遠未真幸 Tomi Masaki

小説家。埼玉県生まれ。ミュージシャン、プロの応援団員を経て『おかげで、死ぬのが楽しみになった』でデビュー。2023年、同作で第2回高校生が選ぶ掛川文学賞を受賞。「AかBかではなく、AもあればBもある」がモットーのバランス派。趣味はいつもの道を散歩すること&言葉遊び。

遠未真幸 Tomi Masaki

小説家。埼玉県生まれ。ミュージシャン、プロの応援団員を経て『おかげで、死ぬのが楽しみになった』でデビュー。2023年、同作で第2回高校生が選ぶ掛川文学賞を受賞。「AかBかではなく、AもあればBもある」がモットーのバランス派。趣味はいつもの道を散歩すること&言葉遊び。

マガジン

  • 日記 『覚えていたいこと』

    ふとした時につづる日記です。忘れてしまうことは選べないから、せめて自分が覚えていたい瞬間を書き残すことには、きっと意味がある。

  • 後書き集 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』

    デビュー作『おかげで、死ぬのが楽しみになった』の後書きをまとめました。作品の執筆過程や裏話を綴っています。定期的に記事を追加していく予定です。

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    おかげで、死ぬのが楽しみになった

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【後書き①】おかげで、書くのが楽しみになった

※この文章は2023年5月に刊行の小説『おかげで、死ぬのが楽しみになった』のあとがきです。 10代から20代にかけて音楽活動をしていた頃、ミックスダウンという作業が好きだった。録音した楽器(声も含む)を1つの曲として形にするために、パートごとの音量や音の響き方や定位(音の左右の配置)を調整し、バランスを整える作業のことだ。 ボーカル、バックコーラス、ギター、ピアノ、シンセサイザー、ベース、ドラム。耳が1度に認識できる音の数は限られているから、どれか1つを目立たせようとする

    • 【日記】 世界は安定して不安定

      この記事にも書いたのだけれど、僕は自称バランス派だ。 けれどバランスを取るというのは、50:50にしたいわけではなく、AとB(なんならCも)の間を行ったり来たりしながら、ああでもない、こうでもないと右往左往したい気持ちがあるのだと、最近気づいた。 どちらか一方の結論のみに体重をかけきりたくない。 と同時に、「平等」の名のもとに考えることを終わらせたくもない。 我ながら、あまのじゃくで面倒くさい性格だなと思う。 実際、僕がバランスを取ろうとする営みは、他の人から見たらひど

      • 【日記】 小説のいいところ

        小説のいいところは、「自分の中で答えが出ていないことも書いていい」ってことじゃないかと思っている。 これがビジネス書やハウツー本だったら、そうはいかない。 「どうすれば営業トークが上手くなるかはわからないんですよねー」と結論づける指南書はやっぱりダメだろうし、読者だって怒り出す。 でも小説を書くというのは、自分では抱えきれなくなった問いを、登場人物と一緒に考えていく作業だと思う。しかも、最後まで書き切った結果、「これって、どうなんだろうねえ」と主人公が物思いにふける場面で

        • 【日記】 書けなくても座る

          今年に入ってからずっと、新しい作品を書く日々だ。 いや、すみません。ちょっと盛りました。 正確には、書こうと思うけれど期待通りには筆が進んでくれない日々だ。 特にここ数日は、事前に考えていた流れにはないエピソードを書いているので、「今から描くシーンに対するストックがない」という丸腰スタイルで臨んでいる。 これがめちゃくちゃ怖い。 なにせ、登場人物たちが何を喋り、どんな行動をするのか、作者の僕も見当がついていないのだ。ヘタしたら、1行も書けずに1日が終わってしまう可能性も

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        【後書き①】おかげで、書くのが楽しみになった

        マガジン

        • 日記 『覚えていたいこと』
          18本
        • 後書き集 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』
          4本

        記事

          【日記】 伝えたいことは、これじゃない

          誰かと会話している時に、頭の片隅でこう思うことがある。 「伝えたいことは、これじゃない……」 自分が抱いている気持ちや考えを表すには言葉が足りていない、もしくはもっと違う、ふさわしい表現がある気がする。そんな感覚。 でも会話はどんどん流れていくから、いちいち立ち止まっている暇はなく、「これじゃないのに」というモヤモヤが積もっていく。 だから誰かと話し終えると、自分のふがいなさに落ち込むことが多い。 もっとうまく話せるように、思っていることをその場で言葉にできるようになり

          【日記】 伝えたいことは、これじゃない

          【日記】 最近の色彩採集

          自分が撮った写真を見返していて気づいたのは、僕は物ではなく色に向かってシャッターを切っているようだ。 だから被写体にあまりこだわりはなくて、その代わり、名前が当てはまらないような曖昧な色が写しとれた時に、すごく幸せな気持ちになる。 そしてふと、人間の感情も色で表すことが多いな、と思う。 きっと僕が小説を書くのも、様々な感情が混じり合った、一言では言い表せない気持ちを描きたいからなんだと思う。 下記は最近採集した色たち。 こんな色が立ちのぼってくる小説が書きたい。

          【日記】 最近の色彩採集

          【日記】 もう1年、まだ1年。

          小説家として、今日でデビュー1周年。 「もう1年」とも「まだ1年」とも感じる、濃ゆくて、でも地道な、愛おしい日々を過ごすことができました。 小説を書かなかったら出会えなかった人や、訪れなかった場所や、味わえなかった感情がたくさんあります。 そのすべてが今の僕を支え、次に進む原動力になってます。 あらためて、関わってくださるすべての「あなた」に感謝を。 いただいたエールへの恩返しは新作を書くことだと思うので、 2年目も、自分なりの美しいバランスを信じて、歩んでいきたいと思

