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金利だけでなく、原油価格の急騰が株価にインパクトを与えている可能性について
今回は、長短金利差、だけでなく、原油価格が株価にインパクトを与えてきたという話をしようと思います。
こちらでは、長短金利差(10年債利回りー2年債利回り)が逆転してから、平均して10ヶ月でSP500の最高値からの下落が始まっていることを指摘しています。
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実際、この記事の指摘に基づくと、
パンデミック前の2019年8月27日に長短金利差が逆転していることから、
2020年の6月までSP500指数がピークをつけることはないんじゃないか、という予測をしています。
そして、結果としては、2020年3月ごろにパンデミックによる株価の急落がおきました。
では、この材料だけで、売りタイミングを見極められるかというと、ある程度見極められる場合とそうでない場合があるかと思います。
今回の株価のピークは2021年の12月でした。
長短金利差の逆転は次の年の7月6日でした。
グラフを見る限り、長短金利差の逆転が後に来ているケースというのは、少なくとも1970年代以降だとはじめてのようにみえます。
今回の金利上昇要因は、原油価格の高騰が挙げられるかと思います。
ドットコムバブルの崩壊やリーマンショックは原油価格高騰とは無縁なような気がしていましたが、そうでもない可能性を指摘しているのが、以下のグラフです。
一つ目はドットコムバブル前後の原油価格・インフレ率・FF金利のグラフです。
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1999年は原油価格が18ドルでしたが、2000年には、28.5ドルに上昇しています。
上昇率は58.3%という計算になります。
次に、リーマンショックの時のケースを見てみましょう。
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2007年には、72.4ドルだった原油価格は、2008年に97.3ドルを記録しています。
上昇率は34.3%でした。
これだけ切り取ってみると、上昇率がドットコムバブル時よりも低いかたちになりますが、リーマンショックが報道される4ヶ月ほど前の、5月には、127.35ドルを記録しています。ここと2007年の原油価格を比較すると、76%増になります。
70、80年代の原油価格上昇については今回は言及しません。
湾岸戦争の時も株価が下がりましたが、こちらはどうでしょう。
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1989年の原油価格が18.2ドル
湾岸戦争が始まった年の1990年には23.7ドルを記録し、
30%ほどの上昇となっています。
ここは詳しく見てみると、湾岸戦争前だと原油価格が14.98ドルだったのが、
1991年9月に41ドルに上昇したことが指摘されています。
たしかに、原油価格が上がっていても、不景気になるとは限りらないケースもあるかと思います。2010年と2011年の原油価格上昇はそれを物語っているところがあるかと思います。
とはいえ、原油価格というのは、エネルギー関連銘柄の決算をよくする一方で、
それ以外の業種のコストを圧迫し、それが引き金になって、決算を悪化させている可能性が指摘できるかと思います。
実際長短金利差のように、リセッションを引き起こすトリガーの他に、原油価格の急騰がアメリカ経済にインパクトを与えている要素は無視できないのではと思います。
そして、現時点ではエネルギー価格高騰による業績の圧迫も、金利の上昇も起きており、70年以降では、それによるリセッション、株価の下落が必ず起きており、
実際問題、株価の下落もすでに起きており、あとはリセッションがすでに来ているのか、それともこれから本格的に始まるのか、といげうところに注意が向く一方、
原油価格が一度高騰すると、そこから元に戻るのに何年もかかるケースがあったり、そもそも元に戻らなかったことがあることもあることを考慮すると、インフレは簡単に沈静化できない可能性があることにも注意を払う必要があるのかもしれません。