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変わりゆく世界秩序①-03🌍BRICSの真相[タイ🇹🇭やマレーシア🇲🇾に広がるBRICS]

変わりゆく世界秩序①-03🌍BRICSの真相[タイ🇹🇭やマレーシア🇲🇾に広がるBRICS]


現在、多くの反共カルト以外の🇯🇵国民は、あまり意識しておらず
社会問題を認識すらしていない無関心な国民が多いが、
「G7🇺🇸🇪🇺🇯🇵 vs BRICS🇧🇷🇷🇺🇮🇳🇨🇳🇿🇦」
「欧米🇺🇸🇪🇺🇯🇵 vs 非欧米」「西側諸国🇺🇸🇪🇺🇯🇵 vs 非西側諸国」
のような対立が世界🌍では起きていて、
イスラエル🇮🇱のようなならず者国家を支援する
「G7🇺🇸🇪🇺🇯🇵という世界共通の敵👿」が誕生しつつある。
その事実をニュースや記事をベースに見ていきます。



ただアメリカ🇺🇸に追随する無能な思考停止🧠のカルト日本人🇯🇵と異なり、
ジャイアンアメリカ🇺🇸について行くと、自滅することに気付いた
タイ🇹🇭やマレーシア🇲🇾の国々と、世界の狂犬イスラエル🇮🇱を支援し続ける
欧米諸国🇺🇸🇪🇺🇯🇵のダブルスタンダード国際ルールを無視する「独善的経済制裁」で好き勝手振る舞う独善的な「ジャイアン・アメリカ」
衰退の背景も見ていく。また、日本政府🇯🇵による「新型NISA詐欺」が囁かれ始めて久しいが、間もなく膨れ上がった「対テロ戦争」による欧米🇺🇸🇪🇺🇯🇵 の
軍需バブルが弾ける可能性についても見ていきたい。
また、政治家、官僚・役人、さらにはオールドメディア📺📰は、
米国を中心としたG7🇺🇸🇪🇺🇯🇵が世界を牛耳る「既存の世界支配体制」
によって既得権益を得ている。彼らが、都合の悪い拡大BRICSの躍進や
ロシアや中国のこと
に対して「デマを流したり」「見て見ぬふり」をし、
報道しない自由」を駆使していることも見ていきます。


【覇権移動前編】ついに世界の覇権移動が始まった…!「ジャイアン」アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している「衝撃の理由」

2024.06.09
大原 浩

東南アジアで初めてタイがBRICS加盟申請

スプートニク日本 5月30日「タイがBRICSへ加盟申請。なぜタイには加盟が必要か」と報道された。
2023年9月6日公開「サウジアラビア・イラン参加『本当の衝撃』…エネルギー覇権を握る『拡大BRICS」中心で、世界は『脱欧米』に向かう」の中でも、「BRICSの急速な拡大」に注目していたが、タイの申請が承認されれば、
東南アジアで初めての参加となる。

ついに世界の覇権移動が始まった…!「ジャイアン」アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している「衝撃の理由」
タイ、バンコク
by Gettyimages

これは極めて重要な出来事だ。BRICSは「脱欧米」を目指す組織の中で
最も有力である。そもそも「R」のロシア🇷🇺と「C」のチャイナ🇨🇳が主軸だ。
ウクライナ戦争、「貿易戦争」や「人権問題」などで欧米と鋭く対峙する両国に、
「近づいた」と欧米からみなされることを承知で加盟申請を行ったという点が
重要といえる

「ジャイアン・アメリカ」やその子分たちを「恐れなくなった」ということだと
考えられるのだ。このタイの「判断」の背景には、
最近のBRICSの「勢い」がある

ついに世界の覇権移動が始まった…!「ジャイアン」アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している「衝撃の理由」

急速に「拡大」しているBRICS

BRICSは2009年に、戦後(特に1991年のソ連崩壊以降)の米国一極支配🇺🇸
世界秩序に対抗し、非西欧の新興経済国が集まって結成された

ついに世界の覇権移動が始まった…!「ジャイアン」アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している「衝撃の理由」
2023年8月、BRICS首脳会議
by Gettyimages

このBRICSに関して、ジェトロ・アジア経済研究所「IDE スクエア」
昨年12月「(グローバルサウスと世界)第5回 BRICSに中東・アフリカ諸国が
加わることの意味――エジプトを事例に考える」は興味深い資料だ。

