[パロディ美術館]オダテうさぎ
近代に誕生したものは幾つもありますが、その最たるものと云えば大資産家と芸術家でしょう。両者の間には密接な関係があり、資産家が陰で支えたことで近代芸術が大きく花開いたのです。
なかでも熱心に支援したのは「駄洒落男爵」の異名をとった元貴族資産家でした。彼の趣味はお世辞にも上品なものではありませんでしたが、しかし、まだ無名の画家たちの素質を見抜く目は確かで、彼のおかげで大成できた芸術家は枚挙にいとまがありません。
「駄洒落男爵」はお金がしばしば人を堕落させるということをよく知っていたので、むやみに援助するようなことはしませんでした。常にテーマを与え、そのテーマに即して描かれた作品を高く買い上げてやったのです。
今回、展示させていただくのは、そんなふうにして出来上がった壮大なコレクションの一つ。テーマは「おだてられたウサギが木に登る図」。
男爵の意向で作者名は伏せられていますが、もしオークションに出せば、いずれも数億以上の値がつくこと間違い無しの一流作家ばかりです。ですので通の方なら、作者を推理する楽しみもあるかと思います。
近代の一流芸術家たちの密かな競作、どうか存分にお楽しみ下さいませ。
「AI絵コント」として、「ウサギもおだてれば木に登る」を作りかけたのですが、著名画家のスタイルをシミュレートすると、ご覧の通り。どれも捨て難くなりまして、このような形で展示させていたという次第。
細部を点検すると、おかしなところはありますし、贋作にならないようにわざと目印をつけているという話もあるんですが、美術ファンで、ひいきの画家がいれば、幻の新作を夢見ることができます。
わたし近代画家が好きなんですよね。学生の頃、古本屋で一冊一冊画集を買い集めて浸ってました。美術館の展覧会も平日だとガラガラでしたしね。そうそう、古書を買い集める前は、美術館の図書室で観てたんだ。人生の中でそれは幸せな時間でした。
それはともかく、あらためて感じたのは、器用な絵描きさんの手にかかれば、贋作は十分可能だったということですね。複製は出来ても、知られていない作品が発見された! というのは無理だろうと思ってましたが(やった人はいないではありません。そんな事件もありました)、AIは一瞬で描き上げるだけで、時間をかければ人間も出来る。出来た。
まあ、絵の具の成分を調べるとか、大がかりな調査をやれば発覚しますが、それも問題にならないとやらないわけで、片っ端からやれば、とんでもないことになるかもしれません。
と、ネガティブなことを云いましたが、それに比べれば、高額のお金の絡まないところで、このようなことを愉しんでもバチは当たらないでしょう。 それも人それぞれ、趣味の問題ですが。
おもしろがっていただければ、うれしいです。ありがとうございました。