プロデビュー15周年記念「すずなり」MV
厳しい音楽の世界に飛び込み、今もそれを仕事として続けられていることは、皆様の応援のお陰様です。いつも変わらぬ温かい応援を本当に有難うございます。
初めて制作した「すずなり」のMVとセルフライナーノーツをお楽しみください。
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ぼくをプロの世界に誘ってくれたのがこの「すずなり」という楽曲だった。
いわゆる流行歌のような曲調ではなかったかもしれない。それでも、他のアーティストとは違うぼくだけの魂の叫びから生まれたこの歌には、アマチュアながら応援してくださった方々や、音楽業界の方々も、可能性を感じ取ってくれたのかもしれない。
すずなり[鈴生り]というと、果実などが神楽鈴のように群がって実をつけている様子などから、たくさんの、といった意味がある。また、鈴鳴りという語感もなにか縁起の良い響きを感じた。
九州から上京して、渋谷スクランブル交差点などの街並みをたくさんの人々が行き交う光景は衝撃的だった。また、東京駅から始発してそれぞれの終着駅へと別れていくたくさんの電車も印象的だった。
受験、上京、新生活と、何度も九州と東京を行き来する中でそのような光景が胸に深く残り、そして実際に東京の街でたくさんの出会いがあった。また、それだけもうこの人生の中で会うことがない人達もいると思う。
“すずなり“という言葉と出会ったとき、その全てがこの一言に凝縮されているようで、心に歌が舞い降りた。
「すずなりの出会いと別れが 行き交い続けるこの世界で 過ぎし日の僕らの夢が 埋もれないように祈るだけ」
人生には祈るだけしかできない時もある。それでも僕らは、その時にやはり祈るのだろう。
いつか人生の終着駅にたどり着いたとき、この人生の旅路で出会えた全ての人達への想いは、祈りにも似ているのではないだろうか。
そこには誰しも若き日の悔いや涙もあるかもしれない。それ以上に笑顔や幸せも思い出されるかもしれない。
今となっては、その全てが、人生への贈り物で、感謝であったことを悟り、時の中で埋もれていってしまわないように祈るしかできない。でも、祈るのだ。
人生の中で体験できた全ての出来事や、出会えた全ての人が、安らかであることを祈り、その祈りの中に目を閉じるのだ。
この数分の歌の中で、ぼくはまるで人生の始まりから終わりまでを体験したような感覚があった。
最初の作品にその作家の全てが詰まっていると言う。
「すずなり」以降もたくさんの歌を書いてきた。代表作と言えるような作品も生まれてきたかもしれない。
それでももしかしたら、ぼくの全てはこの「すずなり」に凝縮されているのだろう。
今までこの作品のMVがなかった。
プロデビュー15周年の感謝を込めて、「すずなり」MVを初めて制作しました。どうぞ受け取ってください。
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