
警察小説〈P分署捜査班〉シリーズ(創元推理文庫刊)が原作のテレビドラマ「ピッツォファルコーネ署 おちこぼれ刑事たちの捜査」、ミステリーチャンネルで2025年6月に日本初放送決定!
イタリアの人気作家マウリツィオ・デ・ジョバンニが2013年に発表した『集結』を第1作とする〈P分署捜査班〉シリーズ。エド・マクベインの名シリーズ〈87分署〉の影響を強く受けた警察小説で、現在、創元推理文庫ではすべて直良和美訳で第4作『鼓動』までが好評発売中です。
そして、この小説を原作としたテレビドラマ版が、2025年6月、日本唯一のミステリードラマ専門チャンネルである「ミステリーチャンネル」にて、日本初放送されることが決定しました!
本国イタリアで製作されたドラマ「I bastardi di Pizzofalcone」の日本版タイトルは「ピッツォファルコーネ署 おちこぼれ刑事たちの捜査」。原作小説と同様、風光明媚な観光都市ナポリを舞台に起きる数々の事件を、ロヤコーノ警部を筆頭とする個性的な刑事たちが捜査していく物語になっています。

東京創元社ではミステリーチャンネルの協力のもと、今後も情報をお知らせしていきますのでどうぞお楽しみに! 今回はひと足先に原作を予習したいというかたのために、既刊と今年刊行の新作Paneの内容をご紹介します。
◇既刊+新作紹介
1『P分署捜査班 集結』I bastardi di Pizzofalcone(2013)
重大な不祥事を起こして市警の面目をつぶしたピッツォファルコーネ署へ欠員を埋めるため送り込まれたのは、独自の捜査方針を貫くロヤコーノ警部を筆頭に、有能だが各分署が持て余した刑事ばかり。彼らは新天地P分署で急造捜査班を結成し、女性資産家殺しや少女監禁など、続発する難事件に挑んでいく。21世紀の〈87分署〉とも言うべき、イタリア発の大人気警察小説シリーズ始動!
2『P分署捜査班 誘拐』Buio(2013)
ピッツォファルコーネ署管内の美術館から十歳の少年が消えた。激高しやすいロマーノと気取り屋アラゴーナがコンビを組んで捜査を進めるうち、事態は誘拐の様相を呈してくる。その頃ロヤコーノ警部は奇妙な空き巣事件を担当し、副署長が独自に調べる自殺案件にも新展開が。型破りな刑事たちが同時進行する事件に奔走する大人気警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズ待望の第二弾!
3『P分署捜査班 寒波』Gelo(2014)
冷えこみの厳しい十一月の朝。P分署に二重殺人発生の通報がはいる。被害者は同居する兄妹――化学者の兄と、モデルの妹。ふたりを殺したのは何者か。いっぽう署を訪れた中学校教師は、受け持ちの女子生徒が家族に虐待されている疑いがあると打ち明けて……。ナポリの街で発生する事件を解決するため、型破りな刑事たちは悩み、怒り、走る! 21世紀の〈87分署〉シリーズ最新刊。
4『P分署捜査班 鼓動』Cuccioli(2015)
四月初めの朝。ロマーノ刑事がP分署近くのゴミ集積所で見つけたのは生後間もない赤ん坊だった。赤ん坊は急いで病院へ運ばれ、捜査班の面々は親探しに奔走するが、ある情報が事態を思わぬ方向へ導いていく。いっぽう、アラゴーナ刑事は初対面の少年に懇願され仔犬を探す羽目に。実は管内で犬猫の失踪事件が多発していて――小さな命のため奮闘する刑事たちを描く、人気警察小説!
5 Pane(2016)【2025年刊行!】
ナポリの町で早朝、パン屋の主人が撃たれて殺された。近所の人たちに愛された店をいとなむ、実直だが平凡な男がなぜ? P分署の面々が捜査を開始すると、マフィア相手の裁判で証言者として出廷していたことが判明する。殺人は証言に対する報復と判断し、一家を壊滅させるチャンスと見たマフィア対策班が介入してくるが、ロヤコーノ警部は犯人はマフィアではなく、別にいると考えていた。署の存続を賭け、捜査班はマフィア対策班と真っ向から対立することになる……21世紀の〈87分署〉シリーズ最新刊!
■マウリツィオ・デ・ジョバンニ(Maurizio De Giovanni)
1958年ナポリ生まれ。銀行に勤めるかたわら応募した文学コンテストで高く評価され、2006年に長編Le lacrime del pagliaccioで本格的に作家デビュー。同書を第一作とする〈リチャルディ警視〉シリーズと、ロヤコーノ警部を主人公に13年刊の『P分署捜査班 集結』から開始した〈P分署捜査班〉シリーズのふたつで知られる。〈P分署捜査班〉は17年より本国イタリアで連続テレビドラマの放送が始まった。
■直良和美(なおら・かずみ)
東京生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。英米文学翻訳家。主な訳書に、S・J・ローザン『チャイナタウン』『ピアノ・ソナタ』、マウリツィオ・デ・ジョバンニ『集結』『誘拐』、シーリア・フレムリン『泣き声は聞こえない』などがある。