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たんざくに込められた「せかいへいわ」と不登校児についての考察


2023年度 ともみゅーじっくたなばた制作より

せかいへいわ〜不登校に込められた小2の男子の気持ち〜

なぜ、ピアノ教室でたんざくを書くのか?

うちのピアノ教室には、意図を持ってきている生徒さんがほとんどです。
ピアノくらい、みんなやってるし、あの子もピアノ弾けて、羨ましいから、みたいな、ごく一般的な動機は少なかったりします。

障がい児者の方を「積極的に受け入れる」ピアノ教室として、10年が経ちましたが、ことに発達障害(本当は、神経発達症、また害はひらがなが適していると思いますが、わかりやすくあえて発達障害と書かせていただきます。ご了承ください)
のかたは、
①指先の弱さ、不器用さに困難を感じているお子さんが多い
②想像力(イマジネーションの問題)を抱えているお子さんが多い
ので、
ピアノという、自分の表現の手段に向き合うときの手助けとして、季節に工作を盛り込んでおります。

うちの教室では、たなばた、ハロウィン、クリスマスは必ず工作や壁面制作をします。

短冊にお顔をつけてもらいますが「顔描くの、苦手なんだけど〜」
という生徒さんも何人かいます。そういう生徒さんには、目はシールを貼ったり、
中には顔は書かず、自分の好きな動物や車を書いてくれる生徒さんもいます。
取り組むことに意義がある、と思っています。

ワクワク、考えること、笑顔で取り組めることがピアノにも繋がる

苦手なことをしなさいと言われて、笑顔には慣れませんよね。でも、ピアノだって、本来弾くのが苦手な子供達の集団なんです。
でも、音が出たら嬉しいし、音を紡ぐためにしていく工程も、マルチではありませんが、タスクがありますので、この子達の人生にとって、必ず有意義なことだと思っています。

お願い事と書くことで、ここ1年の成長が視覚化できる

昨年、3つも4つも短冊を作った幼児さんがいました。
たくさんお願いがあるのね、と見守っていました。
初めてかくひらがな、握りがきでお母さんに教えてもらったり、私の真似をして書いたり、鏡文字人っているのが可愛かったり。

その生徒さんは、昨年、たくさん書いたものは全て「名詞(大体は欲しいものの名称)」でしたが、今年は、「りょこうのときにあめがふりませんように」と立派な文章になっていました。すごいね〜、と、昨年のものをお家の方にも共有して、
成長を喜び合いました。
長いスパンで成長を感じる、って、なかなか毎日会っているご家庭だとできにくいんですよね。

そんな成長の物差しの一つになればうれしなと思って続けている活動です。

せかいへいわ、のたんざくを書いた小2の男の子の話

短冊を書いてみよう、というと、一目散に「せかいへいわ」と書きました。

注目すべきは「せかいへいわ」を書くという姿勢でした。

この短冊を書いたのち1ヶ月ほどで、読み書き障害(SLD)の正式な診断がおりました。
読むもの描くのも難しさを感じています。

そして、SLDだけでなく、ASD(自閉スペクトラム症)も、ADHD(注意欠如多動症)も持っている、いわゆる「自閉フルコース」をお持ちの生徒さんです。

発表会にも、お花に添えて「自分の名前」を精一杯の頑張りで書いてくれました。
本当に、宝物です。

発表会までやり切りました

そもそも夜眠りづらく朝起きにくい、支援級に在籍しています。ちょうど1年前のたなばた制作の頃から、SLDの彼にスパルタ式の繰り返し練習をさせる先生がいて、学校に行くことがだんだん遠のいていった時期でもありました。

学年の後半、SC(スクールカウンセラー)、SSW(スクールソーシャルワーカー)、学校の管理職が、学校へと誘う関わりを急速に進めていったものですから、秋の運動会ごろからなんだか家族の皆さんも疲弊しているように感じました。