最近世間の注目を集めたのが、いわゆる「拡大BRICS」である。
2024年1月1日をもって、エジプト、エチオピア、サウジアラビア、
アラブ首長国連邦(UAE)、イラン、アルゼンチンの6カ国がBRICSに加わり、
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカと合わせて11か国体制
となった。

前記記事によれば「サウジアラビア、UAE、イランが加わることで、
BRICSは世界の原油生産量の41%、人口の46%、国内総生産(GDP)の
36%を占めることになり、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、
イギリス、アメリカからなる主要7カ国(G7)の経済規模を上回る」ことになる。

これはまさに「世界秩序変革」の第一歩といえよう。
この「巨大な力」はまだ産声を上げたばかりであり、加盟国も寄り合い所帯だ。
また、加盟国の中でも中国、ロシア、イランなど欧米と激しくぶつかる国々と、
欧米に対して比較的融和的な国々が共存する

だがG7🇺🇸🇪🇺🇯🇵などの欧米諸国の力の衰えはあまりにも明白であり、
「世界」はそれをよくわかっている


それだけではない。ウクライナ戦争、ガザ戦争における欧米諸国🇺🇸🇪🇺🇯🇵の
ダブルスタンダード「ジャイアン・アメリカ」主導の国際ルールを無視する
「独善的経済制裁」
は、欧米に融和的な国々を遠ざけ、
「反欧米」であるロシア、中国、イランなどへ近づける結果となった。

つまり、バイデン大統領🇺🇸の「ジャイアン・アメリカ」丸出しの政策が、
BRICSの結束を強め、さらに「BRICS成長のための栄養源」になっている
のだ。

ついに世界の覇権移動が始まった…!「ジャイアン」アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している「衝撃の理由」

アメリカの世界権力の源泉「金融システム」

BRICSが結成された2009年の前年である、2008年にリーマンショックが
起こった。これがBRICSにも大きな影響を与えている


確かに、1945年以降の米国を中心とした「戦勝国」が構築した
「戦後体制」が上手く機能した時期が存在したのは事実だ。
日本の高度経済成長も戦後体制の恩恵の一つであろう。

だが、1991年にソ連が崩壊した後の「米国一極体制」は、その17年後の
2008年にはすでに綻びを見せていたその綻びにテープを貼っただけで、抜本的な改革を行わず「問題の先送り」をしてきたのが現代の世界である
問題点を先送りにするだけで、改善策を提示できない欧米主体の世界秩序
(経済体制)に批判が集まるのは当然
である。

特に問題になったのは「金融システム」であり、前記アジア経済研究所
「(グローバルサウスと世界)第5回 BRICSに中東・アフリカ諸国が加わることの意味――エジプトを事例に考える」において、
「BRICSが設立当初に要求したのも、世界的な金融システムの再編や
欧米主導の国際金融機関における発言力の強化」と述べられている。

例えば、日本国内の各省庁の中で財務省が「別格」扱いされているのも、
資金の流れ(配分)を掌握しているから
である。同じように、
世界秩序の中で「金融システム」が「権力」と強く結びつくのも当然だ。

ついに世界の覇権移動が始まった…!「ジャイアン」アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している「衝撃の理由」

「チェンジ!」を謳って当選したオバマ大統領🇺🇸が、回転ドア人事で
詐欺師の経済犯罪者たちを追及せず、罪に問わず、国民を騙して
公金チューチューで救うことで、肥太らせ、アメリカ崩壊を招いたこと
を知るには、こちらを参照のこと。


BRICSが目論むドル依存の低下

再び、前記アジア経済研究所記事から引用すれば、
BRICSは米ドル以外を使った貿易を増やすことで、新興経済国の
米ドル依存を下げたいと考えている
」のである。
また、欧米のシステムから独立した、あるいは補完する金融システムの確立
を目指している。2022年6月、ロシアのプーチン大統領は、
BRICS加盟国の通貨バスケットに基づく新たな準備通貨を開発すると発表
」。

