怒り・イライラについて具体的事例をもとに考える その5 「困った時はボケるのが一番」

 人間にとってなかなか扱いづらい感情だと言われている怒り・イライラについて、自分が見聞きした具体的事例をもとに考察していきます。
※ 最初から読みたい方は、怒り・イライラについて具体的事例をもとに考える その1 ドトールの高校生から読むことをおすすめします。

「困った時はボケるのが一番」
 前の記事(怒り・イライラについて具体的事例をもとに考える その4 「鬼婆は鬼婆でもいい鬼婆じゃ」)に続いて、広島に住んでいた今は亡き祖母の言動について考えてみます。
 今回は一言でいえば、「他の人だったらキレるかもしれないところをうまくボケてしまう」という話です。

 キレる時というのは、何らかの意味で困った時というのが一般的です。
 キレることにより事態が好転するのであれば、それはどんどんやるべきですが、キレることにより人間関係を壊すなどいろいろとまずいことが起こるので、キレないための工夫が必要になる場面も多いと思います。
 石原慎太郎元都知事や以前の鈴木宗男参議院議員(元衆議院議員)みたいに、キレるのがその人独特の処世術のようになっていた人もいますが、それは例外的な存在感を持った人であり、ちゃんとした権力的基盤があるからできることでもあると思います。
 困った時に、キレる代わりにどうすればいいのか。
 逃げてしまうとか、うまく自分の中で処理してしまうという方法もありますが、それ以外に「ボケる」という方法もあります。
 こういう話題になると、資産家で90代後半まで長生きした私の祖母が、「困った時はボケるのが一番」ということを生前言ってのを思い出します。
 「税務署に行って何か指摘された時にどうするか」といった話をしている時に語っていたことです。
 その時にキレてしまっては相手の印象を悪くするし、何か隠しているのではないかと疑われる。それよりも、ボケたふりをしてその場は何も言い訳等を行わず、家に帰ってきて専門家などの信頼できそうな人と相談して対応策を考える。
 という趣旨でした。
 「なるほど、年をとっても資産を守って暮らしている人は知恵がある」と感心した覚えがあります。
 この場合の「ボケる」というのはもちろん相手に対してボケているのですが、自分に対しても「私はボケてしまった」と自己暗示をかけてキレるのを防いでいる意味もあります。
 時と場合にもよるかもしれませんが、「キレる代わりにボケる」というのもなかなか味のあるうまい処世術だと思います。

※ 次の話→怒り・イライラについて具体的事例をもとに考える その6 「どうせ私が悪いんです」という人に郵便ポストの話をしてみた

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