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太りやすい人、痩せやすい人がいる理由"腸内細菌の秘密"
皆さんは、"痩せ菌・デブ菌"という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ひと昔前までは、腸内細菌が肥満などに関係するとは考えられていませんでした。しかし、現在は、肥満などに腸内細菌が大きく関係していることが多くの研究で分かっています。
今回はまず、なぜ"痩せ菌・デブ菌"が見つかったのか?という話からお伝えしていこうかと思います。
世界で初めての"抗生物質"
というのは、1929年にUKの細菌学者フレミングが、ブドウ球菌を培養していたところ偶然発見されたと言われているペニシリンが有名です。
1957年には日本の梅沢博士により、カナマイシンという抗生物質が発見され、世界的にも広く使用されました。
抗生物質は、ウイルスに対して効果はありませんが、"細菌による感染症"を治療するには効果的なものです。
抗生物質と下痢・便秘
抗生物質がでてきた頃から、まれに抗生物質を飲むと、お腹の調子が悪くなって、下痢だったり便秘が止まらないという人がでてきました。
そのような人の腸内を調べると、"クロストリジウム・ディフィシル"という強力な悪玉菌がたくさん見つかったのです。
クロストリジウム・ディフィシル
という腸内細菌は、抗生物質に非常に強いです。
それだけなら良いのですが、問題は細菌感染症の治療で抗生物質を飲み、標的以外の腸内細菌が抗生物質によってやっつけられてしまい、抗生物質に強いクロストリジウム・ディフィシルが残ると、これに腸内が支配され、他の細菌がいなくなってしまい、さらに、ひどい下痢や便秘を起こさせるのです。
それがクロストリジウム・ディフィシルが強力な悪玉菌と言われている理由です。
上記によって、ひどい下痢に悩まされている人を、クロストリジウム・ディフィシル・インフェクション(クロストリジウム・ディフィシル感染症:CDI)と言います。
CDIの危険性
少し前のアメリカの統計を見ると、なんと、年に50万人近くの人がCDIになっており、亡くなる人も3万人弱(約6%)と、CDIはかなり危険な病気であることが分かります。
当然、なんとか治したいという人は多いのですが、一度ある細菌に腸内が支配されると、それを戻すことは結構大変で、いろんな薬を飲んでも簡単には治らないという状況になりました。
ある夫婦とCDIのお話
ある夫婦の奥様が、ひどくCDIに悩まされていました。彼女は普通の生活もままならず、オムツをしたままでの生活を余儀なくされ、途方に暮れていました。
そのような奥様に対して、旦那様はあることを思いつきました。「これは、腸内細菌叢に問題があるんじゃないか?」
こう考えついた旦那様は、とても健康な腸の持ち主だったので、自分の健康な便を水で溶いて、それを浣腸してみたらどうだろう?と思いつき、実際にやってみたところ、奥様の下痢が治まってきたのです。
「これは効くぞ!」ということで、それをお医者さんに話したところ、「まあそういうこともあり得る」となって、大々的に試してみることになり、現在ではアメリカ、オランダに全国規模の糞便バンクが設立されるほどの治療方法となりました。
日本でのCDI治療
国内でのCDI治療は、内視鏡でドナーの便を腸まで届けるという方法が一般的です。
おそらく、内視鏡を使わなくても、カプセルに入れて口から飲めば効果があると思われます。
ただし、直接便を食べても効果はないでしょう。なぜなら、胃の中は強い酸性で、強力な殺菌作用があるので、腸に届く前に菌がやっつけられてしまうからです。
痩せやすい人、太りやすい人
CDIの治療を受けているうちに、なぜか太りやすくなる人、痩せやすくなる人がでてくるということが起こりました。
そこで、「痩せやすい太りやすいという体質は、どうやら腸内細菌に支配されているんじゃないか?」という話になってきて、研究をしてみた結果、お腹の中には痩せ菌とデブ菌があるということが分かってきました。
現在では、"痩せやすい太りやすい"という体質は、腸内細菌に支配されているということが正しいということになっています。
3タイプの腸内細菌
お腹の中の細菌は、1000種類100兆個と言われていますが、大きく分けると3つのタイプに分けられます。
・善玉菌
・悪玉菌
・日和見菌(ひよりみきん)
上記の中で最も数が多いのは日和見菌で、次に善玉菌、悪玉菌と少なくなっていきます。善玉菌よりも悪玉菌が多くなると、お腹の調子がかなり悪くなるようです。
前述した抗生物質によるCDIのクロストリジウム・ディフィシルは最悪の悪玉菌と言えます。
痩せる太るというのに影響を及ぼす菌は、日和見菌の一種のバクテロイデスとフィルミクテスという細菌です。
痩せ菌"バクテロイデス"とデブ菌"フィルミクテス"
主に痩せ菌と言われているのがバクテロイデス、デブ菌と言われているのがフィルミクテスという細菌です。
おそらく、痩せている人はお腹の中にバクテロイデスが、逆に肥満の人はお腹の中にフィルミクテスが多く居着いているような状態ということでしょう。
痩せやすい太りやすいというのは、腸内細菌の状態に支配されていることが分かったので、それを単純に食事の量やカロリーだけでは判断できないということになります。
痩せ菌とデブ菌の違い
痩せ菌のバクテロイデスは、デブ菌のフィルミクテスと比べると、消化能力がそれほど強くなく、さらに脂肪を燃焼するという能力を持っています。
逆にデブ菌のフィルミクテスは、食事量が少なくても消化吸収の能力がとても良く、実質的にはたくさん食べたのと同じようになって太るということになるのです。
現在、ダイエットや体質、ボディイメージで悩みを抱えている人は、この話を参考にしてみると良いかもしれません。
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![鈴木一弘](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/112506308/profile_9992ca7a55d3c28f359436e6393b9b78.png?width=600&crop=1:1,smart)