さらに、「それに先立つ2014年には、BRICS加盟国によって上海を
本部とする『新開発銀行(NDB)』が設立されている」。
「NDBは、現地通貨によってインフラ・プロジェクトの資金調達を行うこと
を目的に、世界銀行に代わるグローバルサウスのための銀行として設立された。
このNDBには現在、エジプト、バングラデシュ、UAEといった
BRICS以外のメンバーも加盟しており、ウルグアイも加盟を申請中だ」
とのことだ(1月からエジプトとUAEは「拡大BRICS」に参加)。

もちろん、ロイター 昨年10月2日「外貨準備高のドル比率、
第2四半期は58.9%で横ばい=IMF」のようにドルはまだ大きな力を持っている。
しかし、ドル中心のシステムそのものが脆弱性を見せ始めているのに、
ロシアなどに対する「ルール無用の経済制裁」を始めとする
「独善的行為」を行うことがドルの信認をさらに低下させる

5月18日公開「ドル高だから『ドルが紙屑』にならないわけではない、
円安だから日本が没落するわけではない」、2021年3月13日公開
「最強通貨・ドル、じつは間もなく『紙屑』になるかもしれないワケ…!」
との「ドル懸念」を世界が強め、それに備えるのは当然のことといえよう。

拡大BRICSがかつて日米の「庭」だった東南アジアまで吸引しようとする中、
かつての盟主、西側先進国が急速に魅力と力を失っている。

つづく後編「信頼されない『名誉白人』日本、経済ボロボロの欧州、
政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が
『見捨てられて当然』の実態」で更に詳しく見てみよう。

ついに世界の覇権移動が始まった…!「ジャイアン」アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している「衝撃の理由」




【覇権移動後編】信頼されない「名誉白人」日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が「見捨てられて当然」の実態

2024.06.09
大原 浩

安倍元首相の「遺産」は……

BRICSが勢力を拡大する中で、期待されたほどに盛り上がらないのが、
2019年3月14日公開「TPP11の中心国・日本は世界再編のキャスティングボードを握るか」で述べたTPP11である。

信頼されない「名誉白人」日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が「見捨てられて当然」の実態
2019年1月、東京での第一回TPP委員会 首相官邸HP

「大原浩の逆説チャンネル<第2回・特別版>安倍元首相暗殺事件と迫りくる
インフレ、年金・保険破綻」で述べたように、戦後最大級(になるはずであった)
外交的成果の功労者を2022年7月8日に失ったことは大きい。

だが、BRICSに比べてTPPが「欧米色」の強い存在であることも大きな理由
ではないだろうか。TPP11の加盟国はオーストラリア、カナダ、シンガポール、
チリ、日本、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナム、ペルー、マレーシア、
メキシコである。「非欧米」の国々と「欧米」の国々との混合であるといえよう。
さらには、2021年2月には英国が加入を申請。
2023年3月に交渉が実質的に妥結している。

本当は、米国が離脱した後、加盟国の中では最大の経済大国の、
日本が本来重要な役割を果たすはずであった。

昨年6月27日公開「世界が『西欧主導』から『非西欧の時代』へと向かうとき、
日本人は『名誉白人』のままでいいのか?」で述べたように、
G7の中で唯一の非白人国家である日本は、「欧米」と「非欧米」の「中間」
に位置するとされ、両者の「融和」を司ることが期待されたということである。

だが、ウクライナ戦争やガザ戦争において、欧米が「独善的ダブルスタンダード」
を振りかざすことによって、「非欧米国家」との融和が極めて困難になった

欧米のダブルスタンダードが「世界」からどのように評価されているのかは、ARAB NEWS JAPAN 2022年5月9日「欧米の『ダブルスタンダード』は
言いがかりではなく事実」などでよくわかる。

「中間点」と言いながら、結局のところ欧米の中心である米国にペコペコ頭を
下げる日本が、「非欧米諸国」から「本当の信頼」を得ることができない
のも
致し方ないことだろう。

信頼されない「名誉白人」日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が「見捨てられて当然」の実態

ズタズタの欧州

「貧すれば鈍する」というが、米国や欧州が必死になって「ダブルスタンダード」
を駆使するのも、彼らの「地盤沈下」と無縁ではない
と考える。

🇩🇪ドイツの惨状については、6月4日公開「これで日本を上回る?
実はボロボロ・ドイツ経済、いつまでも期待先行のインド経済」で述べたが、
昨年9月11日公開「ドイツを見よ! EV化の惨めな結末~フォルクスワーゲン
減産、結局、脱炭素は『三流国』への道?」で述べた🇩🇪三流国」への道を
転がり落ちている

