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【感想】入門10年目田辺いちかの挑戦1(講談)

田辺いちかさんのファンになったのはつい最近、立川寸志さんとの二人会で初めて聴いたのがきっかけです。彼女の言葉はスっと頭に入ってくる感じで、初めて聞いた言葉でもすぐに理解できるのが不思議です。
今回は深川江戸資料館にて独演会でした。開口一番はおりびあさん、ゲストは一邑師匠でした。おりびあさん、とても好印象でした。会場アナウンスも担当されていたと思います(多分)。一邑師匠、初めて聴いたのですが、とても魅力的で素敵なお人柄が伺えました。

いちかさんは、最初に古典、トリで前座時代に小説を元にしてご自身で作った新作を読まれました。

「腰元彫り名人昆寛」は、天才職人と、彼を支える妻と、彼の作品を売る仲介人の店の番頭さんの話。その道を極めた人はやっぱりかっこいい。その人を支える周りの人は振り回されて大変だけど、その分、貴重な経験ができるんだなあと。天才職人と妻、振り回される周りの人々の演じ分けは、まさに職人技でした。

「黄泉から」は戦後、全てを無くした人たちが、混乱しつつも、各々のやり方で何とか生きていこうとする話。主人公は一見、冷酷な人に見えるけど、それは時代や環境によって、そうならざるを得なかったのかもしれない。ラストシーンで彼に人の心が少し戻りかけた気がして涙が溢れました。

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