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のらねこ、ゲームルールを支配したい
僕は現在、“自分でも全くやったことない挑戦をする” という企画で、ちゃんとビジネスとして成立するゲーム作りをやっています。
前回までの作業で、ゲームのだいたいの方向性を “インバスケット思考をゲーム化する” ということで決定しました。
でも面白いゲームってどんなゲームだと思います?
ルールがしっかりしてるゲーム?
魅力的なガジェットの多いゲーム?
バランスの取れたゲーム?
もちろんどれも大事かもしれません。でも今回のテーマ的には違います。
面白いゲームとは、「面白い!」と感じさせてくれるゲームです。
まぁ、当たり前ですが。
てなわけで今回は、そういう感じがするルールを作ることを、目指していきたいと思います――。
いつもお読みいただきありがとうございます。
初めましての方、久しぶりの方もとても嬉しいです。
僕は目標管理Webサービス Project Sylphius の開発・運営をしています、TOMCAT HEART の中島です。
したいことはいっぱいある。でもそのために何をしたらいいか分からない。
だから結局なにもできない。
普段からそのような考えに捕らわれがちな人に必要なのは、エイヤでとにかく始めることではありません。
“目標管理スキル” を覚えることです。
目標を管理して順序だてて考えないから、何をしたらいいか分からなくなるのです。
この のらねこに何ができる? では、正しい目標管理のやり方を皆さんとシェアすべく、僕自身が計画して僕自身でやってきた様々なことを、なるだけ面白く書く趣旨となっています。
現在は “のらクリエイターに何が作れる?” シリーズを連載中です。
僕自身も作ったことがない全く新しいモノづくりに、完全に0の状態から挑戦しています。
1. 何を作るか考える
2. 方針を立てる
3. 必要な作業に作戦を立てる
4. ゲームの内容を決める
5. ゲームの細かいルールを決める(今回)
6. テストプレイ
(以下未定)
1. 面白いルールってなんだろう?
先ほど冒頭で、面白いゲームとは「面白い!」と感じさせてくれるゲームだ、と書きました。
でもこの言い方はちょっと意地悪です。
なのでそれをこう言い換えたらどうでしょうか。
面白いゲームとは:
プレーヤーに感じさせたい感情を目標として定め
そこへ導く造りにちゃんとなっているゲームである
どう?
たとえば「やったぜ!」という気持ちにさせたいゲームがあったとして、
通常多くの人がそう感じる状況を調べて、そしてそうなるようにルールや演出を仕組んでおくってこと。
例を出すと:
人は、崩れて欲しいものが一気にドバッと崩れる状況を「気持ちいい」と感じることが、心理学的に分かっています。
巨大な積み木が一気に崩壊する、自分を苦しめた悪人の人生が一気に暗転する、とかとかね。
これを “崩壊のカタルシス” と呼びます。
なので、『崩壊のカタルシスを確実に感じるよう、順序だてられたゲーム』は面白いわけです。
同じように、
困難な目標を達成したとき
不安から逃れ安心した気持ちになったとき
などなど、人間は様々な状況で、様々な種類の「やったぜ」を感じます。
このとき、プレーヤーに最終的に感じてほしいその感情のことを、
≪目標パーセプション≫
といいます。
ゲームとは、クリアの瞬間に目標パーセプションを感じられるよう、ルールや演出などで巧く導いてあげる仕組み、ってことです。
前回までの設計作業で、今回のゲームの目標パーセプションは「みんなの気持ちを1つにできた!」に決まっています。
ですのでそういう気持ちになれるよう、ルールを整えればいいわけです。
「みんなの気持ちを自分がまとめてみせた」ってときに感じる高揚感。
バラバラだったみんなの気持ちが、自分の一言で一斉に同じ方向を向いたときに感じるリーダー感、とでもいえばいいのかな?
そういう気持ちになれるルールを作るのが今回の目標ってわけ。
オーケー。なんかできる気がしてきた。
ただし言うまでもないことですが、そういうルールにするってことは、
人の気持ちをコントロールすると
高揚感を覚えるタイプの人
が、今回のターゲット顧客になるってことでもあります。
世の中には人をコントロールできてしまった瞬間に不安を覚える人もいて、そういう人は今回お客さんとしては対象外です。
そういう人達に対しては、また別の機会に別の方法で「やったぜ」をお届けすることにしましょう。
てなわけで、「みんなの気持ちを自分がまとめきれた」という種類の高揚感を感じるゲームを作っていきます。
2. インバスケット思考をゲームとして楽しむために必要なルール
今回は、ゲームの内容としては ≪インバスケット思考≫ を応用することが決まっています。
≪インバスケット思考≫ とは、『自分より優秀な人ならどう対処するか?』という視点で、問題の解決手段を見つける思考法のことです。
自分よりも優秀な人を代表で1人イメージして、「その人ならどうする?」と考えます。
もとは米空軍の訓練プログラムだったらしいです。
ですので、もっとも最低限のルールはこう。
最低限のインバスケット思考ゲーム:
1. プレーヤー各人が、自分が誰をイメージするか決める
2. トラブルの内容を決める
3. そのトラブルの解決法を1人ずつ発表する
4. どの案が一番よかったかを投票で決める
さて、このルールでゲームしたら面白いかな?
