきます。

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