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東京創元社/創元推理文庫の2024年ミステリランキング入賞作品を一挙紹介!
今年2024年も、年末ミステリランキング四つ(「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」「ミステリが読みたい!」)の結果がすべて出そろいました。
東京創元社の刊行物から、おかげさまで今年も上記四つのすべてに多数の作品がランクインいたしました。ミステリのプロフェッショナルが認めたそれらのタイトルを一挙にご紹介いたします。
まだ読んでいない作品、気になった作品があれば、ぜひお手に取ってみてください。
※海外、国内ともいずれかのランキングで20位以内に入賞した作品を取り上げています。
◇海外ミステリ
◆『死はすぐそばに』アンソニー・ホロヴィッツ/山田蘭訳
第1位 週刊文春2024ミステリーベスト10
第1位 2025 本格ミステリ・ベスト10
第1位 ミステリが読みたい!2025年版
第3位 このミステリーがすごい!2025年版
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ロンドンはテムズ川沿いの高級住宅地で、金融業界のやり手がクロスボウの矢を喉に突き立てられて殺された。理想的な住環境を騒音やプール建設計画などで乱してきた新参者の被害者に、容疑者の住民たちは我慢を重ねてきていた。誰もが同じ動機を持つ難事件を前に、警察は探偵ホーソーンを招聘する――。あらゆる期待を超えつづける〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ第5弾!
◆『白薔薇殺人事件』クリスティン・ペリン/上條ひろみ訳
第6位 2025 本格ミステリ・ベスト10
第10位 ミステリが読みたい!2025年版
第12位 週刊文春2024ミステリーベスト10
第13位 このミステリーがすごい!2025年版
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ミステリ作家志望のアニーは、キャッスルノール村に住む大叔母を訪れた。資産家の大叔母は、16歳のとき占い師に告げられた、いつかおまえは殺されるという予言を信じつづけている。だが大叔母は屋敷の図書室で死んでおり、そばに白薔薇が落ちていた。予言が的中したときのために大叔母が約60年をかけた調査記録を手がかりに、アニーは犯人探しに挑む。犯人当てミステリの大傑作!
◆『極夜の灰』サイモン・モックラー/冨田ひろみ訳
第9位 2025 本格ミステリ・ベスト10
第14位 このミステリーがすごい!2025年版
第14位 週刊文春2024ミステリーベスト10
第19位 ミステリが読みたい!2025年版
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1967年末。ある火災の調査のため、精神科医のジャックは、顔と両手に重度の火傷を負い、記憶を失ったコナーという男と向かいあっていた。北極圏にある極秘基地の発電室で出火し、隊員2名が死亡。彼は唯一の生存者だという。火災現場の遺体は、一方は人間の形を残していたが、もう一方は灰と骨と歯の塊だった。なぜ遺体の状態に差が出たのか? 謎と陰謀が渦巻くミステリ長編!
◆『孔雀屋敷 フィルポッツ傑作短編集』イーデン・フィルポッツ/武藤崇恵訳
第10位 2025 本格ミステリ・ベスト10
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一夜のうちに発生した三人の変死事件。不可解な事態の真相が鮮やかに明かされる「三人の死体」。奇妙な味わいが忘れがたい「鉄のパイナップル」。不思議な能力を持つ孤独な教師の体験を描く表題作。そして〈クイーンの定員〉に選ばれた幻の「フライング・スコッツマン号での冒険」など、『赤毛のレドメイン家』で名高い巨匠の傑作六編を収める、いずれも初訳・新訳の短編集!
◆『グッド・バッド・ガール』アリス・フィーニー/越智睦訳
第15位 ミステリが読みたい!2025年版
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ロンドンのケアホームで暮らす80歳のエディスと、職員で18歳のペイシェンス。世代はちがえど友情を築いているふたりは、家族とのあいだに問題を抱えていた。そんなある日、エディスがホームから失踪。時を同じくして、施設の所長の奇妙な死体が発見され……。冒頭から企みが始まる、母と娘をめぐる傑作サスペンス!『彼と彼女の衝撃の瞬間』のどんでん返しの女王が見せる新境地。
◆『終着点』エヴァ・ドーラン/玉木亨訳
第16位 ミステリが読みたい!2025年版
第18位 週刊文春2024ミステリーベスト10
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ここはロンドンの集合住宅の一室。女性がひとり。死体がひとつ。見知らぬ男に襲われ、身を守ろうとして殺してしまったと女性は語る。死体は名も明かされぬまま、古びたエレベーターシャフトに隠された……謎に満ちた事件が冒頭で描かれたのち、過去へ遡る章と未来へ進む章が交互し、物語はその「始まり」と「終わり」に向けて疾走する! 英国ミステリ界の俊英が放つ衝撃的傑作。
◆『ほんとうの名前は教えない』アシュリィ・エルストン/法村里絵訳
第19位 週刊文春2024ミステリーベスト10
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生きるために、他人になりすまして“仕事”をしてきた“わたし”。今回はエヴィという女の経歴を使って、ある男の裏稼業を調査しつづけている。だが突然、驚愕の事態に。パーティで会った女性が、自分そっくりの外見で、自分の本名を名乗り、自分自身が経験した出来事を語ってきたのだ。“わたし”になりすましている彼女は何者なのか? 目的は? ベストセラー・サスペンス登場!
