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文学本紹介(日本)

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日本の詩や小説などを紹介しています。
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記事一覧

題:倉橋由美子著 「反悲劇」を読んで 

倉橋由美子とは懐かしい。ずっと以前、「スミヤキストQの冒険」という小説を読んだことがある…

歩く魚
4週間前
11

題:三島由紀夫著 「花ざかりの森」等の作品を読んで

「花ざかりの森」は三島由紀夫が16歳の時に書いた短編である。記憶をたどっているのか、海を…

歩く魚
2か月前
21

題:紫式部著 「紫式部日記」を読んで

テレビで紫式部のドラマを行うというので、見るか見まいか迷っている。映像で紫式部を見ると、…

歩く魚
1年前
16

ハインリヒ・v・クライスト著 山下純照訳「こわれがめ」と種村季弘訳「チリの地震」…

「ドゥルーズ 千の文学」で大宮勘一郎は「クライスト 群の民主制」と題し、ハインリヒ・v・…

歩く魚
1年前
8

葛西善蔵著 「子をつれて 他八編」を読んで

時々、近代日本の文学論を読むと葛西善三など、ほんの少し名前だけ知っている作者と作品名が登…

歩く魚
1年前
16

川端康成著 教科書で読む名作「伊豆の踊子・禽獣ほか」を読んで

川端康成に対する私の評価はそれほど高くはない。文章も作品の内容も粗さが目立つ。小説家とし…

歩く魚
1年前
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井原西鶴著 杉田穆 校注「好色一代女」を読んで

「好色一代女」は「好色一代男」と趣向が異なる。そもそも「好色一代男」とは好色を好みその道をまっしぐらに進む男の話である。行く付き先は「女護の島」なる宇宙である。限りなく好色を尽くすことができる理想の地にたどり着かんとする。楽観的な希望に溢れる結末が待ち構えている。それに比較して「好色一代女」は、性に目覚めた女が身を売る女郎へと転落する話である。この女郎も位は天と地の差がある。一夜の代金も雲泥の差がある。それに、素人女の色恋沙汰が混じり合わせている。いわば、希望に代わって、悲哀

井原西鶴著 松田修 校注「好色一代男」を読んで

「好色一代男」は「好色一代女」と共に一度は読んでみたかった本である。「好色五人女」は以前…

歩く魚
1年前
8

川端康成著「みずうみ」を読んで

小説と言う名を借りた取り留めのない作り話と言って良い。小説とはそういうものだと言われれば…

歩く魚
1年前
11

川端康成著「雪国」を読んで

「雪国」は既に読んでいるはずである。でも、どうしても思い出せない。そこで何十年かぶりに再…

歩く魚
2年前
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題:坪内逍遥著 「当世書生気質」を読んで

この頃は読書に身が入らない。前回の「金色夜叉」はそれなりに読んだが、今回の「当世書生気質…

歩く魚
2年前
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題:尾崎紅葉著 「金色夜叉」を読んで 

ああ、これが「金色夜叉」なる小説なのかと思う、古い型の小説と言うより、増築建築した建物の…

歩く魚
2年前
8

題:郡司正勝校注「新潮日本古典集成 東海道四谷怪談」を読んで 

お岩さんを醜くお化けの人相にして殺した民谷伊右衛門の極悪人ぶりを一度読んでみたかった。こ…

歩く魚
2年前
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題:幸田露伴著 篠田一士編「露伴小説 第二冊」を読んで 

本冊には長短編七つの作品が納められている。「風流仏」、「對髑髏」、「一口剣」、「五重塔」、「艶魔傳」、「ひげ男」、「二日物語」である。時間がなくて読んだのは、処女作「風流仏」と有名な「五重の塔」の二偏だけである。でも、露伴がどういう作風であるかは、良く分かった。明治における文語体である。結構、詩情も含まれていて読みやすい。と言ってもきちんと読むには現代文と異なっていて、相当に骨が折れる。注釈もないため分からない点が多々ある。分からない点は読み飛ばす、もしくは斜め読みする。樋口