ゴッホ美術館で希望の明かりを灯す 【Day7: アムステルダム】
アムステルダムは晴れていた、久しぶりの青空。
ぶらりと街を歩き、雰囲気の良さそうなカフェに入る。
この旅も残すところあと3日となった今、のんびりと過ごしたいなと思いくつろぐ。
以前、作家・角田光代さんのイベントに参加したとき、
旅好きな彼女におすすめの場所をきいてみた。
角田さん「アンネ・フランクの家はすごくいいですよ、おすすめです!」
ベルギーは行ったことがないそうで、唯一、オランダでおすすめしてくれた場所がそこだった。僕はまずその場所へと向かう。
ここでまさかのハプニング。アンネ・フランクの家に入るためのチケットは1週間先まで完売だった。なんてことだ、博物館みたいにいつでも入れるものだとばかり思っていた。
いろいろ調べたが為すすべがない。もっと前もって調べておくべきだった。ガイドブックを見ない性分が、ここで裏目に出てしまった。みなさんもいつか行きたい場合は、ぜひ前もって、下記の公式サイトから予約することをお勧めしたい。
楽しみにしていた旅の目的地が奪われて、すこし寂しい気持ちになっていた。とぼとぼ通りを歩いていると、素敵なアパレルショップを見つける。
ここで自分好みのシャツを見つけて購入。日本が大好きだという店員さんといろいろな話をして盛り上がり、少し元気を取り戻す。
その後、訪れたイタリアン。ここでもイケメンのお兄さんが気さくに話しかけてくれて、美味しいパスタとともにいくらか元気を取り戻す。
僕「これからゴッホ美術館に行こうと思ってるんです」
イケメン店員「あぁ、あそこはとてもいいですよ。おすすめです」
角田さんのおすすめに行けなかったが、店員さんのおすすめには行ける。ささやかではあるが、そのことが妙に嬉しかった。
訪れたゴッホ美術館はとても近代的で新しく、ゴッホの生涯とともに作品を辿っていく。日本語のオーディオガイドがあるのも嬉しい。
「目の前にあるものを描くのではなく感情を描き続ける」
彼の作風についてオーディオガイドが解説してくれる。農作業をする人への敬意の念をいただきながら、心象風景を描き続けた彼の心と技術が胸に奥の深いところに響く。
一人の孤独な芸術家の魂は、
目的地を見失った一人旅をするものに、
言いようのない安堵感と癒しを与えてくれた。
そして、やはり、ひまわりは圧巻だった。
ひまわりという花は地味で垢抜けない。
でもそこに素朴な輝きを彼は見出していた。
よくみると実はゴッホの描くひまわりは枯れかけている。
ゴッホは衰え少々、荒れてやつれたものを好んだ。
それこそが本物の人生のように思えたのだという。
ゴッホ美術館の周辺の街並みはとても雰囲気が良かった。
アップルストアでさえ伝統と近代が融合したような感じ。
そしてとても気に入ったグリーン色のスーツケースを購入。これまでリュック1つで旅をしてきたが、さすがに限界があった。自分の心が踊るものなんて、そう滅多にないのだから、踊ったものには素直になろうと思った。
このとき、僕の心は「自由」を感じていた。
「Rich&Freedom」というワードが思い浮かんだ。
豊かで、自由であること。
何かを振り絞るように身を削りながら、何か1つに打ち込む人生もまたいいだろうけれど、たぶん今、僕が歩んでいる人生(それを今世というならそれでもいいが)、そこでは苦役の道を求めていない。
もっと軽やかに、楽しみながら世界を飛び回り、
新たな出会いやチャンスを見つけて、
アイデアの種を蒔くこと。
そして周りの人たちの力を借りながら、
みんなで芽を出し、花を咲かせていきたい。
ゴッホの絵にも「種を撒く人」という題の絵があったが、そういう人になりたいと思った。
夜はホテル近くの「Captin&Co」というオシャレな雰囲気のカフェで一人夕食をとった。もう心は寂しさから解放されていた。