【日記】 「三刷重版の重み」
先日のこと。
担当編集の池田さんから「三刷!!!!!!」と重版決定の連絡をもらった。
当然のごとくスマホを持つ手は震え、「えっ? どういうこと? こないだ重版したばかりだよね?」とつぶやくが、僕の脳内Chat GPTはだんまりを決め込む。
池田さん曰く、新聞広告を見たシニア世代の皆さんが書店に足を運び、購入してくださっているらしい。それに加えて、最近は自著への感想をネットにつぶやいてくださる若い世代の方も増えてきた。
じわじわと、でも着実に本が届き始めていることを実感し、同時に深い感謝の念がわく。
小説は書いただけでは絶対に届かないからだ。
原稿を本にするために、
本を書店に並べてもらうために、
並べた本を手に取ってもらうために、
多く人がそれぞれの持ち場で、地道に粘り強く努力を重ねてくださった結果、初めて本は届く。
自分が読者だった頃は、何気なく、当たり前のように書店で本を買っていたけれど、全然、当たり前なんかじゃなかった。
途方もないバトンリレーを経て、本は読者の手に渡る。
1冊ごとに奇跡が起きているのだ。
だから重版という言葉は文字通り、重い。
ただ「嬉しい」だけではない、関わってくださる方の期待や気概をずっしりと感じる。
重版で重なるのは数字ではなく、人の想いなんだ。
そんな想いをしっかりと背負える作家でいたいと強く思う。
そのために、僕も地道に粘り強く努力を積み重ねよう。
photo 遠未真幸
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