◇国内ミステリ
◆『冬期限定ボンボンショコラ事件』米澤穂信
第2位 このミステリーがすごい!2025年版
第2位 週刊文春2024ミステリーベスト10
第2位 ミステリが読みたい!2025年版
第9位 2025 本格ミステリ・ベスト10
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小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。冬の巻ついに刊行。
◆『六色の蛹』櫻田智也
第3位 2025 本格ミステリ・ベスト10
第8位 ミステリが読みたい!2025年版
第10位 このミステリーがすごい!2025年版
第13位 週刊文春2024ミステリーベスト10
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昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。行く先々で事件に遭遇する彼は、謎を解き明かすとともに、事件関係者の心の痛みに寄り添うのだった……。ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件の謎を探る「白が揺れた」。花屋の店主との会話から、一年前に季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意を読み解く「赤の追憶」。ピアニストの遺品から、一枚だけ消えた楽譜の行方を推理する「青い音」など全六編。日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した『蝉かえる』に続く、〈エリ沢泉〉シリーズ最新作!
◆『禁忌の子』山口未桜
第3位 週刊文春2024ミステリーベスト10
第16位 2025 本格ミステリ・ベスト10
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救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ! 第三十四回鮎川哲也賞受賞作。
◆『明智恭介の奔走』今村昌弘
第7位 週刊文春2024ミステリーベスト10
第13位 このミステリーがすごい!2025年版
第16位 ミステリが読みたい!2025年版
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神紅大学ミステリ愛好会会長・明智恭介。小説に登場する探偵に憧れ、事件を求めて名刺を配り歩く彼は、はたしてミステリ小説のような謎に出合えるのか――大学のサークル棟で起きた不可解な盗難騒ぎ、商店街で噂される日常の謎、夏休み直前に起きた試験問題漏洩事件など、書き下ろしを含む全五編を収録。『屍人荘の殺人』以前、助手であり唯一の会員・葉村譲とともに挑んだ知られざる事件を描く、待望の〈明智恭介〉シリーズ第一短編集!
◆『案山子の村の殺人』楠谷佑
第10位 2025 本格ミステリ・ベスト10
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案山子だらけの宵待村で、案山子に毒の矢が射込まれ、別の案山子が消失し、ついに殺人事件が勃発する。現場はいわゆる〝雪の密室〟の様相を呈していた――。俊英が二度に亙る〈読者への挑戦〉を掲げて謎解きの愉しみを満喫させる、正統的本格推理。合作推理作家の大学生コンビが謎に挑むシリーズ第一弾!
◆『名探偵の有害性』桜庭一樹
第13位 このミステリーがすごい!2025年版
第14位 週刊文春2024ミステリーベスト10
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かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。
……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気チャンネルで突如、名探偵の弾劾が始まった。その槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者とは? 名探偵の助手だった鳴宮夕暮――わたしは、かつての名探偵――風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。
◆『ぼくらは回収しない』真門浩平
第19位 このミステリーがすごい!2025年版
第19位 週刊文春2024ミステリーベスト10
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数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、才気溢れた彼女が死を選ぶだろうか?
三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女と理解し合えないまま二度と会えなくなったことに思い至った寮生たちは、独自に事件を調べ始める――。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な独立作品集。
◆『明治殺人法廷』芦辺拓
第19位 2025 本格ミステリ・ベスト10
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明治20年12月。藩閥専制政府が自由民権活動家一掃のため発令した保安条例により、東京からの退去を命じられて大阪に流れた、幕臣の息子にして探訪記者の筑波新十郎。被告人に対して絶対不利に運用される法廷で苦闘を重ねる、大阪の商家に生まれた駆け出し代言人・迫丸孝平。推理の曙光いまだ届かぬ時代に質屋一家殺人事件の「正しき真相」を求め、出会うはずのなかった東西の二青年が協力して奔走する。『大鞠家殺人事件』に続いて贈る近代大阪グランド・ロマン!