【TOLOPANの真髄に迫る vol.6】次の日まで美味しいにこだわったパンオショコラ
グランドメニューのこだわりをお伝えする
連載企画の第 6 弾。
今回は、パンオショコラ。
一口目から軽快な音を奏でる、
ザックザクでバリバリの生地。
中からはビターな甘さがあるチョコが
たっぷりと顔をだしてチョコ好きもにんまり。
嬉しいのは、次の日でも
当日と変わらぬ美味しさを楽しめるところ。
「改良を加えながらも、
12 年以上変わらない姿のパンオショコラ。
これを見て今でも思い出すのは、
オープンしたての怒涛のような毎日。
それも、本当に良い思い出ばかりです。」
そのように話すのは、TOLOPANのシェフ。
パンオショコラのルーツは、
TOLOPANオープンの3年前の2006年。
シェフのデュヌ・ラルテでの修行時代。
パンオショコラは朝から夕方までのパン。
客層も幅広いことから、何回も焼きたい。
そんな想いからパンの組み立てを行いました。
「これは芯まで火が入らないから発酵がいるな」
「こうしたら、少しの発酵でいけそうだな」
「いや、こうしたら無発酵でも」
と、案と仮説をひたすら立てる。
脳がつながれば、すぐに行動に移す。
そして、自分の目で見る。
仮説を立てる作業は、
カフェででてくるおしぼりを
色紙的に折ったり巻いたりして考える。
仮説の実証がうまくいけば、次は生地の微調整。
いろいろな方法を試して検証に移す。
「冷凍のまま窯に入れる」
「半冷凍で窯に入れる」
「解凍後窯に入れる」
「数 mm 反応させてから窯に入れる」
「しっかりと発酵をとってみる」
結果、数 mm 反応させて窯入れしたものが
仕上がりが良くてお気に入りに。
しかし、そこには問題があったのです。
それは「劣化」。
通常のパンオショコラよりも劣化は遅く、
8 時間までは美味しく食べられました。
でも、そのあとはどうしても劣化してしまう。
バリバリの美味しさは感じられない。
デニッシュだからといって
次の日にはもう美味しくない、のは違う。
そう思ってこの案は却下に。
最終的に決定したのは、
「半冷凍のままコンベクションオーブンで焼く」
この時に自分の思ったようなテクスチャーを
次の日まで満足して楽しむことができました。
さて、次の調整は火入れ。
バターの水分蒸発で一番持ち上がりの良い、
温度、火通し、全体的な色合い。
絶妙なコントラストとノワゼット臭を
生み出すための温度と時間。
芯に通すための、
温度上昇の時の天板の熱量とコントラスト。
これらを微調整するために、
8 割からの温度低下を何度も繰り返す。
コンベクションでの熱伝達の1対流 2輻射3伝導を理解する。
そして、チョコレートの調整。
バトンとコインの 2 種類を使用したのは、
チョコレート好きのためのパンにするため。
バトンは溶けづらい性質。
コインは溶けやすい性質。
それをうまく利用し、
熱いうちに食べた時、冷めてから食べた時で
チョコの食感も味も変わるようにして。
好みに広がりの可能性の余白を残してあげる。
そんなパンオショコラをTOLOPANでは
バーガー袋にいれてお渡ししています。
バーガー袋とパンオショコラの風貌の
マッチングはまさにベスト。
ぜひ、見た目のかわいらしさを楽しみながら
パンオショコラのこだわりの食感を
当日も、翌日も、ご堪能ください。
そして最後にシェフから。
「僕の勝手なパン作りに、そっとより沿い、気遣いをあらゆる方向からサポートし てくれていた、修行先であるデュヌ・ラルテ、TOLOPANオーナーの上野将人には、後になればなる程感謝しています。素晴らしい環境を提供していただき、本当にありがとうございました。」