見出し画像

情シスが鍵を握る!従業員体験(EX)改善の秘訣〜人材育成は人事だけの仕事ではありません


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【いきなりですが質問です】

①採用した人がすぐ辞めてしまうのは
会社との相性だから仕方ない

②会社が求める教育研修は提供するが
それ以外の能力開発は個人でやるものだ

③採用や人材育成、能力開発は
人事部や経営の仕事だ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この問いに対して、ひとつでもYESと答えた方には是非とも今回紹介する本書「EXジャーニー 良い人材を惹きつける従業員体験のつくりかた」を読んで頂くことをオススメします!

なぜそう思うのか?

自分自身の体験を元にお答えしていきます。


僕が感じた「あれれ?な体験」①
やる気満々の人、すぐ辞めちゃう問題

自分自身の体験で、EXを語る際に避けて通れないのがこの問題です。

半年くらい前、隣の部署に30台半ばの中途入社の人が配属されました。その人はITについても知識と経験があるようで、情シス/IT部門が開催する勉強会にも積極的に参加してくれていました。

1・2ヶ月したらあるDXの業務改善プロジェクトにもアサインされるだろうと楽しみにしていました。

ところがです。半年程して、その人は挨拶もなくひっそりと退職してしまったのです。

----------

日々の業務の遂行における体験の中で「煩雑なIT環境や手続き」や「上司や同僚との非効率なコミュニケーション」「新参者を受け入れない雰囲気」が日常的に繰り返されると、従業員のモチベーションは急速に低下します。

そして最終的に入社時に抱いていた期待とのギャップが生じ、「こんなはずではなかった」という感情が不幸な退職につながるのです。

これって情シスは関係ないやん‼️

そう思われたかも知れませんが、実は「情シス/IT部門が整えた環境」が人材流出を防ぐなど、社員が辞めない職場を作るために情シスができることは意外と多いことをご存知でしょうか?

本書を読み、通常業務のIT環境の改善やコミュニケーションの仕組みを整えることが、EX向上の第一歩であると再認識したのです。


僕が感じた「あれれ?な体験」②
自己研鑽してね!業務時間外に!


私は昨年から、全社のデジタル化を推進するための人材育成プロジェクトを企画推進していますが、一年間やった中でヒシヒシと感じたのがこの「人材育成への投資に対する考え方のズレ問題」の体験です。

具体的には、プロジェクト参加メンバーから時々申し訳なさそうに個人チャットに送られてくる「明日、業務都合で参加できません」のメッセージ。

さらには、デジタルの推進教育を一年間やるにも関わらずノートパソコンも与えられない若手社員。そんなと 現実も目の当たりにしてきました。

----------

多くの組織がコスト削減の観点から人材育成への投資を後回しにしています。しかし、特にITやデジタルを活用した業務改善では、個々のスキルアップが企業全体の競争力に直結します。

さらに本書でも指摘されていた通り、社内外の研修やワークショップに参加することに対する理解が乏しい職場文化は、人材の成長を妨げていると言えます。

この問題は単に「学びの場を提供しない」というだけでなく、学びを求める社員に対して「言い出しにくい雰囲気」を作ることで、無意識に成長意欲を削いでしまうリスクをはらんでいると考えざるを得ませんね。

だからこそ私たち情シス/IT部門は、自部門だけでなく利用部門に対しても、自主的な学びを支援し成長の機会を増やすための場や教材を提供するなど、デジタルに関する従業員の体験資産を増やす環境整備をする必要があるのです。


情シス/IT部門ができるEX向上とは?


今回の記事では触れなかったのですが、本書では、情シス/IT部門に深く関係するEXジャーニーの体験やそれにまつわる問題点が紹介されています。

▶︎オンボーディングが適当問題
 新入社員のパソコンが配属までに準備出来ていない/不備があって使えなかった

▶︎業務ツールの使い方説明しない問題
 中途入社の人に業務ツールの使い方を誰も教えない/資料やガイドブックもない

▶︎引き継ぎされてなかった問題
 引き続ぎルールやツールが決まっていないため全て本人任せ。結局引き継ぎを受ける方が煽りを受けて疲弊する

実はウチの組織でも上記に似た問題を抱えています。そして業務が忙しい時ほどこの問題は放置されてしまいます。

そしてその結果、従業員の満足度を低下させてしまうのです。

本来であれば、情シス/IT部門がルールやガイドブックを作りながら現場部門とコミュニケーションするなどして、主体的に対処する必要があるべきなのですが…

----------

本書を通じて痛感したのは、EXの向上が業務効率化に寄与するだけでなく、優秀な人材の採用や定着に直結するということです。

それ以上に、悪気のない言葉や職場の慣習が、知らぬ間に優秀な人材を遠ざけていることの方が圧倒的に多く、まずこの課題を解消することが急務ではないかと言うことを感じました。

そのためには、
従業員体験を全社的に考える文化を
醸成する必要がある

問いの3番目「採用や人材育成、能力開発は人事部や経営の仕事だ」に対して、私がNOと言う理由がここにあります。

従業員体験の改善は、人事や経営者だけの仕事ではありません。情シス/IT部門としても、日々の業務や環境を整え、従業員が成長しやすい基盤を提供することが可能なはずです。

これからも「働きやすい環境」を整えることで、社員一人ひとりが最大限に力を発揮できる組織づくりを目指していきたいと思います。


従業員体験(EX)とは


今回紹介する「EXジャーニー」は、2024年11月に発売された書籍で、作家で組織変革とワークスタイル開発の専門家である沢渡あまねさん、越境学習を始めとした人材開発分野の第一人者、法政大学の石山恒貴教授、ビジネスリサーチラボの伊達洋駆さんの3名の共著です。

従業員がその企業で働くことによって得られる体験や経験を従業員体験といいます

「はじめに」より抜粋

EXジャーニーとは


EXを旅(ジャーニー)に例えて最初の接点から退職後までの一連の体験を時間軸に沿って定義したものです。

個人と組織の関係性を時間軸に沿って包括的に捉える枠組みです。それは「入社から退職まで」の期間を指すのではなく、その個人が組織と何らかの接点を持ち始めた最初の瞬間から、退職後も含めた長期的な関係性までを視野に入れています。

ビジネスリサーチラボのWebサイトより引用

EXジャーニーマップとは

EXジャーニーと言う枠組みをさらに具体的かて体系的に定義したフレームワークが「EXジャーニーマップ」です。

このEXジャーニーマップには、人事部門だけでなく全ての組織がこれを活用して、良い組織作りをするためのEX (従業員体験)を考えて取り組んで欲しい、と言う著書の想いが込められています。

人事部門/経営層の人は全員必読!ですね

それ以外のバックオフィス部門の人も読んで
自部門で出来そうな内容を実践してみてください!

この記事を気に入っていただけたら、❤️ やフォローをお願いします🙇‍♀️

いいなと思ったら応援しよう!