法務から"越境"する取組を通じた学び
この記事は法務系Advent Calendar 2023の17日目の記事です。Miyaさんから頂いたバトンをnaka2656さんにしっかりとお渡ししたいと思います。
私は今回が初参加ということもありテーマ選定に悩みましたが、私自身が2023年に取り組んだ業務の振り返りも兼ねて、法務から"越境"する業務(=他部署との連携が必要となる、いわゆる部門横断的プロジェクト)を通じて、私が「この力は今後強化していかなければならない」と感じたことをまとめたいと思います。
若手からの脱皮を目指している青二才の考えたこととしてご笑覧ください。
*いずれも「会社による」「人による」部分が大いにありますので、その前提でご覧ください。
**どういうことをして/どういう失敗をして、ということを具体的に書けませんので、どうしても抽象的になってしまっておりますがご容赦ください。
「もっとこういう力も必要」「私はこういう意識で取り組んでいる / スキルを活かしている」といったご意見がありましたら是非教えてください。
前提
企業によって組織形態は異なりますが、プライバシーだったりデータだったりAIだったりその他新たな経営上の課題だったり、新たなテーマが生まれてきたときに「どの部署の所掌か曖昧」「バーチャルチームで対応しなければならない」という状態が生まれることがあると思います。
私が取り組んだ業務はこの類のもので、私が法務から担当者としてプロジェクトに参画しましたが、プロジェクトにおける各部署の役割分担は曖昧で、また取り組むべき具体的な施策も決まっていない中で、このプロジェクトを進めていく必要がありました。
より具体的に言うと、法務の他に、知的財産・セキュリティ・技術開発(テック)といった部門のメンバーと日常的にやり取りをしながら業務を進めました。その道の”プロ”が集まる中で、法務担当である自分がどんなバリューを発揮できるか、ということを考えた期間でもありました。
法務部員として強化が必要と感じたもの
PM(プロジェクトマネジメント)スキル
”越境”する仕事に向き合うにあたっては、取り組みスケジュールを描いて、関係部署を巻き込んで(=取組意義について理解・納得・共感してもらい、複数レイヤーからのコミットをもらって)、途中で突発的に発生するトラブルに対応して、といった営みが必要になるわけですが、私はプロジェクトを進めながらこのあたりの力量不足を感じました。
企業法務の典型的な業務として取引支援(契約ドラフト・審査、交渉支援等)があります。そういった業務では事業部/ビジネス部門がプロジェクトをリードし、法務はサポートという立場になりますので、法務は事業部が描いたスケジュールの上でどれだけ”良い支援ができるか”ということに注力することになります。こうした業務ではPMスキルを身につけられる機会にはなかなか恵まれません。
また法務部内の施策をリードすることがあったとしても、そのプロジェクトでマネジメントすべき範囲は法務部内に留まりますので、関係部署が多い中でどうマネジメントするのか、というスキルはどうしても身につきにくいのではないかと考えます。
今回のプロジェクトを進める中では、特に越境仕事では上司部下のような分かり易い指揮命令系統に基づいた指示ができないことから、人を巻き込む力が大切だと感じました。巻き込むにあたっては相手の”組織”や”人”を理解することも不可欠ですが、このあたりはこれまでにももっとやれることがあったなと、反省しているところです。
上手に首を突っ込む力
相手を「尊重」することと相手に「遠慮」することは紙一重だと思います。相手の所掌範囲であっても、なぜその判断に至ったか / どうしてその進め方をするのかといった点を理解したうえで尊重できるように、こちらの目線で気になったところについてはどんどんコメントを出すと、意外と良い議論につながることがありました。(もちろん相手のプロフェッショナリティへの敬意を忘れずに。)
またそうした議論を通じて、相手部門の”論理”が理解できるようになると、プロジェクトの進め方や部門間の連携方法等について、より良いアイデアが出やすくなりますので、プロジェクトマネジメントの観点でも有益です。
こうした営みをプロジェクトの最初の段階からやれると、早期に信頼関係が深められ、より密な連携の下でプロジェクトを進められるのではないかと考えます。
圧倒的な当事者意識
PMスキルと通じるものがあるかもしれませんが、プロジェクトをやり遂げるためには「最後は自分がどうにかする」という覚悟が必要だなと痛感しました。
プロジェクトを進めていると、予想外のトラブルが発生したり、関係部署が思うように動いてくれなかったりといったことがありますが、その時に「自分ではなくあの部署が悪い」「あの部署が動いてくれないから進まなくても仕方ない」と考えてしまうとプロジェクトはいつまで経っても前に進みません。
滞っているタスクが法務の所掌ではないと思えるものだとしても、「誰もやらなければ私がやる」と考えてやり切るぐらいでちょうど良いのだと思います。(もちろん部門としての役割ごと押し付けられないように配慮しながら)
一方で、知らず知らずのうちに他の部署のメンバーが、私の仕事をカバーしてくれていることもあるはずです。”お互い様”という気持ちを忘れずにいることも重要です。自戒を込めて。
(+ 熱意)
関係部署を巻き込むというところにつながりますが、「なぜこの取り組みをやる必要があるのか」「なぜあなたの部署との連携が不可欠なのか」といったストーリーを語って共感してもらえないと、巻き込みきれません。
法務部門の業務の特性上、法務部員はロジカルに語ることが得意な人が多い印象です。しかし人を動かすにはロジカルさだけでは足りず、熱意を持って伝えて初めて人が動く、ということがあります。
青臭いかもしれませんが、今回の取り組みを通じて、熱意をどれだけ持てるか / この取り組みが絶対に必要だと信じられるかが最も重要とも言えるのではないかと考えました。そうした熱意を持てると、自分自身も圧倒的な当事者意識を持って取り組むことができ、多少のトラブルにへこたれずにやり切れる原動力にもなると思います。
そのためには部門横断プロジェクトが立ち上がる前から取り組むべきテーマの仕込みをしたり、プロジェクト発足直後は議論をコントロールして方向性を能動的に決めたり、といった動きができると良いのだろうと考えます。上から「落とされた」と感じる仕事と、自分が仕込んだ仕事では、初動が全く違ってきます。
最後に
法務部のある先輩が、越境仕事に必要な力を端的に言い表していました。
「巻き込む力と巻き取る覚悟」
まさにそうだなと。私も引き続き精進したいと思います。
私のnoteでは、他にも日々考えたことをアウトプットしたり、オススメ書籍をジャンル別にまとめていたりしています。お気づきの点等ありましたらX(旧Twitter)やnoteの記事にコメント頂けると嬉しいです。
法務系 Advent Calendar 2023、次回はnaka2656さんです!よろしくお願いします!
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