脳の鍛えかたを理解する【賢い脳のつくりかた】
「しっかりと勉強をするためには、たくさん復習をして、何回も同じことを繰り返し続けないといけません」というのは間違えであるということが、近年の研究で分かりました。
集中学習
同じ勉強を何度も繰り返したり、復習を続ける学習方法を集中学習といいます。
じつはこの"繰り返し続けておぼえる"ことは、脳にとってはあまり意味がないようで、何度もお経を唱えるように復習をするよりも、ある程度時間をおいてから復習をするほうが、脳にとって都合が良いのです。
もちろん、短期記憶と長期記憶というものは存在します。復習は、勉強を短期記憶から長期記憶に移行する作業とも言えるでしょう。
記憶の容量
みなさんは、自分自身の記憶の容量を何かに例えると、どのくらいの大きさになると思いますか?
紙コップくらいでしょうか?それとも大きなバケツでしょうか?
おそらく、どの答えも本来の大きさとは違っています。
実際の人間の記憶容量は無限大と言われていて、スマホの容量のように写真やアプリを保存し過ぎたからといって、容量オーバーになってしまうことはないのです。
ただし長期記憶の容量については、"知識量に比例している"とされています。
知識量を増やそう
知識量というのは、いろいろな種類の物事をたくさん知っているということです。記憶のコップの大きさは、新しいことをおぼえるほど大きくなっていきます。
人間の脳はスマホと反対で、いろいろな写真や動画、アプリを入れれば入れるほど容量が増えていきます。このようにイメージをすると分かりやすいと思います。
おぼえることと忘れること
「でも、1回だけ見たり聞いただけでは、なかなかおぼえられないのでは?」と疑問を感じる人もいるかもしれません。
では、"忘れる"とは何でしょうか?
おぼえたことが頭のなかからポーンと、どこかに飛んでいってしまうことでしょうか?
人間の脳はとても優秀なので、おぼえたことはポーンと飛び出したりしません。"忘れるとは、思い出せなくなった"ということです。記憶を思い出すためには、必ずヒントが必要になります。
冒頭に、"繰り返し続けておぼえるという集中学習は間違えである"とお伝えした理由は、この集中学習は、短期記憶を何回も繰り返しているからです。
短期記憶から長期記憶に移行するには、多少なりとも時間が必要です。
集中学習を例えるなら、スマホでアプリをインストールしている最中に、いくつも同じアプリをインストールし続けるようなものです。
これではただ重くなるだけで、なかなかアプリのインストールが終わりません。
しっかりとおぼえるには
・長期記憶化するには時間が必要
・忘れそうになる(思い出せなくなる)手前で復習する
・おぼえたい物事には、必ずヒントをセットする
・おぼえると意識するよりも"思い出す"ことを意識する
何かを新しくおぼえるということは、簡単なことではないかもしれません。
しかし、つらかったり難しかったりすればするほど、脳はより強くなっていきます。それは筋肉にたくさん負荷をかけて、筋力を高める筋トレに似ています。
あえて忘れたころに復習をすることで、それまでにおぼえた新しい知識と記憶が結びついて、さらに新しい何かを発見することもあります。その時、もちろん記憶力なども向上するのです。