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家賃(賃料)支援制度はどうなるのか?-その2

こんにちは。弁護士の大城聡です。

家賃(賃料)支援制度について、大きな動きがありました。
貸主側と借主側のそれぞれの視点から支援制度を整理した「家賃(賃料)支援制度はどうなるのか?」(2020年5月11日)に続き、今回は第2次補正予算案に盛り込まれた「家賃支援給付金」について解説します。


1 家賃支援給付金とは

家賃支援給付金は、新型コロナウイルス感染症を契機とした5⽉の緊急事態宣⾔の延⻑等により、 売上の急減に直⾯する事業者の事業継続を下⽀えするため、地代・家賃の負担を軽減することを⽬的として、テナント事業者に対して支給される給付⾦です。

2020年5月27日に閣議決定された第2次補正予算案の中に組み込まれています。


2 だれが給付を受けられるのか(給付対象)

給付対象は、テナント事業者のうち、中堅企業、中⼩企業、⼩規模事業者、個⼈事業者等であって、今年5⽉〜12⽉において以下のいずれかに該当する者とされています。


(給付条件)
• いずれか1カ⽉の売上⾼が前年同⽉⽐で50%以上減少。
• 連続する3ヶ⽉の売上⾼が前年同期⽐で30%以上減少。


3 どのくらい給付を受けられるのか(給付額・給付率)

給付率は家賃(月額)の3分の2で、給付上限額(⽉額)は法⼈50万円個⼈事業者25万円です。給付額は、申請時の直近の⽀払家賃(⽉額)に係る給付額(⽉額)の6倍 (6カ⽉分)です。

加えて、複数店舗を所有する場合など、家賃の総⽀払い額が⾼い者を考慮して、上限を超える場合の例外措置を設けるとしています。例外措置では、⽀払家賃(⽉額)のうち給付上限超過額の3分の1を給付し、 給付上限額(⽉額)を法⼈100万円、個⼈事業者50万円に引き上げるとしています。

経済産業省関係 令和2年度第2次補正予算案 (概要)
(令和2年5⽉ 経済産業省)



4 いつから給付を受けられるのか(給付時期)

政府は今国会の会期末までに第2次補正予算を成立させ、6月下旬からの受け付け開始を目指しています。しかし、売り上げ台帳のほか家賃の契約書など必要な書類が多くなるため、審査期間が2週間程度とされている「持続化給付金」よりも長くなることが予想されるということです。給付金が支払われるのは7月以降になる見通しと報じられています(2020年5月28日付「NHKニュース」)。


5 これから注目すべきこと

政府は、家賃支援給付金を含む第2次補正予算を6月27日が会期末の今国会で成立させたい意向です。新たな家賃支援制度が必要なことは与野党ともに一致しています。先に見たように申請から給付までの期間短縮は課題の一つです。また給付対象が「事業者」であり「店舗」でないため、複数の店舗を経営して多くの雇用を生み出している事業者にとっては支援効果が薄いなどの課題もあります(2020年5月15日付「東京新聞」)。

これらの課題がどのように扱われるかに注目しながら、迅速な実現を期待したいと思います。

                                以上

(本稿は2020年6月1日時点の情報に基づく記事です)

                        文責 弁護士 大城聡