一日が出逢いで終わる街
「一日が出逢いで終わっちゃうんですよね」
今回撮影した円城寺君がインタビューで言ったこの台詞は、彼が実際に別府で暮らして感じた生の言葉だ。文豪みたいな名前と格好の彼が言うと妙に説得力がある。
別府の街を歩いていると、知り合いに会って立ち話して、気付いたらもうこんな時間だ、なんてことは多々ある。そのまま一緒にでかけたり、温泉に行ったりなんてこともあるし、知らない人とも仲良くなったりする。文字通り出逢いで一日が終わってしまう。僕も流れ川通りを歩くだけで3時間かかったこともある(笑)別府の道端や飲み屋、温泉で知らない人と仲良くなる時、僕はいつも妻との会話を思い出す。
「今回の別府でもいい出逢いがあるといいな」
「あるよ」
「なんで言い切れるの?」
「自分で作ればいいんだよ」
そう、出逢いは春のように勝手にやってくるものじゃない。ふとした会話やたった一言の挨拶から出逢いは始まり、縁が繋がる。その出逢いをいいものにするかどうかは全て自分次第だ。人間関係は確かに面倒臭い側面もあるけれど、無理する必要もないし、ただ好きだと思う人と付き合えばいい。環境や人の目を言い訳にする人も多いけれど、「それってあなたの人生じゃないの?決めるのはあなたじゃないの?」と東京では思わないことを別府にいると思うのも、この街の不思議な所だ。
前田温泉での撮影中も入浴して来た若い男の子に「撮影中だけど、大丈夫?ごめんねー」「いえいえ、大丈夫です」と一言の挨拶。その挨拶があるかないかだけで、場の雰囲気は変わる。
風呂上がりに少し話をすると「facebook見てます」と言われて驚いたのだが、ウズベキスタン人のドストン君は「We are the world Project」の時に学生の有志で動画撮影をしてくれた子だった。約3年ぶりで、一回会っただけだったので顔を全く覚えていなかった。ほんとに申し訳ない。改めてありがとう!
円城寺君と3人で盛り上がり、ここでもまた一つ縁が繋がる。これも温泉の楽しみの一つ。映像を生業にしているドストン君のYouTubeチャンネルはこちらから。是非覗いてみてほしい。
円城寺君は別府の学生の中では地元の人達に名前を知られている存在だ。それは彼のオープンな性格と行動力によるものだけれど、目立てば足を引っ張られるのが田舎の常。これからも負けずに変態であり続けて欲しい。変態仲間として、彼の今後を僕も応援したいと思う。
2021.3.26 東京神父
前田温泉「BEPPU ARCHIVIST ENJOJI」