バケットリストのお粥
私はお粥が好きだ。
旅行先のホテルの朝食にお粥があったなら、迷わずお粥を選ぶ。
学生時代、熱が出ると
「熱?迷惑ばかりかけて!!!」と母は怒った。
何をしても怒られるので、当時の自分は家がとても窮屈だった。
母は、兄の体調が優れないと決まってお粥を作った。
37度の微熱でも、お腹が痛い時もお粥を作っていた。
38度の熱でも怒鳴られ、うつすなと言われて自室に篭らされた私と比べると、対応の違いがあからさまだった。
そのため、兄の体調が悪い日、リビングに用意されているお粥がひたすら羨ましかった。
雨が少し降っているという理由で送り迎えをしてもらう兄
松葉杖で雪の中歩いて帰った自分
母は昔からずっとそうで、対応の違いについては諦めていたが、お粥だけはずっと羨ましかったなと思う。
しかし去年流行りの病にかかり、兄のようにお粥を作ってもらうことができた。
人生の悔いが一つ、なくなったように思った。
お粥を見る度に当時の記憶が蘇るが、
そこに苦しさはあまりない。
私はお粥が好きだ。
いつか人に作る日が、来たらいいなと思う。
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