その他の欧州諸国も、昨年5月20日公開「7公3民、21世紀のフランス革命🇫🇷
は起こるか、そして5公5民の日本では?」のフランスを始め厳しい状況だ。
米国においても、3月18日公開「今、目の前にある1989年のデジャヴ~
上り調子の市場で損をする人々の生態とは」のように日本のバブル期を
超えるほど「風船がふくれあがっている」にもかかわらず

昨年12月23日公開「アメリカン『ドリーム』と『ナイトメア(悪夢)』の落差、
『夢』を与えられない人々の怒りが爆発する」などを始めとする問題が
山積している。

信頼されない「名誉白人」日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が「見捨てられて当然」の実態

選挙も裁判もまともに行えない米国

特に米国🇺🇸が錦の御旗として掲げる「民主主義」の劣化が激しい。
2020年の大統領選挙の「疑惑」が解明されるどころか、逆に民主党主導で
「国家ぐるみで臭いものに蓋」をしてしまった状況
は、2021年2月25日公開
「テキサス州が『大統領選挙不正との戦い』を牽引しているのはなぜ」
などで述べてきた。

また、「米国の改革」を掲げるドナルド・トランプ氏に対する既得権益勢力から
のバッシングも激しい。昨年9月2日公開「トランプ『魔女狩り』訴追とは
バイデン米国は『韓国化』しているぞ」で述べたように、
「『法の支配』は一体どこに行った?」と言わざるを得ない状況だ。
NHK 5月31日「トランプ前大統領 有罪の評決『不正で恥ずべき裁判』控訴か」
で述べられているような「恥ずべき」判決は、将来「米国民主主義の汚点」
として語られるであろう。
バイデン氏の陣営は、「法律を超越する者はいない」との声明を出しているが、
この判決そのものが、「法律を超越する者」の存在証明だ。

米国が民主主義を錦の御旗にウクライナやイスラエルを含む中南米、
アフリカなどの「独裁政権」を支援してきたことは明らかだが、
米国そのものの民主主義でさえこのように崩壊寸前
だ。
欧米の「絵空事の民主主義」を押し付けられる非欧米諸国が、
欧米から離れていくのは至極当然
である。

覇権が移動するとき、それは世界の大乱を意味する。
いかに生き抜くか。

「戦後体制が崩れて世界は『大乱』~資産も大事だが、変化に対応できるのは人間だけだ」を読め。読めばわかる。

信頼されない「名誉白人」日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が「見捨てられて当然」の実態



タイに次いでマレーシアも……相次ぐ「BRICS加盟」申請が意味する「ドル覇権の落日」

2024.07.09
大原 浩

タイに続いてマレーシアも!

ロイター 6月18日「マレーシア🇲🇾、BRICSへの加盟準備中=メディア」
と報道された。
J-WAVE NEWS TO THE TABLE 6月24日「<拡大するBRICS>タイがBRICS加盟の意思表示。承認されれば東南アジア初のBRICS加盟国となる。
背景を国際投資アナリストの大原浩さんにうかがいました」で述べたように、
すでにジェトロ 6月13日「タイ、BRICS加盟に向けた意向書案を閣議決定」
とのアクションが行われている。インド、中国の原加盟国以外にタイが
アジアで初めて加盟申請を行ったのだ。
もちろん、東南アジアでは初めてである。

タイに次いでマレーシアも……相次ぐ「BRICS加盟」申請が意味する「ドル覇権の落日」
タイのBRICS加盟
by Gettyimages

それに続いて、マレーシアが東南アジアで2番目の申請を行った
ということなのだ。

これは、6月9日公開「信頼されない『名誉白人』日本、経済ボロボロの欧州、
政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が『見捨てられて当然』の実態」、同「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」という状況の中で、
「南」と「北」のパワーバランスに大きな影響を与える出来事である。

しかしながら、日本政府やオールドメディアの反応は鈍い。明治維新以来
「脱亜入欧」によって、非白人国家でありながらまるで欧米の一員かのように
振舞い、現在でも昨年6月27日公開「世界が『西欧主導』から
『非西欧の時代』へと向かうとき、日本人は『名誉白人』のままでいいのか?」
という状況が続く。

