突然ショートショート「生き写しバトル」/毎週ショートショートnote
今まで入ったことの無い雑木林の中。私は急に落ちるような何かを感じたあと、気を失ってしまった。
何をしていたのだろう。さっきまでここに迷いこんだ飼い猫を追っていたはずなのに。
今、私の目の前には黒いもやがかかっていて、何も見えない。
何が起こっているのかわからずに呆然としていると、もやの向こうから何かが出てくるのが見えた。
人のような何か。体格は私と良く似ている。
しかしそれだけではなかった。現れたのは、なんと私のドッペルゲンガー、生き写しだったのである。
驚いた。格好から顔つきもみんな同じである。
「今から2人には戦ってもらおう。あの世界の君と、その世界の君とで、だ」
その言葉が終わると、向こうの私は飛び蹴りをかけてきた。
「わっ!」私は慌ててよけようとしたが、うまく行かなかった。
目覚めると、そこは最初の雑木林だった。
ただ一つ違うことがあった。それは、飛び蹴りが得意になっていたことだった。
飛び蹴りができる私なんて、全く想像がつかない。
(了)(414文字)