身近にある危険「ガスライティング」の影響と実例を知る
ガスライティングとは、特定の方法で人を操るために、「意図的に真実を歪める」等の行為を意味する言葉です。
ガスライティングの影響
ガスライティングはどのような人間関係でも発生する可能性がありますが、親友、恋人、家族のような親密な関係では特に害を与えます。
ガスライターと頻繁に密接な接触をすることは、非常に深刻で永続的な悪影響をもたらし、回復のためには広範な認知の分野で多くの時間を要する状況となります。
ガスライティングの特定の種類の悪影響は、他の感情的な虐待と似ており、それには以下が含まれます。
自己信頼の欠如
ガスライティングの犠牲者は、自己信頼や自分で考えることさえも難しい状況となります。
思考や行動の間違いや、注意が散漫になることを恐れて、過去の決定やエピソードを常に再評価し続け、強く執着する場合もあります。
自己信頼の欠如や思考不能は、人間関係、判断力、仕事など、生活のあらゆる分野に現れる可能性があります。
受け身の姿勢
ガスライティングの犠牲者は、多くの場合、受動的なコミュニケーションスタイルを望みます。
それは、自分の感情、欲求、ニーズに対して、他者との対立や議論を極端に避けるような行動性向として表れるのです。
自信喪失
自分に自信を持っている人でも、ガスライティングの影響によって、不十分、悪い、弱い、欠陥がある、という感覚に襲われてしまいます。
この状態は多くの場合、対象者がガスライターに「自信を扱う方法を学ぶ」ことによって引き起こされます。さらに、自尊心も急落する可能性があるのです。
アイデンティティの喪失
ガスライティングは、人それぞれの思考、感情、判断などを損なうように設計されているため、被害者はアイデンティティの喪失や、それに因んだ危機を訴えることがあります。
人はアイデンティティが喪失すると、自分が誰であるか、どう感じているか、何を望んでいるのかがまったく分からなくなります。
また、他者の要求に合わせて、服装や行動などを変えてしまうこともあります。
自己非難
ガスライターは非難と投影を使用します。
非難は欠点や間違えを責めるという行動で、投影とは、簡単に言うと「自分の感情を相手にうつす」行為を言います。
ガスライターの使用する非難と投影は、被害者に強烈な悪影響を与えるため、自分自身を非難し、恥をかかせる習慣が身に付いてしまうことがあります。
さらに罪悪感も感じ、他者の過ちの責任を取ろうとしたり、悪いことをしていないのに謝罪をするようになることもあるのです。
判断基準
ガスライティングは、人の心理的な境界線を操作し、何を受け入れるべきかの判断基準を決定します。
ガスライティングの被害者は、誰でも受け入れられるようなことに対して「ノー」と言ったり、他者が同意しないようなことに「イエス」と言うことがよくあります。
これらの判断基準は、もともとどこかの世界や業界に存在しており、被害者が広い世界観で物事を見た時に初めて、そのことに気付くものなのです。
心理的苦痛
ガスライティングの犠牲者になった人々は、高レベルのストレス、不安、うつ症状に苦しむことがあります。
これらの感情は、内に秘めて抑圧しようとしても、時間とともに蓄積してしまいます。
不健康な対処
被害者は、激しい感情的な痛みと苦痛のために、薬物やアルコールを使用したり、自傷行為などの不健康な対処方法に頼る可能性があります。
ガスライティングの例
ガスライティングの具体例を知ることで、ガスライターが何者であるか、被害の状況を自身の状況と照らし合わせることによって、ガスライティングを特定するのに役立つはずです。
以下は、ガスライティングの人間関係における様々な方法を示す例となります。
親友Aのガスライティング
ガスライターAは、親友が自分ではない相手と「一緒に休暇を過ごしたい」と聞いた途端、「あなたは利己的だ」などと非難をします。
Aはさらに、「他の共通の友人も陰で似たようなことを言っていた」という嘘をでっち上げたり、他の嘘の例を告げたりするかもしれません。
このようなパターンは、有害なガスライターの古典的な行動例です。
Aは常に、親友がAを最優先し、すべてを共に行い、すべてを話し、すべての問題に同行するよう仕向けます。
また、Aは他者の提案や決定を自分の手柄にしたり、「自分のアドバイスを受けなかったために悪いことが起きた」というように、事実を歪めてくることもあるのです。
虐待的な母親Bのガスライティング
虐待的なガスライターの母親Bは、本当は意地悪で怠慢であるにもかかわらず、外出先や公共の場では、愛情と思いやりのある人間として自分の姿を描きます。
Bは、家の中では子供を怒鳴ったり、大声をあげ叫んだり、殴ったりします。
その後、Bは何事も無かったかのように行動し、子供の打撲について本人に嘘のストーリーを刷り込みます。
Bは、子供が覚えていることは「あなたの妄想に過ぎない」と伝え、他者にこのことを言うと「あなたは狂っていると疑われ逮捕される」などと警告をします。
性犯罪者Cのガスライティング
ある日の夜、性犯罪者であるガスライターCは、泥酔中の彼女の共通の友人に、「彼女は泥酔をしているから、俺の家で少し休ませてから送って帰る」と伝えます。
そしてCは、彼女に性的暴行をしました。
その後Cは友人全員に、「彼女は自分から俺に身を預けてきて、性的な行為をしたいと言ってきた。俺は何度も拒んだんだが襲われて、、」と伝えます。
彼女は性的暴行について、Cと決着を付けるために電話をすると、Cは上記の嘘のストーリーを彼女に語り、「むしろ謝罪をするのは君のほうだ。そうしないと俺は君と友人を続けられない。非常に不愉快だ。」などと述べます。
さらに、Cと彼女の共通の友人も、「みんな俺と同じように思っている」などと述べることもあるでしょう。
姉Dのガスライティング
Dは妹に強く嫉妬をしています。
妹はいつもDよりも人気があり、好かれているように感じているからです。
Dは妹の自信と自尊心を損なおうとし、「あなたはとても性格が悪い、周りの人もあなたのことが大嫌い、私もあなたのことを好きなふりをしているだけ」と妹を説得します。
Dは自分が本当に信頼できる唯一の人であることを妹に納得させ、友人から距離を置くように励まします。
一方、Dは妹の友人のところに行き、「妹のことを本当に心配している」と伝えます。
さらにDは妹の友人に、「妹は家で奇妙な行動をするし、友人の悪口を言っている」などと伝えることもあります。
これは、ナルシストの身内や兄弟によく見られる認知的な戦術です。
Dは上記のような方法で、妹の自尊心、評判、人間関係を破壊するのです。
次回は、「ガスライティングの対応方法」をお伝えします。
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