政治の話はしちゃいけない?ちょっとした知識があるだけで政治は面白くなる
政治のことを話せないのは、私の不勉強のせい?
政治って、いつかは分かるものだと思っていた。
この春、34歳になったけど、今も政治については自信を持って話せない。
選挙の時期になるたび、選挙公報やニュースをちらっと流し見るけど、誰に投票すべきか選べなくて、消去法でなんとなく決めている。
選挙が終わるたびに、本当はいろんなことを勉強してみたいって思うのに、日々の忙しさにかまけて全然できていない。
衆議院と参議院の違いや、どんな選挙があって、それはいつあるのか、そして法律はどんな風に作られるのか?
34歳になっても尚、どれも満足に説明できないのは、自分の勉強不足なんだと思っていた。だから、恥ずかしくて周りの人と政治の話なんてできない。
でも、これは自分の勉強不足なんだろうか?
私たちはこれまで、政治を学ぶために必要な知識を得る機会があったと言えるんだろうか?
政治について考えるために、必要な情報にアクセスしやすいといえるだろうか?
日本の政治教育は「消極的中立」
そのような問いのきっかけとなったのは、NO YOUTH NO JAPANというアカウントの投稿でした。
NO YOUTH NO JAPANは、その名の通り ”若者なくして次の日本なし” 、「若者が声を届け、その声が響く社会をつくる」ために活動している若者団体です。
(もしかして?と思った方もいるかもしれません。まさにその通り!某レコード会社のキャッチコピーを参考に名前を考えられたそうです。)
Instagramでは、わかりやすく・ポップにU30が知っておくべきトピックについて発信。他にも選挙ドットコムに記事を寄稿したり、イベントを開催したりなど、様々な取り組みを行っています。
「低い投票率、それって政治に関心がない若者のせい?」
というこの投稿の中で、日本の政治教育は「消極的中立」。政治の仕組みや知識を知ることにとどまる授業を行なっていることが紹介されています。
一方で、若者の政治参加率が高い国では、政治を自分ごととして捉えられるよう制度の内容まで授業で学ぶ「主権的教育」がすすんでいる。
ということは、もし、私たちが主権的教育受けていたら、
政治や社会問題について考える機会があれば、
もっと政治に関心を持てていたのかもしれない?
そう思うと、自分の勉強不足だったんだ…と自責せずに、知らないことを恥ずかしいと思わずにいられるような気がします。(私は、知らないことを素直に聞くことにハードルを感じやすくて、「自分が悪い」って気持ちを解消してからじゃないと難しいです。。。)
イベントに参加して、政治がちょっと面白くなった
このアカウントに興味を持ったことから、政治分野のジェンダーギャップ解消のために活動しているFIFTYS PROJECTという団体を知りました。
2024年4月に、地方(市区町村)議員1年目の方たちよる「議会報告会」が開催されるという告知を見て、えいやで参加申し込み!
政治についてのイベントに参加するのは、初めてのことで緊張しましたが、現地に行って話を聞いてきました。
これがすっごく良かった!!
政治を身近に感じるための一歩となったし、イベントに参加した後は、政治に関連するニュースがちょっと面白くなったんです。
ここからは、私がこのイベントに参加して知ったことをご紹介します。読んでくださった方が、少しでも政治を面白いと感じてもらえたら嬉しいなと思います。(そしていつか、そんな人たちと語り合いたいな。)
参加したイベントの概要については、HUFFPOSTさんの記事シェアさせていただきます。こちらもぜひ、ご覧ください。(実は参加者としてインタビューも受け、参加動機などをお話しさせていただきました。)
「大変だけど楽しい」実際に地方議員になってみてどうだった?20・30代の女性議員らが語ったリアルな現場の話(HUFFPOST)
議会について理解が深まった、議員からの声
報告会の中から、政治のニュースが面白いと感じるきっかけになった情報をご紹介します。(現地で聞いた情報を補足するために、別途調べた情報もあるので、間違っている箇所があれば都度修正する可能性がありますのでご留意ください。)
議会ってなんだ?
地域の決まりごとである「条例」について、様々な意見を出し合って話し合うことが「討論」。話し合う場が「議会」、話し合うテーマのことを「議題」と言います。
(議会は自治体のホームページで「定例会」などと表現されています。)
議員の仕事は、議会で
・質問・質疑をする
・予算審議、決算審査、事後評価を行う
・市民などから直接届けられた意見である「陳情・請願」を審査する
・議案の提出・審議をする
といったことを行い、そのために勉強会、視察、調査、研究などを行なっているそうです。
議員自身の言いたいことを言う、というよりも地域で住む人たちの「代弁者」として、様々な声の中から「これは困るよね」「問題だよね」ということを表に出すのが、議案であり、質問・質疑です。
議会のルールは合理的と言える?
