父や兄が許せないのは問題ではなく、本当の怖れは自分の不安だった
（この記事はクライアントAさんの許可をとって書いています）
「無職の兄が、年老いた父にお金の無心をするのが許せない。兄に変わってもらうにはどうすればいいですか？」というセッションでした。
まず、Aさんがどんな感情を抱いているか聞いてみました。
怒り、ムカつく、イライラする、ずるい、情けない、不安
こんな感情がふつふつと沸き上がってくるそうです。
言葉にしている時、Aさんの呼吸が浅くなり、顔がこわばってくるのが画面越しでも伝わってきます。（セッションはZoomで行っています）
その感情に紐づいている「つぶやき」はどんなものか聞いたところ、いろいろ出てきましたよ。
年金生活の父を苦しめている
お金だけせびって働こうとしないのはおかしい
父もお金をあげるのはおかしい
父がお金をあげるから、兄はあてにしていつまでたっても働かない
兄は大人のくせに親に甘えて許せない
兄は長男なのに父や私を守らない
兄は自分だけラクしてぬくぬくと生きている
そんな兄を許している父が許せない
言葉にしてみると、自分の本音が見えてきました。
「結局、父に甘える兄と、兄を甘えさせている父が許せないんですね。」
「兄だけだと思ったら、父も許していないなんて。」
「でもこうやって話してみたら、これは二人の問題なんだと思えました。私がイライラしても父がお金を与えるのをやめない限り、物事は変わりませんよね。」
ここでしばらく沈黙になるAさん。
そのあとAさんが気になることをポロッと漏らしました。
「私、不安もあると思います。父が亡くなって私を頼ってきたらどうしようって。」
不安に紐づいている「つぶやき」も聞いてみました。
私は家族がいるので助けられないし、助けたくない
兄を助けて、我が家の家計が苦しくなったらどうしよう
家計が苦しくなったら、私の家族が不幸になる
でも助けないのは妹（家族）としてどうなの？（親戚がどう思うか？）
自分の家族を不幸にするのではないかという不安。
不安だから妹なのに兄を助けれらない自分の無価値観（助けられない自分には価値がない）
話しているうちに、本当の怖れに近づき始めたAさん。
兄を助けられない私はダメ
兄を助けられるのに助けない私はダメ
本当の怖れは、お兄さんを助けられない（助けない）自分には価値がないと思われることでした。そしてそんな自分を責めているのが、実は一番つらかったことに気づきました。
ここでのポイントは、助けること・助けないこと自体に善悪はないということ。それを意味づけしているのは、Aさんご本人です。
兄を助けられない私もOK
兄を助けられるのに助けたくない私もOK
いったんニュートラル（助けても助けなくてもいい）に戻る。
その上で助けたければ助ける、助けたくなければ助けない。
「助けられない私はダメ」を理由に助けると、必ず自分の中に我慢や恨み、後悔が生まれてしまいがちです。
セッションの最後に、ポインツ・オブ・ユーのカードを3枚、Aさんへのメッセージとして引いてもらいました。
Aさんのコメント
「信念」のカードは、私の思いこみが自分自身を苦しめていたことへのメッセージかなと思いました。
「目標」のカードは、言葉より走っている人の写真が、父兄の問題から逃げている自分に見えて笑っちゃいます。でも今は逃げちゃってもいいと自分を許したいです。
「旅」のカードは、皺皺の手が父を連想させました。兄に対しても、父に対しても思うことはいろいろあるけれど、やっぱり私たちは家族です。家族の旅はずっと続くんだなと思います。
今回のセッションは「父にお金を無心する兄に変わってほしい」がテーマでしたが、結局そこは問題ではありませんでした。
このセッションに限らず、答えは問題を解決する方法を知ることではなく、自分と向き合うことで自分の本音や怖れを知ること。自分の中で起きていることに気づき、受け入れることで気持ちがラクになったり、物事の見え方が変わってくるなといつも感じています。
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