ガスライティングを見分ける方法とNetflix「メイドの手帖」
Netflixシリーズ「メイドの手帖」は、ガスライティングのパターンを巧みに概説していますので、ガスライティングの例としてご覧になることをおすすめします。
この物語の原作は、
ノンフィクション作家ステファニー・ランドの作品です。
アルコール中毒、ガスライター、DVを持つ夫から幼い娘を連れて家から逃げ出し、新たな人生を歩んでいく主人公を描いています。
主人公にはお金がなく、サポートもほとんどありませんし、いたるところにガスライターやパーソナリティ障害、中毒者などが登場します。
ガスライティングは、
ガスライターが対象者をコントロールするために、認知的戦術などを使って自己疑念と混乱を蒔こうとする心理的、感情的虐待のひとつです。
ガスライティングや感情的な虐待は実際、言葉や非言語的なアプローチが大半なので、その実態が明るみになることがほとんどありません。
また、ガスライターのおこなう大きなジェスチャーや感傷的な愛の表現のように見えるものは、相手をコントロールするという真の意図が存在します。
多くのガスライティングの犠牲者は、ガスライターが最終的に良い人だということを証明するために、彼らの良い部分や懐かしい瞬間を強く記憶しているはずです。
しかし問題は、それがガスライターの感情のコントロールテクニックであるということです。
イェールEIセンター Dr.ロビン・スターン
ガスライティングは、人のメンタルヘルスに壊滅的な影響を及ぼす可能性があり、そのプロセスは緩やかに対象者の自信を削っていきます。
ガスライターはバックヤードで対象者の環境をコントロールすることもあります。
多くの場合、対象者のコントロールに関連する行動を隠しているため、ガスライティングされていることに気づくのに長い時間がかかるのです。
イェールEI(Emotional Intelligence)センターのDr.ロビン・スターンは、ガスライティングについて次ように解説しています。
一般的に殴られたり脅されるような虐待をされた場合、被害者は明白な指摘ができます。
しかし、ガスライティングによってコントロールをされている場合、被害者は自分が虐待を受けたことを推測するために、自分自身に注意を向ける必要があるのです。
ガスライティングは社会的な力関係とも関連しており、例えば、社会的に力の上位の者が下位の者に対して「頭がおかしい」「感情的すぎる」と言い張り、強引なラベリングをして相手をコントロールする可能性があります。
今回ご紹介した「メイドの手帖」にも、上記のような描写が登場します。
心理学者マシュー・ザワズクスキーは、
「ガスライティングは、反対する立場の弱い相手を根本的に弱体化させ、相手が意見の相違を述べる立場を与えない」と述べています。
ガスライティングに使用される一般的な用語
「あなたはとても敏感だ!」
「冗談だよ!」
「それはでっち上げだ!」
「大したことないでしょ?」
「勝手にストーリーをつくってる」
「過剰反応しすぎだね」
上記のフレーズは、どれも気をつけるべきですが、その中でも「冗談だよ」「冗談冗談!」というようなフレーズの前に、あなたをドキッとさせる言葉を伝えていたなら要注意です。
また、「大したことないでしょ?」というフレーズは、対象者の持っている心理的な境界、バリア、高いハードルを崩し、誘導するフレーズとなります。
例えば、ガスライターが対象者に「Aくんのプレゼントなんて○○だよ、大したことないでしょ」と伝えると、対象者はそのガスライターに対して「A君以上のプレゼントをあげなくちゃ…」と思います。
また、上司のガスライターが対象者に「君の営業成績なんて大したことないよ」と言えば、対象者は「もっと営業成績を上げなくては」となるわけです。
上記に挙げたフレーズは、ガスライティングやガスライターに都合の良いものばかりですが、それはガスライティングのほんの一部です。
皆さんもこの記事を参考にして、ガスライティングの被害を避け、ガスライターにならないよう十分注意しましょう。