          【日記】 もう1年、まだ1年。

          【日記】 天職じゃなかった

          長い期間小説を書いていると、ほぼ毎日のようにサボりたくなる。 天職とは、努力を努力とも思わないくらい好きで、思わずやってしまうこと。 と言われたりするけれど、残念ながら僕にとって小説を書くことは天職ではないらしい。 毎回、褒めて、おだてて、ご褒美をチラつかせて(なんならご褒美の前借りを許して)、執筆の神様はようやく重い腰をあげてくれる。 自分から小説を書くことを望んだくせに、そこまでしないと筆が進まないってどうなんだ……としばしば自己嫌悪になっていた。 でも最近、ふと思

          【日記】 天職じゃなかった

          【後書き④】執筆を支えてくれた音楽~散歩編~

          散歩は偉大だ。 アイディアが出ない、気持ちが落ち込んでいる、運動不足だ、なんなら3時のおやつも買いに行きたい……これらはすべて散歩が解決してくれる。 一石二鳥ならぬ、一散歩四解決と言っていい。 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』というタイトルも散歩中にひらめいたし、作中の迷言たちも散歩によって生み出されたものばかりだ。 自らの足で前に進むという行為が、思考や気持ちさえも前に進めてくれるなんて、ベタだなと思いつつも、結構効果がある気がしている。 だから街中で急に立ち止まり

          【後書き④】執筆を支えてくれた音楽~散歩編~

          なぜ、70歳が主人公の小説が高校生に響いたのか?

          『高校生が選ぶ掛川文学賞』の選考委員の皆さんからいただいた感想や受賞理由があまりにも嬉しかったので、許可をもらい一部掲載いたします!! ================================== 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』への高校生選考委員の皆さんの感想 ・70歳のおじいちゃんたちの話なのに高校生に響く場面ばかりだった。今まで出会った本の中のおじいちゃんで最高のおじいちゃんだった。 本自体が厚くて高校生が皆手に取るとは言い難いが、もっと読んでもらいた

          なぜ、70歳が主人公の小説が高校生に響いたのか?

          言葉にしようとすること

          ここ1週間ほど体調を崩していて、ようやく回復しました。 遅ればせながら、今年もどうぞよろしくお願いします。 世の中では大変なことが次々におこり、 そのたびにかける言葉がうまく見つけられず、そんな自分をもどかしく思います。 ただそれでも、言葉にしようとすることだけはあきらめずにいたいとも感じます。 言葉を探して相手に想いを巡らせている時間は、 祈りに似ていると思うから…… 2024年1月3日 遠未真幸

          言葉にしようとすること

          高校生読書サミットin掛川に登壇します

          第二回高校生が選ぶ掛川文学賞の受賞式も兼ねた 『高校生読書サミットin掛川』が2024年1月20日(土)に開かれます!! 先着順で参加者を募集されるようなので、 ご興味ある方はぜひ申し込みをお願いします! 僕は選考委員の高校生の皆さんとの本音トークや 各世代を交えたシンポジュウムにも登壇させていただきます。 70歳のおじいちゃん達の物語が、なぜ高校生に響いたのか? 「老い」や「死」というテーマは高校生にどう映ったか? 高校生の率直な想いをお聞きしたいなと思っています。

          高校生読書サミットin掛川に登壇します

          「高校生が選ぶ掛川文学賞」を受賞しました!

          なんと!!『おかげで、死ぬのが楽しみになった』が、 第2回「高校生が選ぶ掛川文学賞」を受賞いたしました!! 70歳のおじいちゃん達が主人公の小説が、高校生の皆さんの心に響いた――。 驚くと同時に「物語は世代を超えて届く」という確かな希望を感じました。 さらに選考会議を1時間も延長し、話し合いを重ねて決めてくださったと聞き、自分の作品が選ばれたこと以上に、本が好きで読書の魅力を伝えようと奮闘する高校生達に出会えたこと、彼ら彼女らに選考を託し、信じ、支え続ける掛川の皆さんとご

          「高校生が選ぶ掛川文学賞」を受賞しました!

          長野県上田市でサイン会があります!

          2023年10月28日(土)に長野県上田市で開催される 『第18回ココロの授業講演会』にて 僕のサイン会をしていただけることになりました! 参加者として講演会を聞きにいくつもりだったのですが、 主催の上田情報ビジネス専門学校の比田井和孝先生が、 オススメ本として『おかげで、死ぬのが楽しみになった』をご紹介くださるとのことで、 当日会場にて書籍をご購入いただいた方へ 講演会終了後、ココロを込めてサインをさせていただきます! ちなみに講演会は、 WBC侍ジャパンヘッドコーチ白

          長野県上田市でサイン会があります!

          自己紹介―好きと弱点― 

          はじめまして。そして、ようこそ。 2023年5月に『おかげで、死ぬのが楽しみになった』という作品でデビューしました、小説家の遠未真幸(とおみ・まさき)です。 ここでは、自分のことを思いつくままに書いてみようと思います。 あなたとの共通点があったら嬉しいですし、もし違うところがあったなら、それもまたいいなと思っています。 遠未真幸 プロフィール小説家。1982年生まれ。埼玉県出身。失われた世代であり、はざま世代であり、プレッシャー世代でもある。 ミュージシャン、プロの応援団

          自己紹介―好きと弱点― 

          「死」は生きることへの応援……その意味とは?

          昨日に引き続き、質問家のマツダミヒロさんとの対談動画(後半)がアップされました! 『おかげで、死ぬのが楽しみになった』というタイトルに込めた思い。 「死」は生きることへの最高の応援……その意味とは? 小説のテーマに対してより深く語っています。 まだ前半を見ていない方は、こちらをどうぞ!

          「死」は生きることへの応援……その意味とは?