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子どもたちと考える、鞆の浦の健康課題と解決策

みなさま、「地域診断」という言葉になじみはあるでしょうか。

対象の地域を深く観察し、特徴や問題を把握。
問題の解決策を考え、実行する。その一連のプロセスをいいます。

例えば、道路脇の溝にふたのない地域があったとします。
すると、溝に足を取られて転倒しけがをする高齢者が増えてしまいます。
こうした健康課題を発見し、ふたを設けるなどの解決策を実行する。
これが地域診断です。

11月初旬、鞆の浦学園の5年生たちが、地域診断に挑戦しました。
子どもたちがお年寄りから困りごとを聞き取り、自分たちなりの解決策を提示するまでの、ワークショップをレポートします。

【鞆の浦学園の学校医であり、家庭医の平岩千尋先生が代表をつとめる「鞆のくらしの診療所」が主催。全国から集まった医療・福祉専門職たちでつくる鞆の浦・地域医療プログラムが参加・協力しています。さくらホームも運営のお手伝いさせていただきました。】

まず子どもたちは鞆の浦のお年寄りたちが集うサロンやカフェに出かけ、「困りごと」「不安なこと」のほか、日課やストレス解消法など生活全般のヒアリングをしました。

準備したインタビューシートを基に聞いていきます

複数人から聞き取った回答には以下のようなものがありました。

・自動車の運転ができなくなり、行けるところが少なくなった
・高いところのものが取れなくなった
・夜になるとさみしい、眠れない
・脚が悪い。友達とのランチが日々の楽しみだが、できなくなるのが不安

・人との会話を楽しんでいる
・ラジオをよく聞いている
・週に1回サロンで体操をしている
・イノシシ猟をしている

などなど。

次に子どもたちは、おじいちゃん・おばあちゃんたちの回答を「健康」的(青付箋)か「不健康」的(赤付箋)かに分け、その上で、「体のこと」「心のこと」「生活のこと」の3つに分類していきます。
事前に平岩先生に健康とは「単に病気ではない状態」を指さないと教わりました。
体・心・生活はそれぞれに関係しあっていて、
それぞれに病気がない状態が健康なのだと。

事前学習も踏まえ、班ごとに話し合い、そして「健康」「不健康」だと思った理由(黄色付箋)まで書き出していきます。

こんな感じに
講師の理学療法士・ワークショップデザイナーの佐々木将人さんと一緒に考えます

子どもたちはおじいちゃん・おばあちゃんと同じ鞆で暮らしています。

「車が運転できんかったら移動範囲が狭くなる」
「食べ物買えんくない?」
「スーパーないもんな」

などと、想像力を膨らませながら困りごとの原因を深掘りしていきます。

原因を探った次は、「自分たちにできる」解決策やなぜそう考えたかという理由をシートに記入していきます。

熱心に書く子どもたち

例えば、「友達とランチできなくなる不安」について。
ある班は「脚の筋肉が悪くならないようにたくさん歩いてもらうため、散歩ルートをつくる」ことを考案しました。
「夜眠れない」という困りごとに対しては「ホットアイマスクを作ろう」というアイデアも。
健康課題について考えた子どもたちの目線から、「鞆の浦にあったらいいな」と思うものも発表し合い、「買い物ができるところ」「車いす用の道路」「みんなで健康を考える日」などと様々な意見が飛び交いました。

おじいちゃんおばあちゃんの健康について考えるうちに、自分の健康とも向き合いだした子どもたち。「公園からブランコがなくなった。ブランコがほしい」と話してくれる子もいました。

計画をみんなの前で発表

そして冒頭記したように、課題解決策を実行するまでが地域診断。

実は鞆の浦学園での「子ども主体の地域診断プロジェクト」は昨年に続き2年目で、地域の健康のために現6年生が出したアイデアはすでにひとつの形になっています。
それが、「鞆の浦体操」です。

年齢問わず、楽しんで体を動かせる体操で、
さくらホームにも子供たちが教えにきてくれました。
動きも音楽も手作りで、すごい。

ことしの5年生たちのアイデアはどんな形になるのか。
楽しみにしたいですね。

文・高本友子(さくらホーム)
写真・山本尊也、高本友子

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