「きみはポラリス」がズブズブだった件について
「はぁ〜、最近本にときめいてないな〜〜」
そんなこと思っていたら、"それ"は突然やってきた。
「きみはポラリス」三浦しをんさんの作品である。これは十一篇の恋愛小説から成っており、これがめちゃくちゃおもしろかった。今まで読んだ恋愛小説の中でも群を抜いている。
その中でも私が好きなのはこの3つ↓
・私たちがしたこと
The 王道の恋愛小説という感じだ。ベタ中のベタ。少女漫画を読んでる感覚になる。彼のことが本当に好きなのか、それとも怖いだけなのか。怯えて束縛されることが、恋愛と呼べるのだろうか。お互い秘密を共有しながらあの日の夜に消えていく…。甘々なデザート、ごっつあんです。
いつも不思議に思うことがある。
どうして恋に落ちたとき、ひとはそれを恋だとちゃんと把握できるのだろう。
・夜にあふれるもの
この小説をひとことで表すなら「同性愛×宗教」だなと思った。実際、作者自身もこのお題を「信仰」としているほどだ。もうね、初手からどう見ても彼氏が好きじゃないのがバレバレ。真理子のイエスに対する信仰心は異常で、真理子の夫も心配するくらいなんだけど、
あなたはの戸惑いは、妻の目が他の男へ向いているとわかった男の動揺と、なんら変わるところのないものなんだから
とか言っちゃって。エルザは真理子の夫にも嫉妬してるし、イエスにも嫉妬してる気がして、一生の叶わぬ恋よなこりゃ。最後も最後でバットエンドかハッピーエンドかよくわからんし。恋と信仰心は相手を猛烈に思うという点に関してとても似ているなと思った。
・ペーパークラフト
正直この感想書きたくてこれ書いてるのが強い。これ、やばい。まじで昼ドラのズブズブ。私が初めて昼ドラの存在を知ったのは小2の冬でインフルエンザにかかったとき。学校一週間も行かずにずっと暇だったからテレビ生活してたのね。笑っていいとも!とライオンのごきげんようを見終わって、昼の2時頃ってジャパネットたかたさんかミヤネ屋しかしてないの。そんで消去法で昼ドラ見てたんだけど、あのズブズブと同じズブズブを感じる。「え!?ちょ、おまえ誘ってんのか!?!?!?」
「どうなの!?」「いや正体不明すぎん!?!?」
突然現れた男がもう揺さぶる揺さぶる。ミステリアスでイケメンという女の大好きが詰まった、不倫相手に最高な男の本当の目的とは…!?
最後がエグい越えてグロいから必読です!!
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始めと終わりが同じ物語だから締りが良くて、最後は「全て含めてきみはポラリスなんだな」と思えるし、解説も中村うさぎさんが書いてて超豪華。ポラリスの意味知らんかったけど、この解説読んで納得だわ。というか中村うさぎの女という病、読んでる途中でニュージーランド来ちゃったから帰ったら読まないとな…。
普段本読まないよとか、恋愛小説はちょっととか思ってる人に読んでほしい。恋とか愛って何だろう?
兄妹や血のつながり、性別を越えた恋愛も選択肢としてあるよと言ってくれてる奥が深い。恋愛してるみんな、とりあえずこれ読もう。
そして、ズブズブにハマろう。