山下達郎の楽曲に浸りながらG.I.S.Mを手に取る。
もう滅茶苦茶だ。
80年代に青春を謳歌した世代の中には一定数存在するのかもしれないが、
その先輩方より20年近く遅れて産まれた(しかもど田舎)私の世代では
皆無だろう。
2023年を迎えてから、レコード熱が再発した。
高校を卒業し、満を持して地方都市に出てきた田舎者が20代半ばまで收集
したCDはピーク時で3,000枚を超えた。
『レコードしか存在しなかった時代の音源はレコードで』
こう考えていた当時の私は覚えたての初期パンクの音源はレコードで
購入していた。といっても10数枚ほど。
当時は、リイシュー盤とはいえ1,500円〜2,000円ほどで気軽に購入できて
いた気がするな。
脱線してしまったが、2005〜2006年頃にピークを迎えていた(と思う)
ユーロ激情(ハードコア)に、初期EMOを経由して出会った私はそこから
徐々にハードコアの名盤を漁るようになっていった。
当然、ジャパコアと言われるジャンルにも手を出した。
そこで当然聴かなければならないのがG.I.S.Mである。
当時、DISK NOTE(まだパンクフロアがあった頃)でM.A.Nのオリジナル
盤が30,000円近い値札を下げて堂々と鎮座していたのが記憶に残っている。
デジタルオーディオプレーヤーが普及し始めた頃で、アナログ盤はあくまで
CDが出ていなかったりアートワーク違い等のコレクション要素があるもの
だけを購入していた。
それでも、コレクションを全てデジタル化することによる特大放出セール
(購入者はディスクユニオンさん)の時には500枚くらいにはなっていたと
思う。
今更になって「あの時に売らないでおけば…」などと思っているが、
おそらく当時の自分には必要な行為だったのだろう。
脱線に脱線を繰り返しているが、G.I.S.Mの音源は某オークションサイトで
ブートCDを購入して揃えていた。
オフィシャルのCD盤は存在しなかったからだ。
そして、今日。
ディスクユニオンで、約20年振りにM.A.Nのあのアートワークが目に飛び
混んできたのだ。
一瞬、理解できなかった。
調べると、先月末にオフィシャルリリースされたようだ。
1stアルバムがRELAPSEから再発されていたし、意外でもないのかも
しれない。
それでも、今日ディスクユニオンに行かなければ気づく頃には売り切れて
いただろう。
結構な時間をかけて悩んだ。
(もうハードコアのレコードを保有するつもりはなかった)
しかし、円安や○○ブームなど「あの時買っておけば…」が多い昨今。
少なくとも、今日の自分には必要な行為だと直感したので購入に
踏み切った。
しかも、デラックス・エディションを。
そりゃそうだ。コレクションなのだから。
(伏線回収その①)
話は変わり。
約6年前、youtubeを流していたら関連動画(という名の無関連動画)
として山下達郎の『RIDE ON TIME』のフルVer.が再生された。
そこで1曲目の『SOMEDAY』に衝撃を受けた。
それまで『山下達郎=クリスマス・イブ』だった私にとって人生が
一変するような出来事だった。
そこからCDアルバムを一気に揃え、マイホームの購入を機に再び
レコードプレーヤーを手に入れ、アナログ盤を集め始めた。
その当時から『シティ・ポップブーム』はあった気がする。
でも『FOR YOU』『RIDE ON TIME』『MELODYS』はそれぞれ
1,000円〜1,500円で買えたな。
今となっては10,000円くらい…
そう、後から欲しくなっても高くて買えないことなんてたくさんあるのだ。
(伏線回収その②)
長くなったが、結局なにが言いたいかというと。
山下達郎が好きになって数年。
ようやくコンサートのチケットが取れて歌声を堪能してきた。
その余韻を引きずったまま、フィル・スペクター関連のレコードを
探しに立ち寄ったディスクユニオンでG.I.S.Mのレコードを購入した。
家に帰って並べてみたら強烈な違和感しかなかったということさ。
でも、ある意味で私のこれまでの人生を総括しているような気がした。