ルーマニア概況(4)海外への移民問題3(ルーマニア移民問題がGDPに与えた影響など)
ルーマニアの移民問題について何個か記事を書いてきましたが、
世界銀行が、2018年ごろに、ルーマニア移民問題の分析をしている論文がありました。
論文では、IMFが2016年に出した情報によると、移民がなければ、GDP成長率は平均であと10%高かったとのこと。
その要因としては、非熟練労働者よりも熟練労働者のほうが海外移住の割合が高かったため(移民率は高スキル労働者が26.6%、低スキル労働者が20%)で、経済成長への悪影響の95%が高技能労働者の移民によるものだそうです。
一方で、労働者移民による経済へのGDPに与える悪影響は低くなっているところもあるようです。
こちらのように、どうも2008年以前は、労働力はGDP成長率という観点で-22%となっていました。これは高技能労働者の移民による国内での労働生産性の悪化などが指摘されています。
しかしながら、2009年以降は、GDP成長率への悪影響がおさえられています。
その原因としては、国外移住者が国内にもどってきたことにより、プラスの影響があったとのことです。
その点、移民問題によるGDPへのマイナスの影響というのは、2009年以降で改善傾向にあるようです。
ただ、一方で2009年以降は、Total Factor Productivity(TFP)が経済成長に与える影響が弱まっているのが気になります。
すくなくとも、2016年までのデータにもとづけば、
TFPによって経済成長をおしあげていたところから、投資関係で経済成長を押し上げているという形で、経済成長の原動力に変化があったようです。
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