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Lispがものすごく素晴らしいのなら......

ポール・グレアム(Paul Graham)が執筆したエッセー「If Lisp is So Great」の日本語訳になります。

2003年5月

Lisp がものすごく素晴らしいのなら、なぜもっと多くの人たちが Lisp を使わないのだろうか? 自分が最近した講演で、聴衆の中にいたある学生からこの質問を聞かれた。どちらも初めてではない。

言語では、非常に多くの物事がそうであるように、人気とクオリティーの間にはあまり相関関係がない。なぜジョン・グリシャム(『King of Torts』の売上げランキング44位)はジェーン・オースティン(『Pride and Prejudice』の売上げランキング6191位)よりも多く売れるのだろうか? グリシャムでさえ、本が多く売れるのは自分がより優れた書き手であるからだと主張するのだろうか?

これは『Pride and Prejudice』の最初の一文である。

素晴らしき財を持つ独身の男は妻を必要としているに違いない、というのは普遍的に認知された真実である。

「普遍的に認知された真実である?」ラブストーリーの最初の一文としては長い言葉である。

ジェーン・オースティンのように、Lisp は難しく見える。Lisp の構文や構文の欠如は、ほとんどの人たちが慣れ親しんでいる言語とは完全に違って見えるようにする。自分が Lisp を学ぶまえ、私も Lisp を恐れていた。最近、1983年に自分が次のように書いていたノートを偶然見つけた。

私は自分が Lisp を学ぶべきだと考えるが、Lisp は非常に異質のようである。

幸いにも私は当時19歳で、新しいことを学ぶのにあまり抵抗力がなかった。
自分はあまりに無知だったので、ほとんど何でも学ぶことが新しいことを学ぶことを意味していた。

Lisp におびえる人たちは、Lisp を使わない他の理由を作る。C 言語がデフォルトの言語だったときの標準的な言い訳は、Lisp が遅すぎるというものだった。今や Lisp の方言は最速で使える言語レベルであるので、その言い訳は消え去った。今の標準的な言い訳はオープンに堂々巡りしている。それは、他の言語のほうが人気だというものである。

(このような推論には気をつけてください。あなたは Windows を得ることになる。)

人気は常に永続可能であるが、プログラミング言語では特にそうである。多くのライブラリーが人気のある言語のために書かれ、これは人気の言語をさらに人気とさせる。プログラムはしばしば既存のプログラムと連携しなければならず、これはプログラムが同じ言語で書かれた場合に簡単であるので、言語はウィルスのようにプログラムからプログラムへと広がる。そして、マネージャーは人気のある言語を好む。なぜなら、人気のある言語はマネージャーに簡単に取って代わる可能性のあるデベロッパーに対する影響力を与えるからだ。

実際には、プログラミング言語がすべて多かれ少なかれ同等だったとしたら、最も人気のある言語以外のものを使うことはほとんど理由とはならないだろう。しかし、プログラミング言語は決してすべて同等ではない。そして、これがジェーン・オースティンの小説のようにあまり人気のない言語がとにかく生き残り続ける理由である。他の誰もが最新のジョン・グリシャムの小説を読んでいるとき、代わりにジェーン・オースティンの小説を読む少数の人たちがいつもいるだろう。


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