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MONOKAKI
「物書き」と言ってしまうと、なんだか恐れ多いのだけれど、物を書いているのだから物書きとしての自覚は、僅かながらある。
書く事をしばらく放置していると、薄めたカルピスの様に味のしない液体に浸した綿を、耳の奥に詰める気分だ。
僕にとって書く事は笑い声と同等に、外に響かせ人の鼓膜を揺らす図々しさに似たモノがある。
人様の領域にグイグイと入っていくウザさが、僕にとってはちょうどいいのだから、この言葉達は忌み嫌われてしまうのかもしれない。
ただ、僕の書く言葉が誰の目にも触れずに、最果ての空虚に飲み込まれてしまうのであれば、それはそれで別にいい。
また、言葉を書き、届ける準備に励むだけだ。
汚い言葉も、意味を持たない言葉もそのへんの道路に転がり落ちて、沢山の自動車に惹かれ、排ガスと共に黒くなっている。
美しい言葉は、重力に逆らい空に昇り、雨としてまた地上を濡らす。
微かに笑ったタヌキが、畑の中に潜り込んで行く。