さくらホームが「訪問」でしていること
こんにちは、さくらホームのスタッフ兼ライター、高本です。
わたしが勤務している鞆の浦・さくらホーム(福山市鞆町)の特徴は、利用してくださっている高齢の方々が、たとえ介護度が高くても、本人がそう望むなら、自宅で暮らし続けているという点にあります。
業界でみても、珍しいことだと思います。
さくらホームは、在宅の暮らしを支えるため、
鞆町という小さなエリアに5つの福祉拠点を持ち、24時間365日のフォロー体制をとっています。
鞆町出身者や移住者など、鞆町在住のスタッフも多いことから、フットワークも軽い。また、介護事業では利用者を町民に限っているため、各お宅を訪問して支援する際の、移動時間も短縮できる。
さくらホームが、高齢者の「在宅」生活を支えられるのは、この体制のおかげか、と最初は思っていました。
しかしどうやら、ここが本質ではありません。
もちろん「体制」は大事ですが、さくらホームがここまでの仕事ができるのは、
介護職である自らのプライドを鼓舞するかのように、わたしたちの支援の現場で語られる「その人らしさ」の追求です。
気持ちの問題かい、と思われるでしょうが、ここを第一に考えられるから、できなさそうに思える「在宅」も可能になるんです。
入社後、ホームへの「通い」の現場で仕事していたわたしは1か月ほど前、「訪問」の仕事も始めました。
利用者さんのおうちに伺って、身の回りの生活を支援をする仕事です。
訪問の仕事の内容は、「食事」「排泄」「服薬」「環境整備(掃除)」「洗濯」…と、同じ言葉にまとまります。
ただ、同じ言葉の裏で、やっていることは各お宅で少しずつ違います。
たとえばAさんのお宅ではお部屋の掃除をした後、掃き出し窓を開けたままにします。
他のご自宅なら特に今の時期はエアコンの効きを良くするために閉じますが、Aさん宅なら閉めても網戸です。
Aさんは風がよく通る自分の家が好きだからです。
ご自宅の目の前は海なので、気持ちの良い海風が入ってきます。
海を眺めて過ごすのが日課で、それが認知症になっても、お一人暮らしでも、Aさんが在宅生活を続けている理由でもある。
こんな細かな仕事が、さくらホームの「訪問」にはあふれています。
「その人らしさ」って、もちろん「その人」によって違います。
譲れないこだわりだったりするでしょうし、
人間関係だったりもします。
いろいろ考えますが、ご本人にとっての「守りたいこと」かなぁと思うなど。
それが守られなかったからといって、すぐに自分が壊れるわけではないけれど、じわじわと自分の心をむしばんでいくもの。
もしかしたら、年齢を重ねて、できないことが少しずつ増えて、初めて気づくかもしれないもの。
ここを奪ってしまうと、あっという間に暮らしは機械的なものに変貌してしまいます。
利用される方の「鞆で死にたい」という願いのうらにある、守りたい思いを読み取って、細かなカタチにするのが、さくらホームの「訪問」の仕事です。
この「読み取る」作業が難しく、またこの仕事のやりがいでもあるんですが、その話はまたいつかー!
さくらホームスタッフ・高本友子