エンジニア、現場に出る
楽しかった。久しぶりの現地出張、点検業務はとにかく楽しかった。沢山の人たちと交流し、コミュニケーションを取る。身体を使って、現物を手で触って、周りを観察して、何が起きているか考える。こりゃ楽しい仕事ですよ。何が楽しかったのか少し言語化して記録しておきたい。
久しぶりの現場事務所、緊張しながらも扉を開けて皆に挨拶。空いている席を使わせてもらい、持ち込んだ荷物を仮置きする。すると検査監督からお久しぶりですと挨拶される。おーお久しぶりですとこちらも返す。メールのやり取りでは勿論名前を拝見しているが、現場で顔を合わせるのは一体どれくらいぶりだろうか。やっぱりFACE2FACEのコミュニケーションはテンションがあがる。今度はその挨拶のやり取りを聞いていた別の監督さんに驚かれる。マスクしてるから?痩せました?気がつきませんでしたよと会話が弾む。また問題見つけに来たんですか笑?勘弁して下さいよ。いやいや悪魔が来たみたいに言わないで下さいよ笑。一緒に問題を解決するために来たんです。なんて会話が一瞬のうちに巻き起こり、あぁアウェーじゃ無くてホームだなと感じる。実際の業務に関しても色々と情報共有してもらったり、こちらの質問に対しても、即座に反応が返ってくるタイムラグの無いコミュニケーションがこんなに楽しいんだと始終ワクワクし通しだった。
現場、現物、現実の三現主義って本当にエンジニアにとっては大事。多分、私が机に座りっぱなしで、現場で忙しく飛び回る若手からの報告だけでは、発生している問題が未経験の新しい事象に対しては、半分も情報が得られないだろう。損傷が発生した周辺はどんな状況にあるのか、自分の目で見て、触手して、異常が起きている範囲、損傷程度の濃淡や規則性を見つける。その情報から損傷原因を推定する。その仮説が正しいとした場合に起こり得る他の現象、つまり証拠を集めるために現場を更に確認して行く。もちろん推定原因を深掘りするには図面やデータでの検証も必要となる。全ての事象、つまり現場、現物、現実をしっかり観察することで原因が炙り出され、対策を立案することが出来る。この一連のストーリーがお客様に共感して貰えれば、お金を付けて貰うことができビジネスが成立する。この理想的なビジネスサイクルを若手も体感、経験することで技術伝承も進む。こんな体験やっぱり楽しいと言う感想に集約される。因みに、現場で自分が取った行動、思考ステップを抽象化し、一つレイヤーをあげて整理しておく事で、現場点検に関する有効なプロシージャになるはずである。今回改めて感じたので、是非時間を作ってアウトプットを作ってみよう。
また現場では図面だけでは今一つ体感、想像出来ない、製品の大きさや重量、温度、臭い、そしてその製品に関わる作業員の動き、人数、各種作業の時間のかかり方など、五感を通すことで実に生き生きした情報が目の前で展開されるのである。我々インフラエンジニアは、対象となる製品の構造を機能や製作コスト、メンテナンス性の最適化だけでは無く、据付けるための物や人の動きを最適化するために工事計画を行い、図面上で表現しており、まさに現場はその答え合わせの場なのである。事前検討がハマっていたのか、考慮不足だったのか運命の採点。危険と隣り合わせなのは重々承知の上で、現場出張は見るもの聞くもの全てがエンジニアのレベルアップにつながる貴重な体験が出来る教室なのだ。
報告会では、しっかり点検し、損傷箇所に手を当て、危険部位を抽出し予防保全をすることで計画外停止を回避出来たと、お客様から感謝の言葉を頂いた。私が感じている多幸感を、一緒に仕事をしているメンバーと共有し、楽しく(これ重要)、チームとして更なるレベルアップを図って行きたい。2022春
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