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【装飾品と人の歴史】№1

 美麗な品々は、古来より単なる「オシャレ」を超えた意味がありました。
 或いは貨幣の代わりとなり、或いはお守りとなり。

 上の画像のターコイズ。所謂トルコ石ですが、一時期は大人気で持て囃されましたね。今でも根強い人気があります。
 森の慈愛を彷彿とさせるような穏やかで深い緑もあれば、青みがかった色合いの妙を思わせる緑ともつかぬ混迷の美もあります。
 突き抜けた晴天のような鮮やかな水色が、世に広まる印象としては多いでしょう。

 鮮やかな発色のターコイズの原石は数が限られます。

 ターコイズ人気にあやかり、鈍い色の原石を染め、それをお客さんには伏せて売ってしまう商売人さんもおられます。天然の鮮やかな発色のターコイズはそれなりにお値段もしますから、そこで購入するもしないも、お求めになられる方の拘り次第でしょうか。

 珊瑚もそうですね。

 赤味が強い天然の珊瑚はとても貴重です。
 中でも血のように真っ赤な珊瑚は血玉珊瑚と呼ばれ、高値で売り買いされますが、今ではそれが採集出来る場所も乏しくなっています。
 資源は減る一方ですので、入手困難・稀少という付加価値も加わり価格は高騰するのでしょう。
 山珊瑚もまた、真っ赤な天然のものは極めて珍しく、高価です。こちらも大抵のものが赤く染色されています。
 「天然」、「本物」等を重んじられる方が購入を検討される際には、よく見極めてください。
 染色にもまた、味わいがあるとは思いますけど。

 ターコイズには「旅人の守り石」という意味と役割があるそうです。

 石言葉なども近年では流行っています。
 先日、目の不自由な友人に贈ったブレスレットに、ジャスパーでしたでしょうか。天然石を使いました。特に手触りで楽しめるような作品にしようと、造りを考えて作りました。

 後日、その友人から「その石言葉を知っていたのか」。
 そう問われて、私は首を傾げながら「知らなかったよ」と正直に答えました。
 目の不自由な人を守る意味合いがあったそうです。
 偶然とは不思議です。

 装飾品を身に纏うことで自らの意思や立場の代弁ともする。
 真珠は冠婚葬祭で活躍する、その最たるものでしょう。

 また、ダイヤモンドはプロポーズの定番。
 金剛石とも称され、その強度と輝きゆえに種々の意味を持ちます。

 嘗て英国で「理想の家庭」と称された所のヴィクトリア女王は、最愛の夫を亡くした後、長くを喪に服しました。黒いドレスに身を包み、黒い装飾品を着けて。

 彼女の嘆きの発露だったでしょうか。

 女王が着けた黒い装飾品はモーニングジュエリーと呼ばれ、当時の貴族の婦人たちの間でとても流行ったと聴いています。
 素材はジェットが主であったかと。
 私もポメから贈られた、アンティークのジェット素材のブローチを持っています。
 帯留めにも使いました。


 薔薇の意匠ですので、薔薇そうびと名付けて冬によく愛用します。


 画像の黒いブローチが薔薇です。
 友人のラムさんから頂いた、風変りな陶器のブローチと重ね付けしてみました。陶器のブローチにも薔薇があってシックで可愛いです。

 この話は長くなりそうですので、マガジンとして纏めます。

 ご興味がおありの方はお運びくださいね。


 こちらにある長い棒のようなペンダントトップが、銀化したローマングラスになります。
 
 銀化は人工的には産み出せない。長い時間、自然現象がもたらす宝。

 ですから、銀化したローマングラスの壺が破損のない状態で発見されたら、博物館で展示されてもおかしくありません。

 摩擦には弱い銀化したローマングラスですが、水に浸すことには問題ありません。

 私は無精者で、大切な装身具は入浴時にもそのまま着けていたい。
 そう思いましたから、販売元の方に耐水性について質問すると、解り易く丁寧な「問題ない」というお返事を頂きました。

 ふふ。取り留めのない独り語りみたい。

 ではいずれまた。




 


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