大喜利を例に出すまでもなく、“みんなでアイデアを出し合うゲーム” はこれくらいシンプルでも十分に面白いです。
でも、工夫を加えればもっと面白くできます。
ルールとは、ゲームを盛り上げるためなら多少複雑でもいいはずです。
改良案1:
1. プレーヤー各人は、自分がどんな主人公を演じるかを決める
2. トラブルの内容を決める
3. そのトラブルの解決法を、主人公になりきって発表する
4. どの案が一番よかったかを投票で決める
こんな感じでどうかな?
主人公になりきる、というルールを追加しました。
多少ハードルとして高いかもだけど、『巧く演じれてなくても責めてはいけない』というルールがあればギリイケる気がする。
ただし、実はこの改良案1には問題があります。
それは当初予定した目標パーセプションがクリアできていないことです。
今回は、プレーヤーを「みんなの気持ちを自分がまとめきれた!」という気持ちにさせてあげることが重要です。
が、アイデアを出して発表するだけだと、たとえそのアイデアがウケたとしてもプレーヤーが感じるのは「面白いと思ってもらえた!」という気持ちだけです。
これはあきらかに「みんなの気持ちを1つにできた!」とは違います。
そこで、ルールをもう少し改良し、こんな感じにしてみます。
改良案2:
1. プレーヤー各人は、自分がどんな主人公を演じるかを決める
2. トラブルの内容を決める
3. そのトラブルの解決作戦を、主人公になりきって発表する
4. その後、実際に作戦を開始するために、他のプレーヤーを部下と仮定して役割を割り振る
5. 最後に「分かった?」と宣言して挙手を求める
* 各人、自分の役割が納得できたら挙手(そうでない人は手を挙げない)
* このとき手を挙げた人数が、そのプレーヤーの得点となる
これでどうかな。
うん、イケる気がする。
、、、イケる? イケてない?
いや、これで行こう!
3. さらに細かい部分のルールを決める
ざっくりなルールが決まったので、これをさらに細かくしていきましょう。
このとき、上手にブラッシュアップするコツは、ルールというのが本質的に『トラブルを防ぐためにある』ことを理解しておくこと。
世の中には、なんとなくの感情論で『こういうルールがあった方がいい気がするから』で一方的にルールを増やす人もいます。
ブラック校則然り、公園の謎の禁止ルール然りね。
そういうのって、ルールを作った本人はだいたい老害だったりします。
そもそも、“ルールとは、トラブルを防ぐためにあるもの” です。
防ぐ対象となるトラブルがない、または作った本人が害悪だと思い込んでるだけとか、そんなルールは存在する意味はないんです。
ですから、今回のルールもこんな感じにしましょうか。
1. 主人公カードからランダムに1枚引く
本人が自分で主人公を決めるんじゃなくて、ランダムなカードの制約を受けることにします。
カードには “歴史上の人物” “アニメのヒーロー” “有名人” “その場にいる人” なんかが書かれてるものとします。
このようなカードを用意するのは、自分がどんな主人公を演じるかを自分で決めるというルールでは、決めきれない人が出てくる恐れがあるからです。
2. カードを引いたら、具体的に誰を演じるかを宣言する
カードに書かれた範囲内で、主人公を決めます。
ただしこのとき、その場にいる他の人が誰も知らない人物を挙げてはいけないルールとします。
だって、そんなの演じたって場が盛り下がるだけだからね。
どうしても決めきれない場合だけ「自分なりのキャラでやります」と宣言すれば、オリジナルの主人公でもOKにします。
3. “その場にいる人” カードを持つプレーヤーがいる場合だけの追加ルール
真似される対象となった人に≪不快感を表明する権利≫があることにします。
当たり前ですよね。
その場にいる人を真似したら多分盛り上がるだろうけど、でも人に真似されることをイジメと感じる人もいますからね。
ですので、そういう面白くない事態に陥らないよう、≪不快感表明権≫をルールとして明確化します。
ただし、権利をただ認めるだけだと面白くないので、
『不快感表明権は、アイデア発表後まで保留することができる』
というルールも追加することにします。
不快感表明権がすぐに行使された場合
主人公を別の人に変えるか、または別のカードに変えなければならない。不快感表明権が保留された場合
権利者は、本人の発表後、あらためて不快感を表明できる。
その場合、その発表プレーヤーは『問答無用で失格』となる。