「定例会」は年に1回の市もあれば、4回のところも。
その中で質問をする「一般質問」の機会は年に1回と決められているところもあれば、そうでないところもある。きっちり時間制限があったり、発言は新人からしなければいけなかったり、など地域によって定例会のあり方は様々です。
統一されていないことは悪いことではないかもしれないけど、「ルールだから」と決めつけたり、暗黙のルールに縛られたりするのではなく、そのルールは必要なのか?改善したほうが良いこともあるのでは?という視点を持つことが必要だと感じます。
「賛成」「反対」だけが全てではない
「賛成」「反対」と立場を表明しつつ、よく見ると話している内容とは矛盾していることもあります。それは、「会派」の多数決によって反対しなければいけない場面があるから、だそうです。
会派とは何ぞや?というのは「会派」とは一体なんだろう?~本当にすぐわかる政治用語~がわかりやすそうなので、引用します。
これを聞いて、個人的には希望を持てるかも!と感じました。
なぜかというと、「賛成多数で可決かぁ。。。」と落ち込むのは早いかもしれない、と思ったからです。
こんな法律が通るの?しかもほとんどの人が賛成なの?と絶望するだけでなく、討論の中で話したことを見ていくと、何を明確にしようとしているのか、かえようとしているのか、を読み解くことができそうです。
法律が条例が決まったら終わり、ではない
条例が決まっても、効果的に運用されていないというケースは多々あります。(特に、違反したときや達成できなかったときのペナルティがない場合など。)
スタートしてからも、本当に効果的に運用されているか?足りないことはないか?そういったことをウォッチして、問題点を指摘して改善するのが、質問・質疑であり市民からの声です。
また市長などのリーダーが変わると、決定事項も途中で辞めてしまうことができるらしく、どんなルールが背景にあるのか知りたいなと思いました。
議会でのハラスメントは無法地帯?
新しいことをやろうとしたときに、チクチク攻撃を受けることもあるそうで…。
壇上に上がった途端にザワザワおしゃべりが始まったり、間違えがあると笑いが起きたり、一生懸命答えてくれている市役所職員に対してヤジが飛んだり。
こういったハラスメントを規制する法律や条例がなく、不法地帯となっているのが現状のようです。
推しの議会傍聴行ってみた企画③〜世田谷区議会〜というnoteの中で、実際の議会でザワザワおしゃべりがあったことについて書かれています。そういった行為によって相手の自信を喪失させることを「抑圧テクニック」と言い、これについても紹介されているので、ぜひこちらのnoteをご覧いただければと思います。
(この後、陳情という形でハラスメント規制を盛り込むことを訴えたそうです。この陳情については最後にご紹介しますね。)
こんなことをされたら、さぞやる気もなくされるだろう…と思ったのですが、「抑圧テクニック」という言葉があるように、このようないじわるは実はあるあるだそう。
議員の方々の「ここで諦めて立ち去ってしまうと、まともな人がいなくなってしまう。連帯して留まることが大切」「意見を言わずに黙ってしまうと、物事が勝手に決まってしまう。声を上げ発信していかなければならない」と力強い言葉に勇気づけられました。
実は、私が学んでいる包括的性教育の推進に対しても「バックラッシュ」と呼ばれる動きがあります。何かをかえよう、推進しようとする流れに対して、バッシングすることで後退させようとすることです。
日本の性教育実践と実践者の歴史、性的マイノリティー運動の歴史を研修されている、堀川修平さんが書かれた『「日本に性教育はなかった」と言う前に ブームとバッシングのあいだで考える』の刊行記念イベントで知った言葉です。
バッシングがあると、それを受けた人は萎縮してしまいますよね。でも、本当は萎縮する必要はないし、声を上げ実践し続けることが大切なんだ、そのことを改めて感じました。
まだまだ話し合われていないことが、たくさんある
政治について興味を持つ前は、議会ではいろんなことを話し合って決めているんだろう、社会がより良くなるように頑張っているんだろう、それが当然だと勝手に思い込んでいました。
でも、それって全然当たり前のことじゃない。問題をみんなの前に出して話し合うためには、声を上げる市民や議員がいなければいけません。
特に最近よく話されるようになってきたジェンダーをはじめとした「性とからだ」の問題については、そもそも議題にすら上がっていないところも多い。これまで議会で何度も話し合われた内容については、議員がそれぞれ反対・賛成の考えを持っていて意見が飛び交うけど、全然話し合われてこなかったテーマについては、そもそも意見を持っていない人なんかも多い。
様々な分野で多様性が大切だ、と言われるのは、これが理由なのだと思います。
私たちは何ができるか?
最後に、私たちができることについても、知ることができたのでご紹介します。
今回は地方議会に関連することをあげていますが、オンライン署名をはじめ、選挙以外の方法で政治に参加する方法はまだまだたくさんありそうです。自分自身ができることを探しながら、また改めてご紹介できればと思います。
・予算概要をみる
税金は何に使われているのか?どのくらいの予算か割かれているのか?自分の地域の予算概要を見ることで、それを知ることができます。
個人的には数字を読むのが苦手なのですが、気になるテーマについて、予算をみられるようになりたいです!
・会議録×キーワード検索
自治体のホームページには「会議録検索システム」というものがあり、そこに気になるキーワードで検索をかけると、これまでの議会での発言の中から関連する情報を見ることができます。
動画で見るとなると骨が折れますが、キーワードから会議録を読んでいくと、気になるテーマについて話し合われているのか?どんなことが話し合われているのか?今後どうなるのか?といったことを少しずつ知ることができそうです。
・陳情、請願
私たちが議会に直接要望を伝えるために、文書を提出する制度です。
誰でも提出することができますが、請願には議員からの必要、などのルールがあるようです。
・議会を傍聴したり、議会の報告会に行って話を聞く
スケジュールや傍聴の方法など、地域によって違いはあれど、誰でも議会を見に行けます。
一度、自分の住んでいる自治体の議会も傍聴しに行こうと思っています。その時のことも、レポートしてみたいです。
政治のニュースを見ていると、落ち込むことも、何が正しいのかわからなくなることもありますが、継続して学び続け、一人の市民として行動していきたいなと思います。