予防的破壊?[幻聴ラヂヲ]
今日も聞こえてきた、どこかの星の怪電波
ただし、今回は先に予習(復習)を少々
さて、ここから先が どこかの星のお話
◇ ◇ ◇
「ねえ、何を読んでるの?」
「流動的定常原理」
「何その難しいタイトル、そんなのアナタに理解できるの?」
「へへ、『子どもでもわかる』シリーズなんだ。『流動的定常原理』の超簡単解説~」
「そんなことだろうと思ったわ。で、どんなことが書いてあるの?」
「どんなに頑丈な建物でも歳月と共に少しずつ劣化し、いずれは壊れて無くなる。しかし、あらかじめ少しずつ取り壊して 少しずつ新しく建て直すようにすれば、半永久的に維持できる」
「ああ、木の神殿のやり方ね」
「実は生物の身体もそうなんだって」
「へぇー、予防的に壊して作り替えているのか…」
「するどいね! さすが占い師さんだ」
「別に、占ってませんけど」
「『予防的破壊』って、実はめちゃくちゃキーワードなんだよ」
「そうなの? アナタがいったんじゃない。自然に壊れる前に、自分で壊すんだって」
「それは事実だ。しかし『予防』というのは思想なんだよ」
「難しいことを云うね」
「昔、ククチンで大惨事が起こったことは知ってるよね?」
「ええ、親世代の話ね。世界の人口が半分になったとか。自然のパパデミックより、ククチンの被害の方が凄まじかったという大事件でしょ?」
「その背景には『予防サイコー』の思想があったからなんだよ。それまでの医療は病気に対応するものだったんだけど、ビジネスの『リスク管理』の発想が医療にも持ち込まれたんだ。つまり、病気にならないようにすることが医療に求められるようになった」
「確かに、病気にはなりたくないけど、それを云うなら、病気の原因になるライフスタイルや環境に目を向けるべきでしょ? それって社会全体で取り組むことよね?」
「その通り! それを『病気』というモノがあるように錯覚させて、医療がそれを退治できるかのようなイメージをふりまいたわけだ。『感染仮説』とククチンがその典型だ」
「『感染仮説』はかなり根強かったみたいね……」
「でも一般人はいざ知らず、ククチンの開発者が知らなかったはずがない。それがどんなシロモノかは実験でわかってたはずだ。それなのに、爆発的に売れるとわかってたから、理想のククチンが実現しました! と、やった」
「それがその『流動的定常原理』と、どんな関係があるの?」
「その研究者のスポンサーが、なんと医療にビジネスを持ち込んだ巨大資本だったんだ!」
「また印某ロムなんだ…… で、そのココロは?」
「キミが口にした『予防的破壊』だ。この世界を維持するためには、予防的な破壊が必要だと。彼らはそう考えた。というか、破壊を正当化する科学的理論を手にした!」
「まさか……」
「だって、戦争も疫病もほとんどなくなりかけてたんだぜ。それが何故か頻発するようになった。おかしいじゃないか!」
「わざとやってるって云いたいの? それこそ典型的な印某ロムじゃん」
「いや、ちっぽけな工作なんかじゃなくて、大義があったんだよ。この世界を維持するためには、コントロールされた予防的な破壊が必要だってね」
彼らは計画的に破壊してる
「あのねえ、この世界が守られてるのは、みんなで頑張ってエコディーズやってるからでしょ。変なこといわないでよ」
「それだけじゃ足りないんだ。それでいいなら、生物はスクラップ&ビルドなんてやってない!」
「…………」
「ただし、一定の破壊が必要だとしてもだ。それを得体のしれない誰かが勝手にやってるというのは別の話で…… なんだよ、その不審者を見るような目つきは…。バカが科学をかじれば『鬼に金棒』って云いたいんだな」
「違う。ナントカニハモノ……」
見出し画像は shinsukesugie さんの作品です。
ありがとうございました。