また、政治家、官僚・役人、さらにはオールドメディアは、米国を中心とした
G7が世界を牛耳る「既存の世界支配体制」によって既得権益を得ている。
彼らが、都合の悪い拡大BRICS=「南」の躍進に対して「見て見ぬふり」をし、
「報道しない自由」を駆使するのも当然かもしれない

タイに次いでマレーシアも……相次ぐ「BRICS加盟」申請が意味する「ドル覇権の落日」

米国の「ASEAN戦略」の失敗

「大原浩の逆説チャンネル<第1回・特別版>大乱の八つのテーマと対処法」
で述べた「大乱」は、2022年2月24日のウクライナ侵攻以来激しさを
増している。
日本は、かつて幕末から明治にかけて「尊王攘夷」から、「脱亜入欧」へと
舵を切った。隣国におけるアヘン戦争のような欧米の横暴に対して
対抗するには「欧米化」する必要があったといえる。さもなければ、
日本もアジア、アフリカ、中東などの多くの国々同様植民地化され
非人道的かつ残虐な行為の犠牲になっていた。

だが明治維新から150年余り。再び世界秩序が再編されつつある。
そしてその世界秩序再編のカギを握るのが、「南」=「非欧米」
を代表する拡大BRICSなのである。

そして、「南」と「北」の綱引きとなっている地域の一つが東南アジアである。
もちろん、米国バイデン政権もその重要性は認識しており、
ジェトロ2022年11月14日「米ASEAN首脳、
『ASEAN・米国包括的戦略パートナーシップ』立ち上げを発表」と報じられた。

しかしそれにも関わらず、ASEAN(東南アジア諸国連合)の当初加盟国
インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5か国のうち、
タイとマレーシアの2か国が相次いで、(米国が敵視するロシアと中国を含む)BRICSに加盟申請したのである


これは明らかに、バイデン民主党政権の(無数にある)外交的失策の一つである。

タイに次いでマレーシアも……相次ぐ「BRICS加盟」申請が意味する「ドル覇権の落日」

ドルの「武器化」に世界が反発

現在では、政治的な意味合いを色濃くしているBRICSだが、
当初は「経済的問題」を解決するための組織であった

BRICSの設立には2008年のリーマンショックが大きく関係している
リーマンショックで日米を含む多くの国々が打撃を受けたが、
実のところBRICS諸国を始めとする国々の被害の方が大きかったかもしれない
(ただし、中国のダメージは比較的少なかった)


ドルを基軸とするG7中心の世界経済体制に疑問が投げかけられたのは当然
である。したがって、2009年にBRICSが設立
(当初4カ国。2011年に南アフリカが加入)された時にも
「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、
いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」3ページ目
「アメリカの世界権力の源泉『金融システム』」で述べたように、
「世界的な金融システムの再編や欧米主導の国際金融機関における発言力の強化」が求められた。

だが、米国がこのBRICSの要望に応えた形跡は無い
むしろ、「ドルの武器化」によって世界の覇権を維持しようとしたのだ。
イランを始めとする国々に対する「経済制裁」も、ドルが国際決済通貨であり
世界経済がドルを基軸に動いているからこそ有効に機能する
ところがその「ドルの武器化」に対して、多くの国々が(ひそかに)
抵抗したため、武器としてのドルの影響力に陰りが出てきている


その結果、ウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁は
2022年6月24日公開「ナポレオン大陸封鎖令の大ブーメランに学ぶ経済制裁で自滅する歴史」で述べたように、むしろ西ヨーロッパ諸国を
疲弊させる結果となった


このブーメランは直接的には「資源」問題である。
しかし、後述するように原油の決済通貨が「ドル」であるという原則が崩れ、
ロシアなどがドル以外の通貨でエネルギーを販売することが
可能になってきているという「通貨問題」でもある
のだ。

つまり、BRICSの当初の(経済的)目的を突き詰めれば
「ドルを使わない国際決済」
である。
実際、IDE JETRO(アジア経済研究所)「(グローバルサウスと世界)第5回 BRICSに中東・アフリカ諸国が加わることの意味――エジプトを事例に考える」の中で「2022年6月、ロシアのプーチン大統領は、BRICS加盟国の通貨バスケットに基づく新たな準備通貨を開発すると発表した。

