読書の記録 『How to Read a Tree』 自然科学
英語の本の価格を何年もチェックしてると、セールになりやすいのは小説が多いなと感じます。ノンフィクションってあまり安くならないんですよ。エッセイも含めて。なんでかな。単に母数が少ないせいかな?
それでもセールになる本はあるので、面白そうだと思ったらチェックしてます。今回の本もセール価格になってたから存在に気づきました。
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著者:Tristan Gooley
タイトル:How to Read a Tree: Clues and Patterns from Bark to Leaves
長さ:334ページ
初版:2023年
購入価格:176円
読了日:2025年1月16日
ジャンル:Nonfiction / Nature / Science / Environment / Biology
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著者はイギリスの人なので、イギリスや、それに近い地域の話が多め。タイトルのとおり、樹木についての本。Goodreadsでは「よくハイキングに行くので、この本で得た知識を早く確かめたいと思いながら読んだ」てな感想を見かけました。
私自身は木の名前とか花の名前とか全然わからん人です。昔、中国の大学のキャンパス内で、一緒にいた現地の学生に「この木は何?」と簡単な中国語で尋ねたら「梧桐(wútóng)」と即答されて、木の名前がわかるなんてすごい!と思ったものです。わからんくせになぜ聞いた。
(発音を覚えて辞書を引いたら、アオギリという意味だった。その学生の発音だとwǔtóngに聞こえたのを今でも覚えている)
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この本の冒頭ではjuniperが出てきてさ。どうせ名前なんてわからんけど最初くらい調べるかと思って調べたら、日本語では「ビャクシン、ネズ」でした。私が好きなグリム童話『びゃくしんの話』の別名は『ネズの木の話』なんだけど、英語だと同じ単語なのか! ドイツ語も同じなのかも。
その後は木の名前を確認せずに読んでました。正直、日本語での名前を調べるよりも画像検索するほうが、イメージをつかみやすくて効果的だった。著者も「木の名前は複数あって、どの名前が正しいのかは文化によって変わってくるからね」みたいなこと書いてたし。
しかし、思いもかけない単語が木の名前として登場するので驚きました。たとえばholly(YA小説作家Holly Blackと同じスペル)、plane(飛行機ではなくプラタナスの仲間)、ash(灰ではない)とか。知る機会がないから意外とわからんよね。
家具に使われる木だと名前に見覚えはあるけど(バーチとか)、木材の印象が強くて逆にどんな木なのか想像しづらかったわ。画像検索した。
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木の成長って、蛇が地中から出てくるみたいに、幹が下から上へと動いて伸びていくイメージを持ってたんですよ。「昔は手が届く高さに枝があったけど、今はない。きっと木が上に伸びるにつれて、枝も上に行っちゃったんだな」みたいなやつ。
けど、この本によるとそれは誤解らしい。木は光を求めて手当たり次第に枝を伸ばし、成功した枝だけを残す戦略なので、駄目だった枝は内部の接続を切って枯らして落としちゃうそうです。昔あった枝が残ってないのはそのせいですよ、と。
あと、植物の茎に生えてるトゲ(thorn)と、葉の側面にあるギザギザのトゲ(spine)は別の単語になるんですね。知らんかった。トゲといえばthornだと思ってたわ。バラのトゲはthornだから小説によく出てくるのよ。
「日本の伝統では季節を72に分ける」という豆知識も出てきました。え、二十四節気よりも多いの?と思って調べたら、七十二候と言うそうです。日本人なのに知らんかったで……。案の定、元ネタは中国だけど、今の中国では使われてないのかな。
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風向きによって木々の形が変わること、木々はその土地の特徴を表しているので歩く時の目印となること等、いろんな話が出てきます。著者がイギリスのあちこちを歩き回る様子もエッセイみたいで楽しめた。
さらに木々の特徴を説明する白黒のイラストが載ってるし、巻末には本に出てくる木々の主な特徴をまとめたコーナーや、著者が撮ったカラー写真も収録されてました。やっぱ写真があるとわかりやすいねぇ。
最後に、こうやれば個々の木を見分けられるようになるよ、というアドバイスも載ってました。試してみようかな。でも家の外に出たら忘れそう……。それに家の周辺だと交通量が多くて危ないので、ゆっくりと木々が観察できる場所に行く必要がありそうです。神社か公園かなぁ。