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【装飾品と人の歴史】№2

 私は閑話休題にも挙げたような、ヴェネツィアンビーズが好きです。とりわけヨーロッパ向けに作られた彩り豊かで華やかなビーズ。
 ヴェネチアンビーズはパーティーに向いていそうな楽しさ、賑わいがあります。

 友人に贈るブレスレットには、彼女が好みそうなこちら。柔らかい温かみあるピンクに、金色のリボンが結ばれたデザインのビーズを。

 今回は。ポメにサプライズプレゼントとして製作したブレスレットの、ヴェネチアンビーズに触れてみます。

 


このブレスレットには、二個のヴェネチアンビーズを使いました。


 上の画像がそれです。
 実は、ヴェネチアンビーズの意匠は多様ではありますが、二枚目の画像のように、薔薇と勿忘草わすれなぐさがよく見受けられます。
 薔薇は特にそれだけでビーズの主役になっている物も多いです。色は主にピンク、赤。
 日本の桜ではありませんが、やはりヨーロッパの上流社会級の人たちにとって、薔薇は別格の花だったのでしょうね。

 赤色の薔薇の花言葉は「貴方を愛しています」、「愛情」、「美」、「情熱」等。
 ピンクの薔薇は「しとやか」、「上品」、「可愛い人」、「愛の誓い」等。

 勿忘草の花言葉は「私を忘れないで」、「誠の愛」、「真実の友情」、「真実の愛」等。

 花言葉は十七世紀のオスマン帝国(現在のトルコ)の「セラム」という風習が起源とされています。
 手紙以外で想いを伝える手段。
 言葉に出来ない想いを小箱に入れて、贈る。

 その中身に託したのですね。
 そして、小箱に花が納まることもあった。
 花に想いを籠めて贈る。
 その行為が花言葉を広めたそうです。

 華やかな社交界。
 そこで持て囃されるに相応しい花たち。薔薇と勿忘草だと思います。
 愛情が詰まっている。
 ですから、こうした意匠の装飾品を女性に贈ることは、薔薇の花束を持って愛を告白するにも等しい行為だったのでしょう。
 ロマンチックをこよなく愛する、貴族社会らしいですね。


金箔を使った技法のヴェネチアンビーズ


銀箔を使った技法のヴェネチアンビーズ

 時代は1980年代ですから、こうした装飾品を製造・加工する技術の向上が見て取れます。

 まあ、今回のブレスレット製作で最も高価だったパーツは、鮮やかな発色の天然ターコイズです。№1でも申しましたが、旅人の守り石。私のブレスレットにも同じくターコイズがありますから、こういうのもある意味ではペアルックの一つになるでしょうか。
 ポメの人生という旅を守って欲しくて奮発しました。

 華やかで高い技法により作られたヴェネチアンビーズよりも、ずっと値が張ります。
 それから、本物の小さな珊瑚も使いました。それはうちにあった品で、もう使われず見向きもされていなかったので、私が製作用に貰いました。

 色合いと艶が、やはり珊瑚。小さくて淡いですけれど、実物を見れば「珊瑚」らしき風格が上品に漂っています。

 珊瑚の石言葉もあるそうです。

 「長寿」、「幸福」、「勇敢」、「知恵」、「聡明」等。

 面白いですね。

 ターコイズはともかく、私は珊瑚のそうした石言葉は知りませんでした。
 良いアクセントになると思って使っただけですが。

 私がいなくなった後もポメを守ってくれますようにと、そのように願いながら作ったブレスレットでした。

 「長寿」と「幸福」。

 特にポメに求めるものです。


 ヴィンテージボタンも面白いです。そちらもいつか、装飾品の歴史としてお話したいです。高価なボタンは、とんでもなく高価。蒐集家コレクターが集めた選りすぐりで、絶対に売らないとまで愛されるボタンもあるそうです。



 装飾品に限らず、私が創作を手掛ける時、誰がしかを守ってくれるように。そう願っている時があります。

 №1で話した目の不自由な友人とは、かなり年の開きがあります。どう頑張っても私が彼女を置いて逝くことになります。ですから、せめてその後も守りとなる品を贈りたかったのです。
 ブレスレットも、短編も贈りました。

 閑話休題の友人、ラムさんと私は同年代くらいでしょうが、頑張っている彼女にエールを送りたくて。

 ポメにもそのようにしました。

 そのようにして考えてみると成程、確かに装飾品はお守りとして採用しやすい。
 歴史に納得するものが大いにあります。
 いつの世も、人の想いや願いはそう変わらないのでしょうね。

 年末からこちら、医療がパンクしております。
 コロナ、インフルエンザ、他。
 
 私も長生きを心掛けますので、皆さまもご自愛ください。







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