権利者が最後まで不快感を表明しなければ、発表プレーヤーは追加ポイント+1を得る。
こんな感じ。
4. トラブルカードを引く
トラブルカードをあらかじめ用意してあげて、プレーヤーはその山の中から1枚引く形にします。
なぜって、トラブルの内容まで自分で決めなきゃいけないとなると、考える労力が大きすぎるからね。
ただし、トラブルカードの引き方は以下のいずれかから選べてもいいかもしれません。
トラブルカードを全員で1枚だけ引き、その解決法をそれぞれが考える
全員がそれぞれ別々のトラブルを解決する
5. シンキングタイムを設ける
これも当然いります。
時間が決まってないと、いつまでも考え続ける人が出て場がグダグダになりますから。
3分、5分、10分など、いくつかの選択肢の中から選べるようにしておけばいいと思います。
6. 1人ずつ発表
で、最後に、主人公になりきってトラブルの解決方法を発表します。
番組予告風とか、YouTuber風とか、悪の指令室風とかとか、何らかの形で主人公になりきって発表することをルールとします。
ただし1つだけ注意点として、『発表中、他のプレーヤーは褒め言以外を発声禁止』としたいと思います。
内容に問題があろうとも、主人公に全然なりきれていなくても、絶対にそのことを指摘してはいけない。
言っていいのは褒め言葉だけ。
「なるほど!」「いいね!」「すばらしい!」「名案だ!」「さすがです!」「キレてるよ!」
などなど、何でもいいけどとにかく褒める。
場が盛り下がるのを防ぐためのルールとして、ここは説明書などで強調しておく必要があるかもしれません。
それから、発表プレーヤーが “その場にいる人” カードの場合、権利者この発表が終わった段階で≪不快感表明≫ができることにします。
不快感を表明されたら、発表者は≪失格≫です。
ですので発表プレーヤーは、本人の不快感を煽らないように注意して発表しなければいけません。
ただし、最後まで不快感表明されずにやりきったら、それだけで追加ポイント+1がもらえるわけ。
7. 他のプレーヤーに指示を出す
発表が終わったら、最後に、他のプレーヤーを『部下』に見たてて指示を出すことにしたいと思います。
たとえば:
“山火事だ! 消さなきゃ!”というトラブルを、
スーパーヒーロー風に解決するとしたら、
1人目: 避難誘導する役
2人目: 指令室に巨大ロボの発進を申請する役
3人目: 主人公と一緒に初期消火する役
主人公: 巨大ロボが来たら、山火事を手でパシパシ叩いて消す役
こんな感じで役割分担をするわけです。
で、最後に「わかった?」と言って手を挙げさせます。
他のプレーヤーは、作戦内容と、自分の役割に理解ができたら手を挙げます。
プレゼン中に褒め言葉を言ったどうかにかかわらず、自分自身の気持ちとして納得できたかどうかだけで手を挙げることにします。
なので、散々褒めといて最後は手を挙げなかった、という人が必ず現れることになります。
で、このときの手の数がポイントです。
(不快感表明を回避した人はさらに+1)
点数が決まったらその人の発表はおしまい。
手順 6. に戻って次の人の発表し、点数の一番高かった人の勝ち。
4. ルールができたらすぐにやること
さて、ルールが完成しました。
ゲームというのは出来上がったら、可及的速やかに真っ先にやらなきゃいけないことがあります。
言うまでもなく、テストプレイです。
テストプレイをしていないゲームは、味見しないで作った料理と同じ。
特に “ちゃんとビジネスとして成立するゲーム作りをする” という今回のテーマと照らすと、テストプレイをしないことはありえません。
これはカードゲームにしろ、コンピューターゲームにしろ、ゲームであれば何でも同じです。
今回僕は、このルールを面白いと思って作っています。
でも、机上の空論なんだから実際には面白くないに決まってるんです。
それを確認します。
ですので、むしろテストプレイをやってからが、本当の製造工程のスタートってワケ。
てなわけで次回は、テストプレイをしていきたいと思います。
娘と息子にお願いして、3人でやってみようかな。
実はこの原稿は執筆時点が4月末でした。
なのでテストプレイがゴールデンウィーク中にできるのは幸運だったかも。
「ルールが複雑すぎる」とか「解決法を考えるのが難しすぎる」とか、いろいろ意見が出てくるはずなので、それに基づいて改善していきます。
うまくいくといいな。
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