Sotsusei-geppou #04(8・9月合併夏休み号)
さて、2ヶ月の夏休みも終えて月報と言いながら2ヶ月に1回になってしまっている卒業制作の進捗記録を書いていこうと思います。
自主制作
いきなり本筋からそれますが、7月から9月の二ヶ月間Kyoto-design-labの(Re)generating japanというワークショップに参加していました。一人で参加していたのですが、これがなかなか大変な作業量で夏休みの間の脳のリソースは50%ぐらいがこれに持っていかれていた状態です。せっかくなのでここに概要と作品を載せておきます。
僕は、コンピューターを国家運営の中枢においた日本におけるムラ的な民主主義社会の再興とそこで行われる「祭り」のあり様を描いた「汎神化された計算機の子どもたちはみな踊る」という作品を出展してますのでよろしければご覧ください。(意味がわからなかった人はガンガン読み飛ばしてください。)
さて以下からが卒業制作に関する報告内容です。
1.一度寝かして不要なコンセプトを削ぎ落とす
夏休みと言いつつも1年をかけて制作に取り組む卒業制作はこの時期にどれくらい進められるかが肝だと考えていました。ただ前期のテンションでずっと走り続けても途中で息切れするのは明らかだったので一度寝かせる時期を作りました。特に内容面に関してはデザインプロジェクトとして説明するには複雑な要素が絡み合いすぎて(日本の私立美大は決してアカデミックな場所ではない場合が多いので・・・)説明として全く伝わっていない節があったためここでかなりの減量を行おうと考えました。おおよそ8月の中頃から9月の末まで1.5ヶ月ほとんど内容について触れず淡々と制作作業に打ち込むと必要な部分、概念として大事だが説明しなくて良い部分、今回のスコープには入らない部分(例えばコロナの話とかも春の時はとりあえず入れていた)が明確になってきました。そうして、自分の核となるソーシャルデザイン×プロダクトデザイン的なデザインアプローチという方法論の整理ができました。
説明のスライドもほとんど削ぎ落とせて毎回大変だった5分に納めるための苦労もほとんどなくなりました。
初期に内容がとっ散らかっていて不安だとしても適当に絞らずに待てばしっかりと重要なものだけが残って雑音が取れるのだなと実感し長いスパンで制作する醍醐味を感じています。
2.最低限の目的を決めて無心でプロトタイピング
今更ですが、僕の卒業制作は「都心で余剰となる自宅やマンションの駐車場を活用した、都市菜園のためのガーデニングユニットのデザインによる地域コミュニティの再構築」がテーマです。これをはっきりと言える様になってきたのはちょうど9月末だったので今まであえて言っていなかったテーマをようやく人に伝えられる様になってきました。
ということで、駐車場で栽培するためのプランターや自宅で発生した生ゴミを再利用するためのコンポスターが必要となるのでそのプロダクトデザインを行っています。この写真はそのプロトタイプv1.0です。(本当はv2.2ぐらい。)
冒頭にも話していた様に夏休み中の脳のリソースはほとんど別の作業に消えていました。ただしそれで制作を進められませんでした、では話になりません。なので夏休み中はできるだけ頭を使わずともできる試作に集中して行っていました。4年生は大学にも入校できたので、誰も使っていない3Dプリンターを独占してました。
試作品のジョイントパーツ
詳しい内容をここに書いても仕方ないので割愛しますが、とにかく頭を使わずともデータを入れれば勝手に作ってくれる3Dプリンターはとても助けになりました。今回制作するデザインは市民がDIY的に自主制作できるオープンソースなデザインにする予定なので3Dプリンターでの制作と相性がよかったということも追い風でした。
端材のMDFやコンパネを使って安価にかつ、ほとんど実際の制作に近いプロトタイプが作れたので他のプロジェクト、特に商品提案をする学生よりは楽に適切なプロトタイプができました。が、この辺りの違いはテーマ設定にも課題意識にもよるので別で深めて書きたいポイントです。
3.大学校内にコンポストを設置して検証
プランターともう一つの制作予定物としてコンポスト(コンポスター)の検証も進めていました。コンポストは生ゴミを土と混ぜて分解させ、堆肥にするというものなのですが、検証と言っても「虫が発生しないか」と「臭いが発生しないか」という二点だけのところだったので実際の試作ではなく段ボールで代用しました。これもまた2-3日に一回かき混ぜるだけという脳味噌を全く使う必要のないものだったのでほとんど何もせずに検証できました。
強いて大変だったことと言えば、臭いと虫が発生するかもということで大学の端っこの誰も人が来なさそうなところに設置するために施設管理課の人と2週間ぐらいやりとりをする必要があったということです。大学内での検証は学校にもよりますが比較的好意的に受け入れてくれるのですが、路上に比較して人の往来も多いためちょっと手続きが煩雑でした。
残りあと2ヶ月弱...
4月から始まった卒業制作のプロジェクトも12月中頃の発表まで残り約2ヶ月弱まで迫っています。プロトタイピングをしっかりできたので比較的順調に進んでいますが、ここからどう社会に実装するのかや、プロジェクトとしてのクオリティを上げるためのコミュニケーションのデザインなどやるべきことはまだ多く過酷な山をあと3つぐらい登る必要ありそうです。特にこのプロジェクトでは「明日から実際にできそう」と思ってもらうことが重要なので現実的な課題をいくつも突破していく必要があります。どこまで乗り越えられるか分かりませんが、学部生としてできるところまでやることで大学院での方針も見えてくるはず。(僕は別の大学の大学院に進学予定です。)
来月は、プロジェクト名やロゴ、具体的な成果物などをここに残せればいいなと思いつつ加速する進行に追いつけず発表が終わった後の12月頃になるかも・・・
それではまた今度。