【エッセンス#2】【芦名勇舗のash radio】営業の極意 – 「信頼」と「行動力」
芦名勇舗さんのYouTubeラジオ「ASH RADIO」は、1330回を超える放送を通じて多くの人生哲学やビジネスの知見を発信してきました。本記事では、その膨大な内容を精査し、芦名氏の考え方を50のテーマに整理してご紹介します。熱いメッセージを交えながらも親しみやすく、そのエッセンスをまとめました。第2回は「営業の極意」です。管理職手前~管理職クラスのビジネスパーソンに向け、今回は芦名氏の過去放送内容を引用・要約しながら、営業で成果を出すためのマインドとスキルを解説します。
信頼が何より大事:嘘をつかない誠実さ
まず「とにかく信頼が大事」という点。これはASH RADIOの中で何度も語られる不変のテーマです。第310回では「だから信頼だって。」とタイトル化してしまうほどに、であり、逆に言えば「この人の言っていることは本当だな」と思われれば商品を買ってもらえる、ということです。人は「嘘をつかなそうな人」に心を開き、財布も開くのです。
では、どうすれば信頼してもらえるのか?芦名氏は自身の保険営業時代、初対面のお客様には自分の価値観や歩んできた人生を正直に話していたといいます。「相手が喜びそうなお世辞を言ったり愛想笑いをしたりする」のではなく、「なぜ今この仕事をしているのか」「どういう経緯でその決断をしたのか」を率直に伝える」ことで信頼してもらえるからです。
おべっかよりも自分の信念を語る誠実さが大切だというわけですね。実際、「成績の良くない営業マンは、信頼の上げ方が下手」だと芦名氏は指摘しています。相手に迎合する前に、自分の言葉で本音を語る勇気が必要なのです
芦名氏の言葉を借りれば、「営業力は信頼力である」に尽きます。どんなに商品知識やトーク術があっても、あなた自身が信用されなければ契約は生まれません。裏を返せば、あなたが約束を守り嘘をつかない人間であることを示せれば、それだけで商談の大半は成功したも同然なのです。ASH RADIO第310回をはじめ複数回にわたり、「信頼こそ営業の土台」という趣旨の発言が強調されているのも頷けます。
商談での「約束」:断ってもいいから聞いてもらう
信頼関係を築く土台ができても、商談そのものの進め方を工夫しないと成約には至りません。ここでキーワードになるのが「約束」です。この場合の約束とは、お客様との間で商談のゴールを明確に約束することです。具体的には、商談の冒頭で「少しでも気に入らなければ断ってください」とはっきり伝えるのがポイントです。例えば芦名氏は保険商品を提案する際、初めに「今日の商談のゴールは2つあります。A: お断りいただくかB: ご契約いただくかです。おそらく99%はAになると思いますので、遠慮なく断ってください。ただ、万が一Bになった場合のみご契約いただければ大丈夫です」と伝えていたそうです。一見ネガティブにも思えるこの宣言により、お客様は「断ってもいいんだ」と安心し、構えずに話を聞いてくれるのです。
この「断りの許可」を与える約束は、営業現場で非常に効果的です。「今日こそ契約をもらいたい!」という焦りからお客様にプレッシャーをかけてしまうと、かえって相手は身構えてしまいます。しかし最初に断る権利を保証することで、むしろお客様の心のハードルが下がり、提案内容に集中してもらえるのです。結果として、本当にフィットする提案であれば「それなら試してみようか」という前向きな検討に繋がります。約束とは“契約を取り付ける”約束ではなく、お客様と信頼の前提を共有する約束なのです。
加えて、ビジネスパーソンとして当然ですが小さな約束も絶対に違えない姿勢が重要です。資料を○日までに送ると約束したら必ず守る、折り返すと言ったら必ず電話する――こうした当たり前の積み重ねが「この人は嘘をつかない誠実な人だ」という評価に直結します。芦名氏が強調する「約束」の重要性は、商談テクニックに限らず日頃の信頼貯金をコツコツ積むことにも通じているのでしょう。
行動力と継続:会う回数×質で成約率アップ
最後に、行動量と継続力についてです。信頼を勝ち取り巧みな商談運びができても、そもそも営業活動の母数が少なければ成果は頭打ちになります。芦名氏は「結果を出すためには2つしかない。自分がしっかりと信頼できる人間になること、もう1つは自分が誰よりも行動力を上げること」だと言います。前者がマインドだとすれば、後者はまさにスキル・努力の部分でしょう。
具体的な行動面の極意として、芦名氏はアポイントの数と質を最大化する工夫を随所で提案しています。例えば保険営業時代、芦名氏は月に100件以上の商談機会を作っていたそうです。その秘訣の一つが「同じお客様と何度も会う」ことと「次回日程をその場で押さえる」ことでした。初回商談で信頼関係を感じられたら、「次回は○○の資料を持ってきますね」と即座に次の約束を取り付けます。もし「後で日程調整の連絡をしますね」と先送りにしてしまうと、せっかくの次回アポ獲得率が100%から80%、70%…と下がってしまうからです。小さな積み重ねですが、この場で約束の習慣が継続的な営業パイプラインを維持するカギになります。
さらに、芦名氏は「チャンスにすがらないこと」も説いています。営業マンは時に「この一件を逃したら次はないかも…」と目の前の一つの案件だけに執着しがちです。しかし芦名氏曰く、「チャンスなんて50や100に1つあるかないか。お金になるかどうかより、とにかく会える人に会える時に会う」ことを常に意識しているとのこと。とにかく数多く当たれば偶然の巡り合わせ(=ビジネスチャンス)が生まれるし、アポイントは運命くらいに捉えているとも語っています。この言葉通り、芦名氏はどんな相手にも積極的に会いに行き、自分から機会を増やす行動力を徹底してきました。結果として桁外れの実績(月収2400万円超えなど)を残せたのです。
また、「行動力」を語る上で芦名氏は効率化にも触れています。「無駄を省いて、いかに効率よくアポを入れて回転率を上げるかが大事です。今ダラダラとやっている仕事のスピードを上げましょう」と呼びかけ、限られた時間でより多くの顧客と接点を持つ工夫を促しています。単に根性論で量を追うのではなく、質と量を両立するスマートな努力が求められるということですね。
結論:「営業の極意=信頼&行動力」
お客様との信頼を何より大切にし、自分との約束も相手との約束も誠実に守り抜く。そして誰よりも熱量高く、数多く行動する。この両輪が揃えば鬼に金棒、営業で怖いものはありません。まずは次の商談で一つ、お客様との「約束」*を交わしてみてください。「断ってもいいですよ」という一言でも構いません。そこからきっと、信頼に満ちた本音の対話が始まるはずです。
参考放送回:第37回、第310回、第314回、第932回、第1249回 など(芦名勇舗のASH RADIO過去放送)
その他参考文献:
【勉強会】BVEATS代表 芦名 勇舗 氏(あしな ゆうすけ)にマーケティングやセールス活動における考え方や取り組みについて伺いました - DORIRU ブログ
「自分の感情に素直なヤツが突き抜ける!」~著者と語る朝渋読書会 芦名勇舗さん~ - 朝渋