教室の発表会は12月でしたが、その日まで、休まずレッスンに来て、楽譜を使わないレッスンをしていました。ノリノリで、彼にとって音楽は味方です。

発表会が終わって、一度、心の思いを話に教室に来たことがありましたが、その日を最後に、春まで在籍はしていましたが、教室は退会されました。

白黒思考のダメおしはSSWの一言

昨年の冬、学校に来させようと「ゆびきりげんまん」をして家庭訪問を終えたSSW。

「学校」という名のついた肩書きの方からの「約束」は、
守らなければならない。どうしよう、学校に行く自信がない・・
SSWは、給食の時間に校門で待っている、僕はどうしたらいいの???

ASDの特徴に「白黒思考」というのがあります。
どんなにお小さい方にも、大なり小なりあります。

この男子は、その狭間で、結局夜眠ることができませんでした。
でも、「約束だから」ということで、あかあさまと校門まで行ってSSWに会いました。
そこから、在籍する支援級に導かれたらしいですが、パニックを起こし、帰宅することになりました。

本人、「もう学校を辞めたい」と言ったそうです。

ピアノ教室も辞めることになりました

SSWの家庭訪問は何度かにわたりありました。
女性のSSWだったそうですが、「学校に行かない間は、家でゆっくりしとこうね。」と、放課後等デイサービスやピアノのレッスンにいかないように、本人に言われたそうです。

文字通り、白黒思考も手伝って、「学校には絶対行かないから、他のこともやめなければいけない」と、春に教室を去りました。

飛んだ営業妨害を喰らった気持ちになったのは、大人気ないですか?

学校で問題を抱えている、リコーダーの指導がその子まで追いついていない、
お母さんの気持ちの拠り所になる、子どもたちの味方でいる、
そんな「第3の居場所」のピアノ教室の立ち位置として存在しています。

「子供は地域みんなで育てるもの、一緒に応援しよう」という気持ちはないのか?
と、正直憤りを感じました。

もちろん、ピアノ教室といっても、うちの教室はとても特殊ですので、
SSWからしてみると、学校にも来てないし、勉強だっておぼつかないのに、何がピアノ教室ですか!と思ったのかもしれません。

では、そこを賄えないでいる学校は、学校に来ればなんとかなる、と思っているんですか?できないじゃないですか?!

(もちろん、学校により、先生により、差があることは承知です)

私はピアノや音楽に関しては、正直、支援、合理的配慮のプロです。
学校が心を、門扉を開いてくれたら、いくらでも子供たちの
応援ができます。

実際、他の生徒さんにも例がありますが、
学校は学校の中だけで完結させたい思いが強く、空回りをしております。

彼は将来BIGになるかもしれない

ASDの方には比較的「視覚優位」(見る情報が得意)が多い中、彼は「聴覚優位(聞いた情報は10分たっても忘れていないくらい、耳から得る情報の処理が得意)」なのです。

現在のことは知りませんが、きっと、大人になる過程で素晴らしいスキルと味方を手に入れることと信じています。

だって、ピュアで、「せかいへいわ」を祈る素敵な子ですから。
それを願っているのが、今年の七夕の私の姿かもしれませんね。

教職の方、どうかお願いします

一人一人に構っていられない、そんな考えの教師は、正直やめた方がいいと思います。一日24時間しかないのは、人間に平等に与えられた期限です。

その子の人生が、ある日「ぱたっ」とやんでしまったら、どうしますか?

その時にどんなに悔やんでも、遅い話です。

そういう「闇」を抱えながら、夜寝ることからもがいている子供の気持ち、汲み取ってあげてください。

そして、一人一人の子どもを愛してあげてください。

未来を担うのは、子供達です。

あとがき

私にも、ガチの睡眠障害を患った娘が一人おります。もちろん、学校にはいけない時間もたくさんあり、不登校を通して感じたこともたくさんありました。
不登校のタグがある投稿にはお邪魔させていただいています。よろしくお願いします。







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