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02-11-02.黒字倒産を避けるために “デッドクロス” を知ろう! 『不動産投資実践塾~富の成る木の育て方🄬』

前回のnoteで、ROIを向上させるためのポイントとして “減価償却費” のお話をしました。

今回はこの減価償却費に関連して、 “デッドクロス” というちょっと怖いお話をしていきたいと思います。
不動産投資家にとってデッドクロスは、知らないと突然落とし穴に落ちてしまうようなとても怖いものですが、知っていれば上手にコントロールすることで回避が可能です。

≪デッドクロスとは何か?≫
減価償却費は、時間の経過と共にだんだん減っていき、最後は0になります。それに対して、ローンの元本返済額は返済完了まで0になることはありません。さらに、元利均等払いの場合は年数を追う毎に、返済全体のうちの元本返済額の割合が上がっていきます。
すると、ある地点でローンの元本返済額が減価償却費を超えるタイミングが出てきます。この、ローンの元本返済額と減価償却費の額が同額となるタイミングを “デッドクロス” と言います

これが起こると、 “帳簿上は利益が出ていても、資金繰りが悪化する” ということが発生します。「デッドクロスを知らない」「知らないうちに起こっていた」という場合、黒字倒産を引き起こしてしまう恐れがあるのです。
このデッドクロスを回避する方法もありますし、これが起こっても特に問題ない場合もあります。デッドクロスを上手くコントロールできるようになれば、本物の投資家になったと言えるでしょう。

≪帳簿の数字だけを見ていると危険!≫
確定申告書、決算書に記載される “利益” というのはキャッシュフローの金額では無く、税引後利益に減価償却費を割り戻したものになります。つまり、返済元本を引く前の利益ですね。

※参考 キャッシュフローの求め方3ステップ(①→②→③の順に計算)

家賃収入(実質)- 返済利子 - 減価償却費 = 税引前利益

税引前利益 - 税金(所得税 + 住民税)=税引後利益

税引後利益 + 減価償却費 - 返済元本 = キャッシュフロー


キャッシュフローと帳簿上の利益は一致しません。その理由は、ローンの元本返済額が帳簿上に表れないにも関わらず、減価償却費は帳簿上に表れるためです。
ローンの元本返済額は、実際に自分のお金を支払って手元から現金が減りますが、経費としては計上出来ません。つまり、帳簿上に記載しない支出になります。
加えて、減価償却費は、実際に現金を支出することはありませんが、経費として計上することが可能です。つまり、帳簿上に載せることが出来ます。
この二つがあることにより、キャッシュフローと帳簿上の利益が一致しなくなるのです。

≪デッドクロスはキャッシュフローを悪化させる原因の一つ≫
元利均等払いを選択していると、時間の経過とともに返済全体のうちの返済元本の割合が増えて行きます。そうすると、最終的に税引後利益より引かれるマイナスが増えていくため、キャッシュフローは減っていきます。つまり、実際に手元に残るお金は、返済元本が増えると減っていくのです。
反対に、減価償却費は年月とともに減っていきます。減価償却費が減ると、家賃収入から損金としてマイナスすることが出来る額が減り、税引前利益が上がります。それに伴い、税額も上がり、税引後利益は下がります。さらに、最後に税引後利益に足し戻す減価償却費ももちろん減っているため、キャッシュフローは小さくなります。
ローンの元本返済額が増え、減価償却費が減ることにより、キャッシュフローは二重に悪化し、手元に残るお金が減っていきます。つまり “デッドクロス” を境に、キャッシュフローが悪化していく速度が加速していくのです。

≪デッドクロスを回避した方が良いもう一つの理由≫
それは、融資に関する点です。
デッドクロスを起こした=減価償却が足りなくなっている状態です。不動産投資において減価償却の金額自体は、時間の経過とともに少しずつ減少していくものではありません。
建物は定額法という方法を利用し、毎年同じ金額を減価償却していく決まりになっています。例えば、400万円の物件を4年で減価償却する場合、1年目に100万円、2年目にも100万円……という減り方をしていきます。つまり、毎年同じ額減価償却をしていき、期間を過ぎた翌年にいきなり0になります。
減価償却が0になると、税引後利益に足し戻す減価償却費が0になり、キャッシュフローが悪化している、ということが確定申告書や決算書では一目で分かってしまいます。キャッシュフローが悪化している投資家には、銀行も融資を出しづらくなってしまいますよね。ですので、デッドクロスが起こらないように組み立てるということが大切になってくるのです。