それに先立つ2014年には、BRICS加盟国によって上海を本部とする
『新開発銀行(NDB)』が設立されている。
NDBは、現地通貨によってインフラ・プロジェクトの資金調達を行うことを
目的に、世界銀行に代わるグローバルサウスのための銀行として設立された。
このNDBには現在、エジプト、バングラデシュ、UAEといった
BRICS以外のメンバーも加盟しており、ウルグアイも加盟を申請中だ」
と述べられているように、「国際決済の『非ドル化』」
に向けた動きが着々と進んでいる

タイに次いでマレーシアも……相次ぐ「BRICS加盟」申請が意味する「ドル覇権の落日」

経済同盟から政治同盟へ

元々は、経済同盟の色彩が強かったBRICSだ。
実際、これらの国々(さらには拡大BRICS)は、宗教、イデオロギー(資本主義、共産主義など)、政治体制(一党独裁、普通選挙を行う民主主義など)
において共通項があまり無い

だから、当初は「ドル」の一極支配に対する「抵抗勢力」としての
「経済同盟」としてうまくまとまった
のだ。

ところが、米国の「ドルの武器化」が激しさを増し、対中貿易戦争も激化
している。その結果、BRICSさらには拡大BRICSの国々が、政治的にも
「米国(G7)と対決するために団結する必要性」を認識することになる。
昨年10月27日公開「中東紛争の本質~白人の南北アメリカ大陸侵略・アジア・アフリカ植民地化との同質性、そして米国は常に『独裁国家』の支援者であった」
2ページ目「欧米のダブルスタンダード」は世界中に知れ渡っている。

まるで自国が正義の味方のように主張するプロパガンダを行いながら、
その実「気にくわない国」に理不尽な口実で因縁をつけ、
攻撃する欧米のやり方は世界に知れ渡っている


日本はG7の一員だからまさか攻撃対象にならないと思われているかもしれない。
しかし、フランクリン・ルーズベルトの日本いじめの延長による「石油禁輸措置」
という「煽り運転」によって、日本が真珠湾攻撃に追い込まれた歴史を忘れるべきではない。
ましてや、G7非加盟の非西欧の国々は、いつ「因縁」をつけられて
攻撃対象になるのかわからないという危機感を常に持っている

タイに次いでマレーシアも……相次ぐ「BRICS加盟」申請が意味する「ドル覇権の落日」

石油というドルの裏付けが無くなる

そして2021年以来のバイデン政権の外交的失敗の最たるものの一つが、
スプートニク・ニュ―ス 6月23日「飼い犬に手をかまれた米国の誤算、
超大国の崩壊始まる=トルコ・メディア」で報じられている、
サウジアラビアとの関係悪化である。

同記事から引用すれば「1973年のオイルショック後に締結されたサウジアラビアと米国間のいわゆるオイルダラー協定は6月9日に終了した。
この合意では、サウジアラビアが輸出石油の価格を米ドルで設定し、余剰収入を
米国債に投資することが定められていた。これと引き換えに、米国は
サウジアラビアに軍事支援と庇護を提供した。この協定によりドルの
世界基軸通貨としての地位が高まり、米国経済に多くの恩恵をもたらしていた

のだ。
この記事の信憑性に対して疑義を呈する意見もあるようだが、米国と
サウジアラビアとの関係悪化そのものはあまりにも明白な事実
である。

2022年10月14日公開「米国は1971年にすでに死んでいた!?インフレで見えた本当の姿」で述べた1971年のニクソンショックによって(金と交換できなくなった)ドルの価値は大幅に下落した
だが、その「本質的価値の減少」を、前記のような原油(資源)の
決済通貨(指標)としての独占的地位でカバーした
のだ。
ニクソンショック以来のドルの価値は、この原油の裏づけによって
維持されてきた
と言っても過言ではない。
もしその梯子が外されれば、2021年3月13日公開「最強通貨・ドル、
じつは間もなく『紙屑』になるかもしれないワケ…!」
との話が現実味を帯びてくる。

このような、大きな世界の「覇権移動」の流れを見据えると、
タイ、マレ―シアが相次いでBRICS加盟申請を行った重要性が見えてくる。

タイに次いでマレーシアも……相次ぐ「BRICS加盟」申請が意味する「ドル覇権の落日」



変わりゆく世界秩序🌍シリーズまとめ(INDEX用)



伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


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