【詩】存在の奇妙な裂け目

存在の奇妙な裂け目に沿って僕は歩む。

しかしながら　
この僕という存在も微妙に裂けている。

ゆえに僕の歩みはおぼつかない。

むろん、走ることなどできない。
動かず、この場に留まるべきかもしれない。

しかしながら、やはりしかしながら　
この場の存在すら僕にはあやうい気がする。

留まることも動くこともできぬとすれば　
どこに救いがあるというのか。

そもそも救いなど用意されているのか。

あやしい。
じつにあやしい。

すると、やはり僕は　
この存在の奇妙な裂け目に落ちるしかないのであろうか。
　

第579回　存在の奇妙な裂け目: さとる文庫 ２号館

Strange Rift of Existence

I walk along the strange rift of existence.
However, this existence of me is also subtly torn.

Therefore, my steps are uncertain.

Of course, I can't run.
Maybe I should stay here without moving.

After all, however, even the existence of this place
makes me feel uncomfortable.

If I can't stay or move, where is my salvation?
Is salvation prepared for me in the first place?

I'm suspicious.
It's really suspicious.

Then, after all, will I have no choice
but to fall into the strange rift of existence?