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39歳、妊娠する13 夫よ、私を見てる?

激痛マイナートラブル。

あと数日でやっと産休!と思っていた矢先、それは突然やってきた。そう恥骨痛……。8ヶ月までちょっとしたいわゆる妊娠中のマイナートラブルはある程度経験済みだったけど、どれも本当に生活を脅かすほどの大変さはなく、在宅勤務にしてしまえば全く問題ないものばかり。ところが、仕事の締め作業などもあり2日間は絶対出社しないと、と思っていた日の朝、今までに経験した事がない痛みが足の付け根に!なんというかとにかく超絶に鋭いものをじっくり刺すような痛みでじっとしていることも歩くことも寝ることも出来ない。無理に動こうとすると、額と手には脂汗。や、ヤバイ……このまま出産までこの痛みが続くようなら、もう何も出来なくなる……。とにかく痛みと汗が止まらないため、ひとまず急遽病院で見てもらえないか、と考え、熟睡する夫をどうにか起こして、状況を説明。「足の付け根が痛すぎてやばい、立てないし、動けない。これ多分、恥骨痛ってやつなんだけど……」必死になって伝えるも、いまいち痛みの度合いが伝わらない。「どうして欲しい?あっためる?」どこかのんびりとして、湯たんぽを入れるかどうかを聞いてくる。「いや、この汗見て」と言って、とにかく病院へ連絡して欲しいと伝え電話をしてもらった。
30分で来院できるのでれば、急ぎで見てくれるとのことで、GOでタクシーを呼んで、夫に肩を借りながらどうにか病院にたどり着いた。

ベテラン風の女医さんと、若い助産師さんがじっとりと汗をかく妊婦の様子を見つつ、念のため、ということでお腹の様子などエコーでも確認するが全く問題なし。「これはもう仕方ないですね。恥骨痛は妊婦さんあるあるなんで……。痛み止めとかも出せないですから、耐えていただくしかなく。ただ、さらしとかトコちゃんベルトなんか巻くと解消する人もいるんで。あ、巻いてみますか?」家に妊娠初期に念のため、と買った妊婦用の骨盤ベルトはあるものの、トコちゃんベルトではないため、とりあえず物は試しと、お願いして巻いてもらうことにした。「それだけ痛いと一人では巻けないと思うので、旦那さん、こう手伝ってもらえますか?」と、助産師さんが巻き方を夫に伝える。
ガッチリ巻いてもらって立ち上がると、おぉちょっとマシになってる! トコちゃんベルトの効果で、何とか痛みは半減、立ち上がって動く事ができるようになった。トコちゃんベルトを定価で買うことになってしまったが、ひとまず安心。これで明日は出社もできる。一時的な痛みの人もいる、ということなのでなるべく治ってくれるようにと祈った。

夫の中の私と目の前の私。

▲小麦系食物に夢中だった…笑

寝る時もトコちゃんベルトをしつつ、自分でも調整していたが、翌日、出社のタイミングではガッツリ巻くために、夫に手伝ってもらって巻いてもらうことにした。「手伝ってもらってもいい?」夫の前にトコちゃんベルトを持って横になる。ところが……全く巻けない。「ごめん、どうやるんだっけ。あれ……」昨日、教えてもらったやり方ができず、何度も巻き直すが最終的に「ごめん、自分で巻いて……」と言ってベッドに戻る夫。ここ数日、明らかに元気もなく、寝ている時間がとにかく多くなった夫とは同じ空間にいるのにどこか遠くにいるような、うまくコミュニケーションが取れていないような感じだ。たっぷり寝て起きてきても、常に眠そうだし、寝ていることに罪悪感を感じているからか、妊婦の私に何もしてあげれてない、申し訳ないとしか言わない。それなのに目の前の私の様子には興味がない、というのか、見えてないような。痛い痛いと、激痛に耐えながら自分でトコちゃんベルトを装着すると、気を取り直して家を出た。

夫の中の、夫が謝っている私はどこにいるんだろう。
ドコドコとよく動くようになった大きなお腹の私は
夫には見えていないのだろうか。

全てがうつ病のせいだ、というのは頭ではわかっているけど、ここへきてもう直ぐ出産という現実と、急な体の痛みがメンタルを削っているせいか9ヶ月を目前に流石に凹む。うつ病のせいで自分のことで精一杯になり、周りが見えなくなるのも知っているし、薬を飲んでいるから思うように体が動かないのもある。けど……。夫と一緒に読もうと思って買った育児本も出産本も読めば読むほど心配事が増えてしまい、パニックになるので夫に読ますことをやめたし、出産に向けて購入するものも迷って決められなくならないようにある程度決まってから相談する体で話をしたり。私がやれることはとにかくやるけど、それでも、掴みどころのない病に罹った夫に、「私のこと見えてる?」と何度も言いそうになる。言っちゃダメ、とギリギリのところで踏みとどまっている。

トコちゃんベルトで復活した体で、久々の出社。会う人会う人がニコニコと挨拶をしてくれた。あと数日で産休ということもあり、「いよいよだね〜」、「楽しみだね〜」、「気をつけて!体大事にね」、「安産祈願しておきます!」と。会社での私を感じることで精神をどうにか保っていたのかもしれない。

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