≪デッドクロスを必要以上に恐れない≫
ここまでで、 “デッドクロスは恐ろしいもの” というイメージを植え付けてしまったかもしれませんが、「デッドクロスをしないようにする」という考え方でいくと、築古高利回りや、節税を活用した副業向きの投資が難しくなっていきます。
ですので「デッドクロスをしないようにする」というよりは「デッドクロスをしても不動産投資全体のキャッシュフローをマイナスにしないようにする」という考えの方が賢いやり方になります。
デッドクロスを必要以上に怖がるのではなく、バランスを取りながらキャッシュフローがマイナスにならない投資をしていく。儲かる不動産投資家はこれを上手にコントロールしています。

「難しそうだなぁ」と思われた方、大丈夫です。
平凡な地方公務員だった不動産投資初心者の僕でも、不動産投資を始めて3年間、年間で3棟~4棟の築古アパートを買い続け、現在も投資規模を拡大してきています。
そして、それだけ買い続けてきても、手元のお金が無くなるということが起きていません。つまり、デッドクロスが原因の黒字倒産をしていません。

何故か。その理由は、減価償却期間が切れた後の全体のキャッシュフローがマイナスにならないよう、しっかりとシミュレーションして計画的に購入と売却をしているからです。

例えば「比較的早期にデッドクロスが起き、キャッシュフローがマイナスになってしまうけれど、あえて購入したい」という物件が出てきた場合、その次にキャッシュフローがプラスになりやすい新築アパートや中古RCなどを購入するのです。そうすれば、その二つの物件で相殺することが出来るようになり、自分の懐からお金を出さなくても不動産はお金を生み出し続けるように出来ます。
大切なのは、発想の転換です。
減価償却が短期間で終わってしまうということは、それだけ節税効果があるということです。そこに儲けのチャンス、投資すべき「歪み」があります。デッドクロスが早期に起きてしまうけれど、そのぶん節税効果もある物件を購入した場合、その他の物件でマイナスを補填できれば良いのです。

ここで一度まとめておきましょう。

デッドクロスによる黒字倒産を避けるためには、
①減価償却期間が切れてもキャッシュフローがマイナスにならない物件を購入する
もしくは
②キャッシュフローがマイナスにならないように別の物件でプラスのキャッシュフローを作っておく
というのが一番大切なことなのです。この状態を作っておけば、デッドクロスが起こったとしても、焦って安く売却し、損をすることが無くなります。

≪不動産投資のシミュレーションで重要なのは、やはりキャッシュフロー≫
減価償却の考え方の中には “デッドクロス” という概念がある、ということを理解しておいてください。
そして、デッドクロスを起こす、つまりローンの元本返済額が減価償却費を上回る状態になると、キャッシュフローがマイナスになる恐れが出てくる、ということを頭に入れておいて下さい。

不動産投資はパズルです。
もう一度具体的にご説明します。最初に購入した物件が、デッドクロスを起こした後キャッシュフローがマイナスになってしまうものだった、と仮定しましょう。さらに、その物件のキャッシュフローがマイナスになった時に売るべきタイミングで無かった(高く売れない、消費税の課税業者となる年だった、他の物件を売ってすぐで数年保有しなければ税金が高い、など)という悪い条件が重なったとします。
その場合には、その他にキャッシュフローがプラスになる物件を購入し、マイナスのキャッシュフローを補うことが出来ます。そのまま数年持ち堪えてから売却する、というバランスをとることが出来るのが一番理想的だと僕は考えます。そういった意味からも “不動産投資はパズル” だと言えます。上手く合うピースを探していけば良いのです。

事業では「キャッシュフローは血液の流れだ」とよく言われます。
そして、不動産投資で一番大切なのもキャッシュフローです。
“デッドクロス” はキャッシュフローを二重に悪化させる恐れのある現象ですが、上手く対応することで発生を遅らせることが出来たり、発生してもキャッシュフローの悪化を最小限に抑えることが出来ます。

次回はいよいよ、不動産投資家の登竜門とも言える “デッドクロスの対応の仕方” について詳しくお話ししていきましょう。


まとめ
・ローンの元本返済額と減価償却費の額が同額となるタイミングを “デッドクロス” と言います。
・帳簿上の利益だけを見ていると、気付かないうちに黒字倒産してしまう恐れがあります。
・ローンの元本返済額が増え、減価償却費が減ることにより、キャッシュフローは二重に悪化します。


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