006 物や人に恵まれる在り方を

005 中学受験したいと言った彼女を後押しした私と夫の本音」とした前話では、次女が学校に行けなくなった頃の話を書きました。今回は、それから、の話。

なんで学校に行けないのか、何が理由なのか自分でも分からない。
でも、あの空間にはいられない。

小学校3年生の彼女には、自分自身の環境や感情を理解することはとても難しいことだったと思います。

親の私としては、一言で言えば、心だけが極端に成長して、環境も、自分自身もうまく適応できなかったのでしょう。
小学校3年生に理解させるのはとても難しい。

そして、彼女を理解することを同級生に求めることは、それ以上に難しい。

そんな中、次女と前後して、学校に行けなくなったお友だちがもう一人。
私自身、彼女が学校へ行けなくなった理由は存じませんが、子供同士、お互いがお互いを理解し合えたことで、二人は少しずつ学校へ行けるようになり、また、四年生で担任となったベテラン先生が、ほどよい距離で、そして強制することなしに、うまく二人を巻き込んでくださり、4年生の終わりには二人とも、ほとんど学校へ行けるようになりました。

そしていよいよ高学年に。クラス替えで二人は別のクラスになってしまいましたが、それは「二人はもう大丈夫」と、担任の先生が背中を押してくださったんだろうな、と感じました。

出会いって、本当に有り難いです。
人や物に恵まれる在り方を、と常に子供たちには伝えていますが、心底、それを感じた出来事です。
心の悲鳴を感じてくれた先生、理解し合える友人、理解してくれた先生。

そういうことがあって、急に5年生になって、受験がしたいと言い出したとき、勉強することを止める必要はない、という表向きの理由の他に、万が一、進学した中学校で息苦しさを感じだとしても、(地元の公立に移るという)別の選択肢を持っていた方が良いかもしれない、という本音も親としてはあったわけです。

ですが、結果、彼女にとって何より大事なのは「目標を持つこと」だったようで、今では生き生きしています。
とはいっても、学校が好きなわけではないと思います。
でも今では、自分が過ごすところだ、ということは納得して受け入れられるようになっているようです。

様々な機関で、周りが成長してくれば、改善する、というのはまさにその通りでした。

でも、体験しないと、そんな未来の話、頭では理解できても、なかなか受け入れられないですよね。どころか、うちの子は例外かも、なんて悲観的になってしまったり。なので、いま苦しんでいる親御さんに、大丈夫、なんて言えません。ただ、「彼女なら大丈夫。かならず乗り越えてくれる」と我が子を信じることはとても大事だな、と感じた、ということはお伝えしたいと思います。

今ふと思い出したのですが、私は今では読書が大好きですが、子供の頃、とにかく読書が嫌いで、授業で図書室に行かなければならないときは、苦痛で仕方なく、でも読まなければ行けなかったので、渋々絵本を読んでいました。

小学校5年で初めて出会った先生は、いろいろなことに興味を持ち、精通している人で、たくさんの本を読まれていました。時々、椎名誠さんの短編をクラスで聞かせてくれたりしたので、他の話も気になり、先生に借りて読んでみたら、素直に面白かったです。
本て面白いんだな、となんとなく感じ始めた頃、今度は父の本棚が気になり始めました。

私の父も読書が好きで、西村京太郎さんや、西村寿行さんの本を中心に本棚にたくさんの小説が並んでいました。
ふと気になった、西村京太郎さんの本を手に取り、読み始めると、面白いこと。それから、父の本棚にあった西村京太郎さんの本を読みあさりました。

当時の私は本が嫌いだと思っていましたが、そうではなくて、私が読みたかった物は、小学生向けの本ではなかったのでしょう。

私の読書のことは、すごくちっぽけなことですが、なんだか、根っこはにているのかも、と感じました。

「一芸に秀でる子」をモットーに、部活のために中2から私立に転校して寮生活を送っている中3、受験勉強を自ら希望し、読書力だけで乗り切ろうとする小6、彼氏アリのおしゃまな小2の三姉妹を育てる母です。普段は、書籍などのデザイン・編集・雑用をこなす、獅子座のAB型です。