
詩「ある教師曰はく」
「幸せな時間は短い。そうじゃない時間のほうが、人生ではずっと長い」
ふうん?
これは珍しく、綺麗ごとを言わぬ教師だと思ったものだ
厳しい真理を告げている
大人の言うことのダミーかそうでないかくらい
子供にだってわかるのだ
彼は好ましく愚かな大人であった
あのようなままで今も生きているだろうか
戦いにくたびれて打ちひしがれ倒れていはしまいか
それはそれで止むを得まいと思う
好ましい大人が生き長らえるとは限らない
正しい人間はたくさん死ぬ
正しいほうが死にやすい
かの教師は今どうしているだろうと考えると
前向きな想像は働かないのだが
だからと言って感傷もない
その理由は自分でもわからない
自然淘汰であれば悲しまないなどということはないのだが
特に思うところもないのは
遠すぎる記憶の住人だからだろうか